もう一度会いたい人がいる。

その人は、会社の同期。
1回の東京の集合研修で、一緒の班で研修を受けたというだけの関係。

初めて話したときは、上から目線で何だか嫌だなといった印象。
何回か話しているうちに、どこかドキッとして、直感でビビッときた。

でも私はその時、他に気になる人がいたので、その感情を気に留めずにいた。

研修が終わった後、懇親会が予定されていた。
私は地方から来ていて、翌日も仕事だったため、懇親会には参加せず、東京から飛行機で帰ることにしていた。

研修が終わって帰ろうとしていると、その人がいた。
その人は何か言いたそうに、こちらを見ていた。
私がその人に視線を返すと、驚いた様子でどこかへ行ってしまった。
私はそのまま帰った。

日が経つにつれて、その人への感情がじわじわと溢れてきた

帰ってから私はその人の事が気になった。
会社の電話番号簿でその人の名前を検索したり、インターネットで名前を検索した。

日が経つにつれて、気になって気になって気になって、その人への感情がじわじわと溢れてきた。

あの研修の後、私の所に来てくれたということは、あの人も私に何か感じていてくれたのだろうか。
もし私が懇親会に参加していたら、あの人ともっと話せてたら、そんな思いが駆け巡った。

その人は全国転勤型の総合職で私は地域限定職。
もしあの人が私の所に異動になってくれたらと願ったりした。

その後、新年度を迎えたが、人事異動はなく、勤務地も別々のままだった。

私には一歩踏み出して連絡する勇気はなかった

新年度の研修案内が発信された。

「同期の集合研修がある!!」
「またあの人に会える!」

でもよく見てみると、「総合職と地域限定職は別日程」と書いてあった。

私はとても落胆した。
天から地へ突き落とされた気分だった。
もうあの人には会えないのか。

それからまた日が経ち、その人は東京の本社へ異動になった。
とても業務量が多く、忙しい部署だから大丈夫かなと勝手に心配した。

社内の人だから連絡を取ろうと思えば取ることはできる。
でも連絡をする口実が無い。
ここで一歩踏み出す勇気のある人は連絡するのかなと思ったけど、私にはそれは出来なかった。
だって1回研修で一緒になっただけなのだから。

そして時だけが過ぎて去っていった。

次は自分の気持ちに蓋をせず、真っ直ぐ向き合いたい

あの研修からもう2年。

日が経つにつれて、あの日の記憶がどんどん薄れていく。
もう夢だったのか現実なのか曖昧なくらい。
でもあの人の存在は現実なのだから、あの感情も現実だったのだろう。

元気にしているのだろうか。
私の事を覚えているだろうか。
2年も前のことだから忘れているだろうか。
覚えててくれたら嬉しいけど。

あの人も今年27歳。
もう結婚したりするのだろうか。

幸せだったらそれでいいや。

もう一度会うことができるのなら、自分の気持ちに蓋をせず、真っ直ぐ向き合いたい。
東京の研修所に行くたびに、あなたのことを思い出して、後悔する自分がいる。
もう二度と会えないのかもしれないけど、また会いたい。

どうか、あなたの人生が幸せでありますように。