苗字は私のアイデンティティそのものだ。
高校の時からずっと「わじ」と呼ばれてきた。きっかけは高校の部活での自己紹介だった。同じチーム内に私と同じ名前の子がもう一人いて、ややこしかったから名前で呼ばれる権利はもう一人の子に譲った。女の子の名前人気ランキング3位にランクインしたこともある私の名前は同年代に多いのだ。
そこで「『わじ』って呼んでください」と自己紹介した日から、覚えやすいし呼びやすい!と好評で、私はみんなの中でずっとわじだった。
中学や高校で同級生に同じ名前の子が3~4人はいたけど、同じ苗字の人とは芸能人以外でこれまで知り合ったことがない。他の同じ名前の子と差別化できる、私にとって特別な苗字なのだ。

でもその苗字が失われる危機が訪れた。大学生のとき、両親が離婚した。
母は旧姓に戻った。親権の関係上、私も母の旧姓に変わるはずだった。しかし、女性の苗字というのは失われ、変わりやすいものだ。いつ結婚してまた苗字が変わるかも分からないから、苗字はそのまま変えないことになった。周りの人も混乱するから。そのおかげで、私は今でも「わじ」と呼ばれることになった。

旧姓の救世主!?ミドルネームという存在

でも、それももう長くは続かないかもしれない。結婚という二度目の危機が訪れるからだ。ただし、日本人と結婚するならば。私が今お付き合いしているのはアメリカ人の彼氏なので、日本で国際結婚をした場合は、なんと戸籍上の苗字は変わらないらしい。一方で、夫の姓に変えるという伝統にならうなら、希望して彼氏の姓をもらうこともできる。
その場合、結婚したら私はもう「わじ」ではなくなってしまうのか...?

ただし、アメリカにはミドルネームが存在する。これが私の救世主となり得るかもしれない。というのも、ミドルネームとはニックネームのような第二の名前なのだが、アメリカ人女性の中にはミドルネームに旧姓を残している人がいるというのだ。
アメリカでは選択的夫婦別姓が認められていて、多様な選択肢があるそうだが、女性が夫の姓に変える例もまだまだ多いそうだ。ただ、中には自分の旧姓をミドルネーム化する女性もいるのだという。つまり、ファーストネーム・ミドルネーム(第二の名前)・ミドルネーム(旧姓)・ラストネームというわけだ。
ずいぶん長くなってしまうが、これなら私も旧姓を残せることになる。愛着のある大切な苗字を失わずに済むし、彼の苗字も背負うことができる。

どちらの苗字も残すことができるというのは名案かもしれない。初めてミドルネームという概念に感謝することになった。
国際結婚によって、旧姓には選択的夫婦別姓、そしてミドルネームという選択肢がもたらされるというわけだ。選択的夫婦別姓がまだ主流ではない日本では、夫婦で別姓を名乗ることに賛否両論あるだろう。だからこそ、国際結婚によって可能性が広がる未来は、少し明るい。