好きなものを買っていない。お金の使い方がわからないコロナ禍の生活

出かけない、友達とも会わない、外食もしない。そんな生活が当たり前になった。
ひたすら会社と自宅を行き来する毎日。お金を稼ぐために今日も私はマスクをして、人で溢れるバスを乗り継いで会社に向かっている。
ご飯を食べる前、部屋に入る前には必ずアルコール除菌。毎日ハンドクリームを塗っても私の手は今日もカサカサしている。
生活をするにはお金が必要だ。待ち遠しい予定なんて一つもない。お洒落もしなくなったし、友達とももう長い間会っていない。今まで、いったい何にお金を使っていただろうか。正直、最近は自分が好きなこともよくわからない。
だからだろうか。最近、お金のことばかり考えるようになってしまった。
日がな一日中家にこもるようになって、家計簿を付けるようになった影響もきっとあるだろう。
数字になって見えてくると、改めて生活するってお金がかかるなと実感する。
この2年は今までと、お金の使い方がだいぶ変わった気がする。
例えば今まで洋服やら趣味やらに使っていたお金は、除菌グッズや引きこもり生活を充実させるためのものに。部屋を見渡すと、一生懸命引きこもり生活を充実させようとした痕跡があちこちに中途半端に空しく残っている。
今ではもうすっかり慣れてきてしまったけれど、引きこもるのもなかなか難しくて。きっとこんな生活にならなかったら買わなかっただろう物たち。案の定空しく、手放す結果になってしまったものも多い。
好きなものや応援するもの、ハマっているものがあったら何か違ったんだろうか。なにかを好きでいることができる、お金をかけたいと思えるものがあるってとても幸せなことだったんだとつくづく思う。
部屋を見渡すと私は一体、何をしているんだろう、と時々ひどく泣きたくなってしまう。
何かをするという選択肢が日常的に減ってしまったせいで、買い物一つするだけでも前より慎重になったし、失敗してしまった時のショックも大きくなって切り替えも下手になった。
出かけもしない、遊びもしない。せめて家の中でくつろげるようにと買ったものも、直接現物を見ない買い物が多くなったせいだろうか。ハズレることも増えた。
うまく生活できない。うまくお金が使えないことは思いのほかストレスだ。
コロナのせいで何が好きかわからないとお金がうまく使えないことも、うまく使えないとおもったよりストレスがたまることも初めて知った。
お金をうまく使えない。きっと今までは運動したり、美味しいものを食べたり、他のことでストレスを発散して、なぁなぁにできていたんだろう。
ただ残念ながら、日常的に引きこもることを推奨されている今、なかなかそうもいかなくて。私は今まで向き合ってこなかったこのストレスとどう付き合っていくべきかという問題に直面し向き合わされている。
とりあえずまず第一歩として、この間から2年間つけていた家計簿をやめてみた。
試してみているのは、毎月給与が振り込まれたら、生活費や家賃を最初に封筒に分けてしまって、振り分けられた金額でやりくりするというものだ。
これがなかなか難しいけれど、パズルみたいで、少し面白い。やり方を変えるだけでこうも印象が変わるのかと少し驚いている。
幼いころ、大人になって仕事をして、お金を稼ぐようになったら、もっと自由になれると思っていたけれど、実際はなかなかそうもいかないのが現実で。
だけど今日も私は生活をするためにお金と向き合い続けている。
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