2020年にもし、“コロナのパンデミック”が発生しなければ、その代わりに “第三次世界大戦”が始まっていたというパラレルワールドの夢を見た。

その夢は「ああ、コロナさえなければ…」と呟いて、なかなか眠れない夜の終わりと共にやってきた(というのも私は、コロナのせいで失業してしまったからである)。

夢の中では、第三次世界大戦のせいで数多の若者が徴兵され命を落としていた。そして、現実ではコロナで比較的多くの高齢者が命を落としている。戦争では若者、コロナでは高齢者。犠牲者となる対象は異なったが、誰もが恐怖を感じていたという点は共通していた。もちろん、2020年の東京オリンピックはいうまでもなく失われていた。

長い長い夢を見た。目が覚めて一番に思ったことは…

長い夢だった。戦争で世界は混乱に満ちていて、どの国や街にも憎しみと恐れが漂っていた。人々は外に出られずに家に篭り、物資不足で飢えが蔓延していた。海外旅行は、生きている間に再びできるのか検討もつかないほどに平和がとことん失われていた。希望の有無に関わらず徴兵され、若者は人を殺す練習をし、選択の余地のない場所へと送り込まれていた。

自分が死ぬか、誰かを殺すかの二択しか与えられない。恐ろしい世の中になっていた。数ヶ月は家に篭っていたが、とうとう私も看護師として戦地に派遣されるというシーンで目が覚めた。

私が夢から目覚めて一番に思ったのは「戦争ではなくコロナが現実で安心した」ということだった。この言葉には語弊が生まれ、誰かを傷つけてしまうこともあるだろう。例えば、コロナのせいで亡くなった方に近しい人や医療従事者には、刺のある言葉に聞こえてしまうかもしれない。しかし、私は医療従事者でありながらもほとんど直感的に安堵したのだ。「戦争じゃなくてよかった」と。

・外に出られない
・経済圧迫される
・人に感染させるとその人を殺してしまうかもしれない

そういう点において“戦争”と“コロナ”は、共通点があるように考えられる。実際コロナは、健康や経済面、他にも様々な角度から人類を苦しめている。しかし、戦争は異次元の絶望を私たちにもたらしていた。コロナウイルスは、自然の不可抗力で発生してしまった(少なくとも私はそう思っている)。

コロナウイルスより何億倍も恐ろしい戦争は、誰かの手によって“意図的”に始められているのだ。そう考えるとゾッとする。一体全体、誰が戦争なんて始められるのだろうか。戦争は確実に“予防可能”な出来事であるのに、どうして無くならないのだろう。

「戦争」を経験した日本人とアメリカ人から話を聞いた

それから、私のみた夢の話ばかりでなく現実の話を交えておこう。私は以前、戦争を経験した人から話を聞いたことがある。日本人とアメリカ人それぞれ一人ずつ。

はじめに、日本人は入院している患者さんだった。90代で足の怪我を治療していた。彼はとてもキビキビとしており、ストレスの多い入院生活の中で不平や不満を一切聞くことがなかった。食事もいつも綺麗に平らげていた。私(看護師)は、不思議に思いどうしてなのかと聞いてみたことがあった。すると、「僕はね、戦争に行ったことがあります。あの時の辛さや飢餓の苦しみを思い返すと、今生きているだけで幸せなのです」と答えが返ってきた。そうして時間の許す限り彼の話を聞いた。数十年後に聞いても、冷や汗の出る話だった。

もう一人のアメリカ人は、ハリケーンの避難所であった人だった。私は看護学生として、フロリダでハリケーン襲来時に避難所で泊まり込みのボランティアをしたことがあった。その中で、戦争を経験した地域のアメリカ人の話を聞く機会があったのだ。同様に90代であった彼は、車椅子に乗って警官と戦争の話をしていた。「日本との戦争で、太腿に弾丸を受けたんだ。日本人はくたばってしまえ。あいつらはクソだ」と叫んでいたのだ。後ろに日本人の私がいたのには気がつかず、ずっとそういった言葉を発していた。

私は、大好きなアメリカの地でそれほど日本人が嫌われていたことにショックを受け、涙が止まらなくなった。周囲にいたアメリカ人は、私の背中を摩って慰めてくれたが、誰も何も発しなかった。否定されるわけでもなく、ただただ無言でいるだけだった。

私は「ああこれが戦争なのか」と感じた。消えることのない痛みと数十年たった今でも変わらない敵意。この時はさすがに怖かった。日本人が一人しかいない避難所で、周りは全員アメリカ人の避難所で過ごしていたから。私の味方なんて、どこにもいない気がした。

世界には戦争もコロナもある。私はそこから目を逸らしてはいけない!

このようにして、私は戦争に触れたり考える機会を持ってきた。そうして、最近夢の中で戦争を間接的に見てきた。すると、現在コロナで苦しんでいる状況が幾分楽に思えた。「あちらの世界じゃなくて、こちらの世界で良かった」と。

ただし、現在世界のあちこちで実際に進行している戦争や紛争がある。そこにはコロナもあるし、戦争もあるのだ。私はそこから目を逸らしてはいけない。私は今後の人生で戦争を経験しないために、戦争について学び続け、他の人にも伝えなければならない。

私たちの次の世代では、こうして実際に戦地に立った人から戦争の話を聞く機会を持てないのだから、私はしっかりと自分の子供(まだ予定すらないけれど)や知り合いに話を伝えなくてはならない。
戦争に肯定的な政治家に絶対に投票してはならない。憲法改正なんてまっぴらだ。私は私でできることをしていかなくてはならない。