お母さん、これからは「自分のため」にどんどん幸せになってね。

お母さんに伝えたいことなんて山ほどある。あり余るほどある。ありすぎて困る。
“言いたいこと”じゃない、“伝えたいこと”。伝えたいけれど、今はまだ言葉にすることはできないこと。
伝えたいけど伝えられなくて、もどかしくて苦しくて、それでもやっぱり伝えたくて。思いが溢れて泣けてきてしまって、どうにも眠れなかった夜もあった。
お母さん、ありがとう。
いつも本当に本当にありがとう。
いつの日か、お母さんに物申したい日もあったけど、やっぱり、どうしたって感謝してもしてもしきれないほど、感謝してる。だから、どうしても伝えたかった。
お母さん、どうか幸せになって。私は、お母さんのお母さんでもないし、昔好きだった人でも、ましてや夫でもないけれど、私は娘として心から願ってる。苦しいくらい想ってる。
お母さんは、私が生まれてから、いやきっとその前からずっと「いいお母さんにならないと」って思って、頑張ってきたんじゃないかな(だめだ、この文章を書いている側から胸がギュッとして苦しい。涙が止まらなくなりそうになってる)。
でも、もしお母さんがしんどいなら、“いいお母さん”になんてならなくていい。家事だって、パートだって、毎日の料理だって、掃除だって、やらなくていい。
私わかった。彼氏の家に行くようになって、1週間くらいの間実家に帰って来ないでいたようなとき、私やっとお母さんのすごさに気づいた。お母さんがどんだけ頑張って、この家を綺麗に保ってきたのか。なんでこの家には、いつもゴミ一つ落ちてないのか。なんで、私たちはこんなに元気に過ごせているのか。やっとわかった。
やっぱり、お母さんはすごすぎる。これをずっと長い間続けているって、信じられないぐらい労力がいることだと思う。
私のお母さんみたいに、こんなすごいことできる人、いないと思う。いるかもしれないけど、できない人だっていると思う。
そして、このすごさを世の中が理解してないのは、やっぱりおかしいと思う。お父さんは、ひどいよ。いや、悪いのはお父さんだけじゃない。世界中の“お母さん”のすごさを理解してない世の中もよくないと思う。
…そう思っていたから、そうやって世間を憎んでいたから、二人が仲よさそうに話しているのを見てすごくほっとした。お父さんの仕事がテレワークになって、家族みんなで過ごす時間が格段に増えたとき、最初はかなり心配してた。昔から喧嘩ばっかで、顔を合わせると口論してたから、こうやって一緒にいる時間が急に増えると、離婚がいつも以上に現実的になるんじゃないかと。また、二人を見て二人の話し声を聞いて、ショックを受けるのかなと。
でも、まあ私も兄妹も大きくなったし、これは夫婦二人の問題だから、離れる選択をすることになっても、仕方ないなと覚悟はしてた。
だから、二人で話して笑い合ってる声とか聞くと、本当に嬉しかった。昔の私に聞かせてあげたいと思った。
なんで話してること知ってるかって? 実は朝起きる前とか、ちょっとリビングの声が聞こえてきたりしてたの(笑)。でも、私にとっては、そんなことほとんど奇跡に近いことだと思ってたし、兄妹もまだ寝てて、布団の中で二人がリビングで話す声を聞いてるこの時間が、結構幸せ。
お母さん、幸せになってね。もっともっと幸せになってね。「お父さんと私たちがいるだけで幸せ」だなんて言わずに、もっともっと貪欲に自分だけの幸せを掴み取っていってほしい。
歳をとるごとに、どんどんハッピーになってほしい。好きなこととか見つけて、お金なんて気にせずやりたい放題して。
でも、それでももし「今のままで十分」と言うのなら、もちろんそれで、いい。お母さんがハッピーでいてくれることが、私も幸せだし、自分の幸せは自分でしか決められないことだって、私はそう思うから。
だけど、だけれど、もう頑張らないで。今以上に、頑張りすぎないでほしい。
これからは、自分のために頑張ってほしい。お母さん、もっともっと誰よりもずっと、幸せになっていってね。
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