サンタさんからのプレゼントって、一体いくつまで貰えるものなんだろうか?

季節は冬。街は華やかな飾りつけで彩られ、イルミネーションは煌々と明りを灯し、その日が近づくにつれて人々は浮き足立つ。幼い私はその日を待ち遠しく思いながら、焦る気持ちを抑えつつ、毎日一つずつアドベントカレンダーの扉を開いて、今か今かとその日を待ち遠しく思う。
立派な白い髭を蓄えた赤い服を着たおじさんが、真っ赤なお鼻のトナカイさんを引き連れて、しかもたくさんのプレゼントをそりに詰め込んで、今年も我が家にやってくる。
なんて素敵で特別な日なんだろうか。

がらんどうのクリスマスツリーの下、サンタさんとのお別れは突然に

だけど、卒業はいつだって突然である。
毎年クリスマスのプレゼントを待ち望んでいた子供は、ある日突然、有無を言わさずサンタクロースからの卒業を迫られる。

朝、肌寒い空気に顔をしかめながら、いつもはしない早起きをして、階段を駆け下りて、プレゼントがあると信じて向かったクリスマスツリーの下は、ある年から急にがらんどうになってしまう。シンと張りつめた冷えた空気が、あの日、キラキラした綺麗なものをどこかに持っていってしまった。

気がつけばサンタクロースからプレゼントを受け取った年数よりも、卒業してからの年数のほうが圧倒的に長くなってしまった。いつの間にかクリスマスはサンタクロースからプレゼントを貰う日では無くなって、家族や友人とちょっといつもより豪華なご飯とケーキを食べる日になっていた。
顔を歪めて泣きそうになりながら「サンタさんは?」と言ったあの日の子供は、突然告げられた「来ないわよ。だってあなた、もうお姉ちゃんでしょ」という母の言葉とともに、突然のサンタクロースとの別れを受け入れ、少しだけ大人にならないといけなかった。

今もサンタさんとお別れを言えなかったことを、少しだけ後悔している

もうすっかり大人になってしまった私は、サンタクロースから突然卒業することになったあの日の喪失感を、どうやらまだ少しだけ引きずっているようだ。引きずっているという事実につい最近、偶然気が付いた。
最近実家の部屋を片付けていたら、幼い自分が書いたサンタクロースに宛てた手紙を見つけた。急に別れを告げられたあの年、あの日の自分がサンタクロースに渡そうとしていた手紙だ。渡したくて、渡せなくて、でも捨てられなかった手紙。
あの日、私が少しだけ大人になるために押しつぶした、寂しさのようだった。

大人になった私は、サンタさんとお別れを言えなかったことを少しだけ後悔している。あの日、少しだけ大人になることを求められた子供は、せめてサンタクロースときちんとお別れがしたかった。
今まであなたがくれたワクワクとドキドキとキラキラしたものにきちんと「ありがとう」を言って、そして寂しいけれど、とっても悲しいけれど「さようなら」を言って、そうしてお別れがしたかった。
幼い私が無理やり大人になった分だけ、大人になった私は子供みたいなことを言う。

そんな私は今年のクリスマス、サンタさんに手紙を書こうと思っている。もう私は大人になってしまったけれど、元子供だからきっとこの手紙は届くだろう。
もうすっかり大人になってしまった元子供から、子供だった頃の私からの手紙を添えて。「ありがとう」と「お別れ」を。ありったけの感謝を込めて。