数年前、すごく好きな人がいた。彼が運命の人だと本気で思ったし、終わりが来るなんて想像できなかった。

日本だと、小学生くらいから男子と女子がなんとなく分かれて、一緒にいるとからかわれたりする。大人になっても「小悪魔テク」とか、人を人と考えてないような恋愛情報がたくさんある。相手は人間なのだから、“テクニック”で”落とす”というのは違和感がある。

海外では女性としてではなく、人として接する文化がある

愛は「相手の幸せを一番に考えて行動すること」だと思う。

だから恋愛って、「上目遣いをしたらモテる」とかそういうことじゃなくて、“大切な相手が何をしたら幸せになるのかを考えて行動する”というシンプルな行為だと思う。

私が海外で生活して思ったのは、女としての前に、まず人として接してくれる人が多いことだ。特に欧米だと、小さい頃から男女が一緒だから、男女で毎日出かけても、ただの友達ということもよくあった。それで、私は外国人と付き合うという目標で婚活をした。

そして、あるアメリカ人と出会った。日本語が上手で、ゲーム、読書、議論好きと多くの共通点があった。

週末は遅くまでデートをして、週に数回は2時間くらい長電話をした。そして、一日一回長文のラインをする。長文というのが、想像の15倍は長い。ラインのスクショで3、4枚だ。

今思うと、「長すぎだろw」と思うけど、当時は論理的思考力が高くてかっこいいと思っていたのだから、恋は盲目だ。

私は1年間恋人として認められない存在だった

私たちは一年間“デーティング”した。つまり、一年間彼女として認められないまま彼女のような存在でいた。

日本だと、三回目のデートで告白して付き合うみたいな流れがあると思う。
でもアメリカでは、付き合っている人とすることを、付き合っていない状態でするお試し期間みたいな、デーティングという期間がある。

付き合ったら相手だけにコミットするから、コミットできる人なのか分かるように何でもしてみるのだ。相性が合わないと長く関係性を続けられないと思うならセックスもする。

付き合ってはないから、他の相手ともセックスしていいし、何人とデーティングしていてもいい。

これを知ってから、セックスアンドザシティを観ると「relationship」とか「付き合おう」にあたる言葉を言われた主人公の顔が輝くシーンを何度もみる。

恋愛経験豊富な主人公たちでさえ、デーティングの間は、相手がいつ自分を公認の彼女にするのか完璧には分からないのだ。
話を戻すと、彼と過ごすほどに、私は彼が運命の人だという確信を強めた。家族と仲が良く、仕事も専門性が高くて、話の引き出しも多くて、頭も良い。誕生日には私にプレイしてほしいゲームをくれた。

しかし半年をすぎた位から、どうしてまだ彼女になれないんだろうと思いだして、その頃から彼に違和感を覚えることも増えてきた。

例えば、私の家庭で色々あり、他人の家族の楽しい話を聞きたくないと言った時も、いつまでも家族の話をした。自分が話したいことは私が嫌でも関係ないんだと思った。

他にも、彼は一度も私と英語で話さなかった。英語で話しかけても頑なに日本語で返す。そんなことはありえないのに、日本語を話す方が英語より楽と言っていた。それを聞いた時、直感的にこの人は自分の事を愛していないと思った。

私と彼の間には、越えられないなにかが確かにあった

英語を話す自分、アメリカ人の自分を認められないと感じる何かがあった。

さらには彼の生活リズムだ。彼は朝5時に起きて9時に寝る。自分が眠ければ私が夜中に泣いて電話しても出ないし返事もしない。

そして、私はゲームは明るい部屋でするが、彼は暗い部屋でゲームをする。私とゲームをする時も彼は私の事を考えず、電気を消した。こんな風に、小さな違和感が積み重なった。

ある日彼が、彼にとって大切なイベントに大事な人と行きたいと言って私を誘った。大事な人という響きが嬉しかった。しかしイベントでは「友達」と紹介された上に、彼は一日中なぜか上の空で、帰りにはハグもせずに適当に帰された。

その数日後、突然「色々あって時間がほしい。落ち着いたら連絡する」とラインがきた。友達にきくと、距離を置きたいって意味じゃないかと言われた。

急に距離を置く理由が分からなかったし、自分が悪者になりたくないから、表面上は穏便にしてるけど、実際は自分勝手にフェードアウトしようとしてるのが目に見えて腹が立って怒りのメールを送った。

すると、彼から初めて短いメールで「電話しよう」ときた。
電話で、もう逃げられないと思ったのか、彼は本音を話し始めた。

まとめると「長いこと過ごしたけど、好きになれなかった。他の女ともデートしたけど、誰も好きになれなかった。君は感情が多くて一緒にいると疲れる、だからもう話したくない」ということだった。

どこかで、本当に数日後に落ち着いたら連絡がくるんじゃないかと思っていた私は、本当に勝手にフェードアウトするつもりだったのかと思ってすごく腹が立ったし、悲しかった。

自分を愛せない彼は、私を愛せなかった

その後しばらくは、毎日話していた人が急にいなくなって呆然とした。朝に彼のメールがないことがすごく悲しくて心に穴があいたみたいだった。

すごく好きな人から、私の長所である感受性を、“感情が多すぎる”と否定されて、私の性格がダメだからうまくいかなかったんだと思って、自分を責めて毎日泣いた。

その後、友達に彼の話をしたら、彼は自分を愛せていないと思うと言っていた。自分を愛せない人は他人も愛せない。「何人かとデートしたけど、誰の事も好きになれなかった」というのが証拠だと。

たしかに、彼の言うことは全てが矛盾していた。話し合いで解決したいといいつつ、一方的にフェードアウトする自己中さ。自信に溢れているようで、自分を受け入れられない彼が見え隠れした。

良いことをみつけるなら、彼の経験があったからこそ、今の新しい彼氏がどれだけの奇跡なのかと、感謝ができることだと思う。

正直言って、いまでも急にフェードアウトするなんて、ふざけんなよとラインしてやりたくなる時があるけど、もう二度と、運命だと思った彼と話すことはないんだと思う。