楽しいサークル活動の裏で苛酷な運営部の実情。私は何も知らなかった

私は来年度から晴れて社会人。大学生だったときの思い出はなんといってもサークルの日々。
これはサークルで出会って、知って、傷ついて、でも新しい価値観にふれることができた体験談です。
私は大学1年生から3年生までYOSAKOIソーランサークルに属していました。そのサークルはただ踊るだけではなく、地域交流や町興し、イベントの設営撤収のボランティアなど活動の幅は広範でした。毎日の活動を楽しむのに忙しく、特に慣れない1年生のときには先輩たちがキラキラしていて、こんなに毎日充実していて大丈夫なのかってくらいはしゃいでいました。
夏にはお祭りもイベントも多く毎週遠征とフル稼働でしたが、冬には外部の活動も落ち着き、内部の追いコン準備や来年度の新歓準備で大忙しでした。
そんなある日、毎日騒ぐようなテンションから一変、先輩から真面目な集会のお知らせラインが届きました。活動自体は週4日で変わりないのですが、基本的に1年生は楽しむことが優先と、マル秘コンテンツが多く何をするのかも知りませんでした。
その日の集会では、来年度私達が先輩になるにあたって運営に回るかそうでないかを判断しろという話がされました。学生の団体運営は想像以上に厳しいらしく、特に1年生をいかに楽しませるか、どのように遊びと練習を組み合わせればみんなが疲れずに活動ができるのかを考える運営部は通常の部活以上にハードでした。
バイトなんてする暇もなく、昼間は授業、夜は会議で基本的には深夜か早朝まで続くことも……。毎日3時間睡眠を続け昼間の授業の合間に仮眠をする程度で体力が回復するわけもなく、楽しんで行うはずのサークル活動のせいで精神も体もボロボロの運営部の先輩がたくさんいたのを知りました。
中でも私が1番最初に属した班のリーダーがその過酷な会議の積み重ねにより精神病を患っていたことをその先輩が引退してから知りました。1年生だった私達があんなにはしゃいで遊んでいた横で心身ともにやつれていたなんて……。
正直、その話を聞いてショックが大きく、私は運営部をやめようかとも思いました。しかし、自分達のつくるもので自分達の首をしめることをしたくない、今度自分の周りにそんな人がいたら自分が救ってあげたい、と思いました。
しかし毎日の深夜会議、練習の疲れも溜まりとうとう同期でも精神病になってしまった人が出てしまいました。しかも(時期をずらせば)5人以上も……。私はそこまでいかずに済みましたが、かなり疲れ切っていたと思います。
自分が追い込まれて実感したのは、本当に追い詰められると人に「この辛さを話したい」という欲よりも「ほっといてくれ」と投げやりになるということでした。実際に精神的につらそうな友達を見て頻繁に連絡をとったり話したりしていましたが相手の返事はどんどん少なくなっていきます。
何もできない私が1番嫌でした。
その頃から本格的に心理学に興味を持つようになりました。どうしても目の前でつらそうな人がいるのに何もできない自分が嫌いで、かといって何をしたらいいのかわからず、最初に目についたのが心理学やカウンセリングの本でした。
今では同期の友達もなんともなかったかのように元気ですが、今度新しい環境下でつらそうな人に出会ったら、自分が役に立てるように勉強をしています。実践できるものと学問としての心理学は異なるので同時並行で学ぶのは大変ですが、人間関係を築く上でも大事なスキルだなと思います。学び始めたきっかけはネガティブですが、これから私の周りの人がHAPPYになれるよう勉強をがんばりたいなと思っています。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。