「どうせ私は」と閉じこもる私を、みんなが殻ごと抱きしめてくれた

私の人生は、上手くいかないことばかりでした。
学生の頃は、容姿を馬鹿にされていじめに遭ってきました。社会人になってからは、仕事の環境に恵まれず、大好きな職業の間で悩む事が多く、時に体を壊すまで自分を追い込んでしまうことがありました。そして、恋愛も決して自信を持って楽しかったと言えることはありませんでした。
いつしか、他人を羨み自分を隠して生きていくことが当たり前になっていきました。
口癖は「どうせ私は、上手くいかない。人生なんてこんなもんなんだ」。
そう否定的な言葉が溢れ、さらに自分を追い込むことが癖になっていきました。

◎          ◎

SNSに溢れる幸せな日常を見比べて悲観的になり、勝手に見ては、辛くなる材料ばかりを探す生活を続けていました。だから、いつからか「私は、このまま好き勝手に一人で生きて、死んでいくんだ」と諦めにも似た感情を持つことで、心を保つことを覚えていきました。
幸せになっていく友人を素直に喜べない自分に、どうしようもない感情を抱くことも増えていきました。その度に、「これは、私じゃないんだ。違う。今だけ。今だけだから」と自分自身に言い訳をするようになっていきました。
しかし、状況は悪くなるばかりでした。
大好きな仕事に行けなくなり、他人を羨むことに疲れた私は、SNSを見ることも辞め、何もかも無気力になっていきました。美味しかったご飯の味は、随分前から分からなくなってしまいました。大好きだったメイクもファッションも興味は失せ、外に出ることすらしなくなっていきました。当たり前のように仕事に行き、疲れながらも休日を思いきり楽しむ人たちに罪悪感さえ感じるようになりました。
だからと言って、動かない体を無理にでも動かせば今にも倒れてしまいそうになり、さらに劣等感に襲われていきました。

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終わりの見えない痛みに耐える日々は、本当に辛く苦しい。「もういっそのこと、考える生活から解放されたい」と思うことが増えていきました。そんな私は、とうとう薄暗い殻に閉じこもる選択をしたのです。
しかし、出てこない私を殻ごと抱きしめてくれる人たちがいました。「出ておいでよ!大丈夫だよ。あなたならまだやれる」なんて前向きな言葉は、一言も発しない人たちが。彼らは、口を揃えて「もういいじゃない。十分だよ。頑張らなくていい。出なくていいから」そう言って、殻ごと抱きしめてくれるのです。
私のSOSは、はるか前から彼らに届いていたのです。

時には、何時間も電話に付き合ってくれる人がいる。
暇を見つけて会いにきてくれる人がいる。
帰れば、私の好きな食べ物を用意して待ってくれる人がいる。
くだらない話をしながら、笑いを取ろうとしてくれる人がいる。
何より、辛い状況を責めることも考えさせることもなく、「頑張ったね。もういいんだよ。どんな時でも支えていきたいから」と毎日笑顔で寄り添ってくれる人がいる。
昔のように、当たり前の生活は出来なくなりました。今まで出来ていたことも出来なくなりました。
それでも、見捨てる人は一人もいませんでした。それ以上に、沢山の角度から愛情を感じることができました。
「私は、一人じゃないんだ。もう、十分頑張ったんだ」
そう思えるようになったのです。

◎          ◎

きっと、自分が窮地に立たされていなければ感じる事ができないものだったでしょう。関わってくれる人たちに、感謝を抱くことも忘れていたかもしれません。今の状況も環境も決して幸せなものではないですが、きっと、意味があるものだと思っています。
そして、いつの日か笑い話として語れる日が来るとも思っています。「あの時は、本当にしんどかったけど、経験してよかったな」と言える日が来ると信じているのです。
大人になってから、こうして感謝をする気持ちが芽生えることは、自分でも幸せなことだと感じながら、支えられて生きていこうと決めました。そして今度は、私が彼らに恩返しができる日が来たなら、私にしかできない表現の仕方で最大限の感謝を伝えていきたいのです。
彼らの大切な一人として。

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