正直に言えば、私は今まで周囲の環境で“性”について悩んだことはない。
しかし、なぜここでわざわざ女性についての議論で興味を持ったのかについてはっきりとした理由がある。

私は今大学生で、実家から離れて一人暮らしをしている。

大学生になるまでは、親が家事から学校の手続きまで行ってくれていたので、何も不便はなく特に困ったことはなかった。毎日学校や部活に勤しみ、休日には友達とお出かけするというような充実した生活をしていた。普通に勉強も部活も恋愛もしていたと思う。

そんな私がふと性教育について思ったのは、生活環境ががらりと変わった大学生なりたての春である。

高校まで、ほとんど男女の知識がなかった。相談する相手もいなかった

私が通っていた小・中学校・高校は真面目な生徒が多く、生徒指導の先生の目も行きわたっていた。周りで付き合っている子はいたが、手をつないだ報告を受けただけで大はしゃぎをし、チューをしたなどと聞いた日には飛び上がって驚くほど純粋であった。

後々同窓会等で話した同期の男子は本人たちの興味から性に対する知識は身に着けていたようだが、女子同士では恥ずかしさの方が上回り、SEXという言葉をかろうじて知っている程度であった。

隠語なんかは何も知らず、高校生で違う地域の中学校(そのような言葉が飛び交っていたような学校)から来た子が、なぜHや6の英語の発音や、「たつ」とか「する」といった言葉でにやにやしていたのかも正直理解できなかった。

別に普段の生活には支障はない上私には彼氏がいなかったので、そのような話題はタブーで、話したり相談するなんてとんでもない変態がすることだと思っていた。もちろん、親や先生となんて男女の話ができるわけがなかった。

二人きりの夜、キスしようとする彼に私は聞いた。「どういうこと?」

晴れて地方の大学に合格した私は一人暮らしを始めた。何かが怖いとか不安というよりは何もかもが新しい環境で新鮮でわくわくしていた。大学では楽しそうなサークルに入ると決めていたので、4月の新歓で積極的に声をかけてくれていたあるダンスサークルに入った。

通っていた大学は地方からくる学生が多くほとんどが一人暮らしであったため、他人の家に行くこと、また人が自分の家に遊びにくることに何も抵抗がなかった。人とコミュニケーションをとるのも得意だったので、男女ともに仲が良い友人や先輩が新学期にしてたくさんできた。

ある日、仲の良かった男友達とサークルから帰っていた時に「次の日の朝早く学校に行かなければならないから大学付近に泊まりたい」と言ってきた。その子は実家から通っていたため、よく同じサークルの仲間の家に泊まっていた。うちにも来たことがあったので、この日は2人だけであったが別に夜に用事もないのでうちに泊まってもいいと告げた。

一般的にはこの時点で“アウト”なのだと思う。しかしこの時の私には困っている友人を助けようという思いしかなかった。彼にどこまで下心があったのかは不明だが、家で少し話した後、急に彼の様子が変わった気がした。何が、といわれるとわからないがおそらく私が家に2人きりで泊まることを了承した時点で、彼の中ではGOサインが出ていたのだと思う。

付き合ってもおらず、ましては恋愛感情すら湧いていない彼がいきなり近寄ってきて強引にキスをしようとしたり執拗に触ったりするようになった。私は訳がわからずきょとんとして聞いた。「どういうこと?」

彼は私を本気で心配し、私は自分の無知が恐ろしくなった

全く知識がない、そのようなドラマや本漫画にはほとんど触れてこなかった私も悪い。

しかし本当に何もわからなかった。彼はその雰囲気すら察すことができていない私を本気で心配し、いろいろ教えてくれた。性行為のことや学生の性事情、雰囲気やどのようにして男女が愛を育むのか。

生々しい内容ではあったが、子供のでき方を生物学的にしか学んだことがなく、そのような前戯があることすら知らなかった。その瞬間私は自分の無知さが恐ろしくなった。

彼は優しく、強引にSEXをするようなことはしなかったが、されても文句を言えない状況を自ら作っていたとは今では思う。大学生になって初めて興味を持ち色々調べるようになったが、日本の性教育は諸外国と比べなかなかひどいと思う。

学校ですべてを網羅することは無理であることは重々承知であるが、もっと性に対してオープンに、そして自由に相談し合える場がもっとあれば、私の認識も変わったかもしない。わざわざ授業で扱うとなるとまた問題はあるとは思うが、そのような類の話題を話したり知ったりできるフラットな場の提供やR指定の作品は再検討すべきだと思った。