読んでいた本の中にあった「大器晩成」という四字熟語を見た瞬間に、懐かしい気持ちと、会いたい気持ちと、会わないからこそ良いのだ、という気持ちが一気に溢れた。

「大器晩成」

私が小学6年生の頃に好きだった人が「自分の好きな四字熟語は?」という質問に対して書いていた四字熟語だった。

そういえば、どういう意味だっけ?
意味を調べた私は、彼に会いたくて仕方がなくなった。
小学6年生の頃に、この四字熟語を「自分の好きな四字熟語」とした彼は、どんなことを考えていたのだろうか。そして、卒業後~今までの人生をどのように過ごしてきたのだろうか。
挫けそうになっても、いつか花咲く日を夢見て、真面目に頑張ってきたのだろうか。
それとも、好きな四字熟語を書いたことなんて、本人は既に忘れているだろうか。

ちなみに私は、「七転八起」と書いた。
今の私は、そもそも失敗を失敗と思わないようにしているし、無理せず潔く諦めることも悪くないと思っているし、もう好きな四字熟語に「七転八起」と書くことはないと思う。
それでも、これまでの人生で諦めたくなるようなことがあった時には、なんとなく、この四字熟語が頭をよぎり、つらくても起き上がって努力してきた。

彼も、そんなふうに好きな四字熟語を思い出して、頑張ってきたのではないかと、なんとなく思う。

本当は嬉しかったのに、自分の容姿に自信がなくて、素っ気ない返事をした

彼とは、小学校を卒業する少し前に両想いだったことが分かった。卒業後には、彼から「デートに行こう」と誘ってくれた。嬉しかった。嬉しかったのに、「デート」と言われると恥ずかしくて、というか「デート」って言われると、なんだか怖くなってしまって、結局、二人では遊びに行かなかった。付き合うとか、そういう会話もしなかった。

彼とは、中学校が違った。だから、会うこともなくなってしまった。連絡を取ることも、勉強と部活に必死でやめてしまった。

社会人になった頃、一度だけ、彼から連絡が来たことがあった。その時も、本当は嬉しかったのに、自分の容姿に自信がなくて、素っ気ない返事をした。詳しくは忘れてしまったけれど、「会える?」と聞かれて「会えない」しか答えないみたいな…。

もし、次会うなら、好きな四字熟語のことは絶対に聞こうと思う。

それから数年後、私が結婚した年に、色んな偶然が重なって、知人から「彼が私のことを、とても好きだったと言っていた」という話を聞いて、胸が苦しくなった。

恥ずかしいとか怖いとか考えず、気軽にデートに行っておけば良かったな。
過去最高の体重を更新していたことなんて気にせず、「会おう!」と返事をすれば良かったな。

私が純粋に彼を人として好きだったように、彼も私を人として好きでいてくれたのであれば、余計なことは考えずに会っておけば良かった。 

彼にとって、小学生の頃の私は、どのような印象を与えていたのだろうか。今の私に会ったなら、彼はどう思うのだろうか。

とても、会いたいなぁ。
私は、もう結婚しているし、今更、付き合いたいとか、そういうことではないけれど。でも、もしかすると、あの時に会っていれば、付き合う可能性もあったのかもしれない。いや、良い友人になれていたかもしれない。
とにかく、二人で会って、好きな四字熟語の話とか、好きな小説とか映画とか、小学校を卒業後はどんな風に生きてきたのか、目標はあるのかとか、いろいろ話してみたかったな。

もし、次会うなら、好きな四字熟語のことは絶対に聞こうと思う。だから私は、新たに好きな四字熟語を見つけておこう。いつ会っても、胸を張って話せるように、色んな経験をして、外見も中身も自分らしい魅力的な人になっていよう。