パパ活アプリに登録してみたら、意外と自分に値段がついた

ストレスが溜まって仕方ない時、これまでやったことがないことや少しタブーとされていることを無性にやってみたくなる時がある。
このままうつ病で死ぬくらいなら面白いことしてみよう、と思い立って、今回パパ活アプリに登録してみた。
パパ活は援交とは違う、と私は聞いている。私の場合、食事のみでお手当をもらいたい旨を書いたのでセクシャルな行為まで進む予定や、継続してパパを持つつもりもなかった。物は試し、至極軽い気持ちで登録し、プロフィールを作成すれば、面白いくらいいいねが来た。
「条件が合えば会いたい」という項目を指定しておいたのだが、最初から条件提示してくれる人は少なく、まずは雑談から始まったり、明らかにこちらを軽んじるような思わせぶりなやりとりを始めようとする男性が多かった。
パパ活専用アプリを使っている時点であまり普通の人はいないだろうと思っていたが、なかなかスパイシーな経験だった。名前も本当の職業も本当の年収も知らない男の人から、会ってあげてもいいよというニュアンスでメッセージをもらう感覚は、あれ以外では味わえないだろう。
私は本気ではなかったので、どこまで下手に出れば食いつくのかやってみたが、そんな私もなかなか性格が悪いのでお互い様だ。男と女の戦いの場だと思った。どちらが上か、金を払う側か、貰う側か。搾り取る側なのか、縋り付く側なのか。深い世界だ。
そんな中、一発目に条件提示してきてくれたスムーズで紳士的な方がいた。1時間カフェでお茶して1万円くれるとのことだった。
お店をいくつか提示してもらったが、もともと私が行きたかったカフェが入っていたのでそこにした。本来ならばもっと高いお寿司やフレンチがスタンダードだそうだが、私がお洒落なところでは落ち着かないと言ったら、お洒落すぎないカフェを提示してくれたのだ。
お会計は向こう持ちだろうし、初めて会うのにカフェくらいなら私の良心もさほど痛まない。おまけに1時間で1万円、魅力的な条件に思えた。
そこまで話が進んだところでアプリを落として、家事をしてコーヒーを飲んでよく考えた。
彼は何に期待しているのだろう。無論、お茶友達を1万円で買うはずがない。若い女を連れ歩く自分?それともその後セクシャルな関係に持ち込みたい?たいして可愛くもない私を1万円という、お茶だけと明記してあるにしては高い値段で誘ってきたのは、押せばそのままホテルへ行けそうだと判断したからだろうか。
そう考えて、世の中は様々な人の思惑で成り立っているんだなぁ、としみじみしたところでアプリを退会した。
会う気がなかったわけではないのだが、会って1万円をもらってしまえばそこを極めたくなってしまう気がしたし、やはりお茶だけで1万円貰えるほどの人間ではないような気がするし、お昼間に会うとはいってもセクシャルな関係に進もうと言われて逃げられる自信はあまりなかった。私は走るのが遅い。
パパ活とは、どちらがどちらを搾取しているのだろうか、その辺りは当事者たちもわかっていないのだろうし、私も分からなかった。
今回の収穫としては、8割くらいの確率で男性は既婚者だったと知ったことだ。私はてっきり独身の人ばかりだと思っていたが、既婚の男性とお茶してお金をもらうならばそれは不倫では?裁判になったら確実に負けるのでは?と思ったのだが、その辺りのリスクヘッジはパパ活女子はしているのだろうか。非常に心配だ。
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