恐ろしい夜がやってきました。怪しいと思う人を選んでください。

滑り止めで受かった大学に「自分の居場所はない」と思い込んでいた

第一志望の大学に落ちた私は、滑り止めで受かったそこそこの私立に行き、自分の居場所はここではないと、現実世界から目を背けて生きていた。
厳しい両親に育てられ、昔から勉強はできた。小学生の時から授業で習うよりも先に家で勉強し、学校の授業は復習だった。授業についていけないなんてことはなかったし、勉強で苦労したこともない。第一志望の高校に合格し、学年での順位はだいたい10番以内には入っていた。

自分は勉強ができると思っていたから安心していたんだと思う。自分の志望校がレベルの高い国公立だということも、模試の結果が毎回D判定だったことも、現実を受け入れたくなくて見て見ぬふりをしていた。

小さい頃から勉強してきたから大丈夫と自分に言い聞かせ、そこそこの勉強を続けてきた私は、行きたかった大学の試験に落ちた。前期、後期と2回のチャンスがあったけど、どちらも当たり前のように不合格だった。

納得いかない大学で、キャンパスライフを謳歌しようなんて思えなかった

大学に入学しても、自分が目指していた大学に入れなかったことに納得がいかず、私はこんなところにいるはずじゃない、と心の中で思い続けていた。華やかな大学生活なんて想像できなかったし、この大学でキャンパスライフを謳歌しようなんて気にはならなかった。

本当は、あの程度の勉強しかしてこなかった私には十分すぎるぐらいの大学だということはわかっていたけど、それを認めたくなくて、諦めきれなくて、仮面浪人しようと考えていた。

もう1年もっと必死に勉強して、1歳下の子たちと同学年になって、友達よりも1年遅れて他の大学に入学し直す勇気なんて、本当はなかったくせに。
なんだかんだで写真部とダンスサークルに入り、ダンスサークルを1ヶ月で辞め、自分の居場所がわからないままだらだらと大学生活を過ごした。

私の学科には、1年生の年末に合宿がある。通称クリスマス合宿。毎年クリスマス前後で行われるからクリスマス合宿。その年はクリスマスの次の日の26日だったけど、みんなでクリスマス合宿と呼んだ。

不満だった合宿も、大人の仲間入りを許された嬉しさで参加したゲーム

ゼミごとに調べたことを発表するのだけど、それだけのためにわざわざ山奥まで行ってみんなで泊まる意味がわからない。全てのことに不満だった私は、心の中でずっと文句を言っていたけど、反抗するつもりなんてないから大人しく参加した。

その夜、みんなで人狼ゲームをした。
発表を無事に終え、合宿所の中にある談話室に毛布を取りに行くと、仲の良い友達が何人かいて、そこには私の知らない人もいた。

たまにキャンパス内で会って挨拶をする子もいたし、顔だけ見たことある子もいた。
人狼ゲームのルールを知らなかったので、最初は見てるだけにしようと思った。どこかで人と線を引いていて、私はこの人たちとは違うんだ、と思おうしていた。

22時に消灯となっていたけど、様子を見に来た先生に注意されることはなく、電気と暖房が消えるから毛布で防寒しとけよ、と言っただけだった。先生に注意されるものだとばかり思っていたのでびっくりしたけど、大学生はもう大人だ。そこは自己責任。

大人の仲間入りを許された嬉しさと、これから夜が始まるんだという真っ暗で冷たい部屋の空気にテンションが上がり、私もゲームに参加したくなった。
やってみると意外と難しくて、推理とか駆け引きとかしている余裕はなかったけど、なぜかすごく楽しかった。
みんなは飽きもせず人狼ゲームを繰り返し、眠さに気づいた頃には8時間が経っていた。

7年経った今でも続く人狼LINE。大学生活でできた「友達」との日々

合宿の2日目、一睡もせずに挑んだバレーボール大会の最中に、「また人狼やろうよ!」と言って招待してくれたグループLINE「社学★人狼LINE」は、7年経った今でも続いている。
このグループは、あの夜人狼ゲームをしたメンバーと、そのときはいなかった人も何人か追加されて、21人になった。

トークルームの最初には、朝方に真っ暗な部屋で撮った、誰が誰だかわからない写真が送られていた。ほぼ暗闇しか写ってない写真なのに、今まででこれを超える写真はないんじゃないかと思う。

合宿が終わってから、あのときと同じメンバーで集まって人狼ゲームをすることはなかったけど、大学生活はこのグループの中の何人かと遊ぶことが多かった。
「この日あいてる?」と誰かが呼びかければ、予定が合う人だけで集まって遊んだし、「誰かお昼一緒に食べよー」と言えば、食堂の席を教えてくれるのでそこに混ざり、お昼に1人になってしまうことはなかった。

あの夜はほとんど会話もしなかった人も、3年後には一緒に卒業旅行に行っているのだから不思議だ。旅行に行くと必ず、夜には人狼ゲームをした。

あの夜、人狼をしたみんなと出会ったおかげで居場所を見つけられた

入学当初、別の大学を受験し直そうとしていたのは本気ではなかったとしても、自分はなんでここにいるのだろうと、毎日考えながら生活していた。希望通りではなかった大学に不満を抱きつつも、もう一度やり直す勇気もなく、ただどうやって過ごしていけばいかわからなかった。

みんなと出会ってから、大学生活が楽しかった。私が通う大学も、受けている授業の内容も、周りの環境は何も変わっていないのに、授業も日常生活も楽しいと感じるようになっていた。自分の居場所を見つけたと思った。
今では、この大学に行ってよかったと、心から思う。

恐ろしい夜が明け、朝が来ました。昨晩の犠牲者はいませんでした。それでは話し合いを始めてください。