私の夢は、子育てをすること。それも、山と川、海に囲まれていて、なにより大好きで大切な人たちと生きていく日々を過ごす中で、子どもを育てたい。できれば30歳までにひとりは産んで、育ててみたい。
その子が生まれてきて、その子も、私自身も、そして周りの人たちも、みんなが自然と居心地良く暮らしていけたらいいなぁと願って旅をすることにした。
そして、この夢を本当に叶えるべきなのか見極めながら旅をしたいと、その一歩を踏み出した最近だ。
こんな願いを持つようになったのは、私の過去の反動だと思う。
何より私は子どもが嫌いで、生きていて辛くて、いかに早く死ぬかを考えて小学生時代から生きていた。
死ぬことだけが、私にとっての唯一の救いだった。

辛い子ども時代。親になりたくないし、学校なんて二度と行きたくない

親になってはいけないと思っていた。なんなら私の遺伝子なんて、この世から消さなければならないとすら思っていた。早く早く、消えてしまいたかったんだ。
まず、親になりたくなかった。
父と母が私を授かって、私は父方の祖父母の家、つまりは父の実家に母ともども連れ戻された。父は大変な金食い虫で、建て前だけは立派に繕うことが得意だった人。
そんな父をなんとかしようと祖父母も母も奮闘したそうだけれど……毎日母と喧嘩する父。怒鳴り声の響く日常。結果は、見たこともない大金や家財道具を丸ごと、父は愛人を連れて持ち逃げした。
そこからの日常は別の地獄で、家族は好きなのに家庭が地獄という日々だった。本当に、生きていて辛かった。母の元に生まれなければと、自分を責め続けた。

次に、子どもが育つ、教育なんて残酷でクソだと思っていた。父が逃げる前に、2人の弟が生まれた。2人とも可愛くて大好きで、めんどくさくて、なんだか難しい弟たちだった。2人ともそれぞれに、障害を持って生まれていたのだ。
そんな2人が同じ学校に上がってきて、特別支援学級ができた。はじめこそよかったものの、2人がその環境に合わないこと、いじめが起きていること、私自身もクラスが高学年から学級崩壊したこと、それが中学時代まで続いたこと、それら全てに私は無力で、周りもみんな傷ついて、なんのための学校なのか、なんのための時間なのか、何もかもが辛くて、学校なんて二度といきたくないし、人生で1番したくない仕事は先生だと感じた。

30歳がゴール。とにかく頑張って、ある日折れてしまった

そして、私は生きていてこんなに辛いのならと、戦うことにした。私は戦って人生を終えようと、「30歳で死ぬ」ゴールを決めた。そしてそれまでに家族みんなが幸せに自立して生きられるようになり、誰かの子どもがこんな思いをしない世界をつくりたいと願うようになった。
そんな世界は家でも学校でもない、第三の居場所なんだと、それを作るからもう苦しませないで欲しいと、小学生の高学年から毎晩泣きながら考えていた。弟のことも、親のことも、教育のことも、片っ端からできることをすることにした。
知識をつけ、人脈をつくり、時にはお金を注ぎ込んで、青春と呼ばれる時代に全部、自分のゴールのために頑張り続けた。ひたすらに頑張った。

3年前、頑張れなくなって、折れた。今思っても、それは未熟過ぎたから起きたことでもあり、頑張れることと頑張れないことの両方が人生にはあるのだと知った。そして、一人で頑張り続けるのもまた、とても危険な選択だったのだと知った。
心折れた時、未熟で失敗してもう嫌だと情けなくて消えてしまいたかった時、家族と死に別れた時、生き別れた時……人生で心挫けた時には、いつも私ではなく、誰かが助けてくれた。そして、助けてくれた人たちに過去を話す中で気づいた。

周りの人たちと幸せに生きていたかっただけだと、気付いた

親になりたくなかったのではなくて、親が大好きだったんだと。教育がクソだと思っていたのではなくて、学校に楽しく行きたかっただけだったんだと。私は幸せにただ、みんなと生きていきたかった。ただそれだけだったんだなあと気づいた。そしてそれを、叶えたいなあと思うようになった。
もう私は頑張らなくても、死ななくても、周りに一緒になって、考えてくれたり、遊んでくれたり、出会ってくれたりする人たちがいるから。その人たちにお返しをしたいなあと思うし、今度はどうやったらそんな世界が叶うのかなあと思うようになった。

でもこの願いも、ひょっとしたら私の個人的な思い込みかもしれない。そして、人と出会う中でまた、本当の私に気づくかもしれない。あとなにより、もし子どもを授かった時に、日本一周したお母ちゃんなんだよと言えたら、面白いかもしれない。
そんなことを考えていたら、考えて悩むよりおいでと、周りが旅を始めさせてくれた。その旅は今も続いている。明日もその次も、きっとその先も、私の旅は人と出会う中で、きっときっと、続いていく。
その先に、幸せに、子育てができる日が来たらいいなぁ。できたら、30歳までに。そんな日がきたら幸せだなぁ。