“メディアリテラシー”という高校の授業で学んだこの言葉の意味が、大学や社会人を経験するにつれてようやく身に染みて必要な能力だと気づき始めた。

サイトの運営会社に都合の良い内容では「正確な情報」とはいえない

私は、高校までメディアに多少の信頼を置いてきた。インターネットで検索上位にかかるサイトの情報を鵜呑みにし、踊らされてきたのだ。

しかし、大学に入ってからは、全く違う視点で物事を見るようになった。まず「引用文献を提示せずに様々な情報を載せているサイトは怪しい」と教授が教えてくれた。どこからか情報を引用する際には、引用元を明記すること。これは、大学1年生のレポート講義で学ぶ初歩的なことだ。

だが、実際にインターネットを見てみるとどうだろう。引用元を明記しているサイトは、あまりにも少ない。私がまず信頼できる情報を見つけたい時にチェックするのは、参考文献や引用文献が明記されているかどうか。

次に、大学の上級生になると“論文から情報を得る”という手段を得た。メディアに書かれている「〇〇割」「〇〇%の確率で」という言葉には、バイアス(偏り)がかかっているということに気づき始めたのだ。その割合をどういった調査手段で、得た割合なのかを知る必要がある。そのサイトの運営会社に都合の良い調査方法では、正確な情報だとは到底いえない。

私が、自分で「サイト」を作成・運営して気づいたこと

最後に、社会人になり自分でサイトを作成し、運用してみた時に気づいたことがある。それは、インターネットは広告料が全てだということだ。広告料を払えば検索上位に位置付けできるし、ブログやSNSでおすすめ商品を書いているのは主に広告料のためということ。

「気づくのが遅い」と言われればそれまでであるが、自分でサイトを運用するまで気づけなかったことが多々あった。情報が溢れるこの時代、本当に価値がある、そう思える情報を探すことは至難になっている。

中でも、私が一番に危惧していることは、インターネットにおける医療情報の混沌さだ。日本には、信頼できる医療情報のサイトがあまりにも少ない。厚生労働省の作成している公式ホームページから、医療情報を拾えている人は一体どれくらいいるだろうか。私は看護師ということもあり、医療情報サイトには常に疑いの目を向けている。

具体的には、低容量ピル について検索してみれば、とてもわかりやすい結果を見ることができる。検索結果には、いろいろなクリニックのサイトがずらりと並ぶのだ。そこでは、ビジネス目的の情報が強調されており、患者の利益を一番に考えないところが多い。

副作用については軽く記載するのみで、効果をより強調するのだ。例えば「低容量ピルの内服で、乳がんのリスクが上がります」と書かれているとする。どのくらい内服すれば、どれくらいの確率で乳がんになってしまうのか。明記されていない上に、参考の論文さえ掲載されていない。

ビジネス目的に医療情報が掲載されることは、あってはならないと私は感じる。

私が伝えたいこと「営業目的のサイトの医療情報には踊らされないで」

だからといって、インターネットに溢れる宇宙レベルの情報量を今から整理するなんて、できっこない。そのため、自分たちのメディアリテラシーを向上するしかないのである。ただ、私は医療従事者である限り、利用する人に有益な情報を正しく配信できるサイトを構築したいと考えている。

そのため、今後は大学院でメディアと健康情報について学ぶ予定だ。数年後には、メディアに対する私のもやもやをみんなに届けて、そして解決できる道筋を提供できればと願う。

とりあえず、今のところ私には何の力もないため、もし医療情報を検索する人がいるならば、私が唯一といっていいほど心酔し信頼している『かがみよかがみ』のメディアの力を拝借し「営業目的のサイトの医療情報には踊らされないで!」と伝えたい。

女性はとりわけ、低容量ピルや緊急避妊薬など、検索することが多いのではないだろうか。可能であれば、日本産婦人科学会や厚生労働省など、営業目的でないサイトを見て欲しい!

これだけたらたらと書いて、本当に伝えたいのはこの一文なのだから、インターネットというメディアは、そりゃ情報過多になるでしょうよ。