今となっては親友の彼女に「あなたが大嫌いだった」と言われた夜

「大嫌いだった」と言われたことがある。
大学2年の冬。ビジネスコンテストと呼ばれるプレゼンに出場していて、それは就活前の最後のコンテストだった。
それまでに何度か出場はしていたけれど、賞をもらえることがなく、幾度も悔しい思いをした。何より悔しかったのは、負けた理由が分からないこと。それが分からないほどに、知識も経験も足りなかった。
だから、最後のコンテスト前、そのグループから離れて、私は1人で他のコンテストにも参加して、知識と経験を学んだ。関連本も読み漁り、次の最後のコンテストに絶対に負けたくない気持ちで挑んだ。
そして挑んだ最後のコンテストのプレゼン直前。突如、彼女が泣き始めた。
どうしたって優勝したかった私は、グループのメンバーにも強く当たっていた。
なんで、これくらいが分からないのか。なんでもっと考えないのか。なんでもっと勉強しないのか。
それがある夜、爆発した。
けれど、爆発したのは、私ではなく、グループの仲間の方だったのだ。
泣きながら、あなたは冷たいと。
私だって頑張っているのに、もっと言い方があるでしょう、と。
号泣されながら怒りをぶつけられたその瞬間は、私の方が泣きたいわ、と思ったけど、数分経ってから思った。
そうか、伝わってないのか、と。
そしてびっくりした。
私、つめたいのか、と。
言い方や、態度。仲間に接する上で当たり前のことが、私には欠けていた。というよりも、忘れていたのかもしれない。そして、甘えていた。
何でも言い合える関係に、甘えていたのは、私の方だった。
「私だって傷つく!」
と、泣きながら怒った彼女だって、勝ちたかったのだ。
モチベーションが違うんじゃなくて、私と彼女たちのアウトプットの方法が違うだけだった。
その大喧嘩の翌日から、私は話し方を変えた。やっぱり同じ人だから、一朝一夕で変われたわけではないだろうけど、それでも態度や言葉遣いを変えた。
私の伝えたいことが、私の言い方で伝わらないのは本意じゃない。
そして、なんとか崩壊を免れたそのグループで、結局準優勝を勝ち取った。
目指していた優勝には届かなかったけれど、泣きながら喜んだ。
彼女も含めて、誰も欠けることなく。
それからしばらく経ってから、言われたのだ。
「私はあなたが大嫌いだったよ」って。
「知ってたよ」と笑いながら答えた。
その後、大喧嘩をしたくせに、大喧嘩したからなのか、私たちはお互いを補完するように、さまざまな場面で一緒に色々なことをやった。
私はあの夜言われた言葉を元に、その後も自分の修正を繰り返し、今はきっと、冷たい、とは言われない人に近づけたのではないだろうか。
彼女とは同じゼミで、同じバイトをして、結局その後違う会社に就職したものの、数年して今はなんと同じ会社で働いている。
お互いの就職のときは、自己分析にも随分付き合ってもらった。
彼女と私は似ていない。
でも、私は彼女を尊敬しているし、あのとき私に怒ってくれたことを、心から感謝している。
私は傲慢で、冷ややかで、自己中だ。
それを、芯があって、冷静で、一生懸命だ、と言い換えてくれる親友がいるから、いつだって私はあの大喧嘩をした夜の、反面教師の自分を思い出せる。
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