どうして私は、他の人にとっての「ふつう」から外れることが怖いんだろう。

そんな問いをするようになったきっかけは、私の父である。「ふつう」の父ではない、金髪になった父だ。

久しぶりに会った父の髪色は金髪になっていた

最近、実家に帰省したときに久しぶりに会った父の髪色は金髪になっていた。

イメチェン…したのは知っている。何日か前にLINEで「イメチェンした」という内容でアッシュグレーに髪を染めた自撮りの写真を送ってきていたから。

けれど、私が父を見て一番に思ったことは「色落ちしてるじゃねぇか!!」だった。

そして次に考えたことは「この髪色で仕事に行ってるのか?」である。また、いい歳のオッサンが急に金髪になって大丈夫なのか?とも瞬時に考えた。

…ご近所さんに変なこと言われてないだろうか。

…父の職場の人に何か変なことを言われてないだろうか。

そんな心配が頭をよぎる。けれど、父の顔は満足気だった。

どうしたらいいかわからない不安に駆られた私に、母は「本人が幸せそうだからいいんだよ」と言ったのであった。

裁判官になれる人は「特別」で、私は「ふつう」?

後日、私は過去のある出来事を思い出した。というのも、父に会った後から「ふつう」について考えていた結果、その出来事を思い出すことに至ったのである。

実は私は将来裁判官になりたかった。しかし、高校のときにそれを友人に話したら「あなたは『ふつう』だから無理だよ!裁判官になれる人は生まれつき『特別』で、ものすごく頭がいい人なんだから!」と言われてしまったことがあった。

それからは「私は『特別』じゃないから裁判官になれない。こんな夢を語ることは恥ずかしいことだ」と思ってしまい、本当になりたかった夢を語れず、現在は大学に通っているが、今も将来へ一歩を踏み出せていない。

そう。このような出来事が原因で、私は周りの人にとっての「ふつう」が怖くて、何も動き出せていないのだ。

勇気を出して「ふつう」から飛び出さなければならない

――「じゃあ、私が現在の父と同い年になった時に金髪にしたいって思ったら金髪になれる?」

そう自分に問いかけてみると、「…無理だな」と思った。

すると「自分が金髪になりたいって思ったのにならないの!?変わる勇気がなければ、あんたの将来なんて一生開かないよ!!」と、頭の中でそんな言葉が聞こえてきた。

これは、普段の自分なら絶対に言わない言葉で、思いもつかなかった言葉だった。

そのとき、何かが頭の中でパーンと弾けた。

「誰かの『ふつう』に当てはめて自分の本心を隠すことは、なんてバカげたことなんだ」

「勇気を出して『ふつう』から飛び出さなければならない」と私は気づかされた。

どんなに素晴らしい文章を読もうが、どんなに素晴らしいことを語られようが、「どうせ私はこの人たちとは違うもん」と思って、「ふつう」から外れることが怖いからと本心を隠して崩れることのなかった私の世界が、金髪になった父によってぶち壊された瞬間だった。

「『どうせ私はこの人たちとは違うもん』じゃなくて、自分で『自分の中のふつう』を壊しなさい」

これがグルグル考え続けた私の答えだ。

自分にとっての「特別」を作り出していかなければならない

世の中には沢山の「ふつう」が溢れていて、人間の数だけそれぞれ「ふつう」があると私は考える。

けれど、その「ふつう」に自分が当てはまる必要などない。勇気を出して他の人にとっての「ふつう」を超えて、自分にとっての「特別」を作り出していかなければならない。

父が他の人にとっての「ふつう」を超えて幸せになったように、私も自分の「特別」を生み出していかなければならない。

就活を控え、人生の帰路に立つ今、「ふつう」を超えて「なりたいもの」を素直に口に出せるようになったか、将来答え合わせをしよう。