特集:時が解決してくれたこと

再開したインスタに自分の姿を投稿。自己肯定感がふわっと上がった

時が解決してくれたこと

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小さい頃から見た目や性格に自信がなく、引っ込み思案だった。
バレエを習い、ドール遊びをする「女の子らしい」ことをしている同級生たちが羨ましかった。
テレビの中で踊るアイドルや、雑誌の中で綺麗なポーズで魅せるモデルを観て、「遠い世界」と線引きし、目で追うだけだった。
思春期を過ぎ、「おしゃれがしたい」と一歩を踏み出す。
高校生でアルバイトをはじめ、プチプライスのコスメを買って自己満足で楽しんだ。
ちょうどその頃、写真共有アプリ「インスタグラム(インスタ)」がリリース。誰もが自由に写真を投稿し、公開できるアプリは斬新で、瞬く間に女子高生だった私たちの間で流行した。

◎          ◎

今は一つの投稿で10枚まで写真が載せられるが、リリースした当時は1枚だけ投稿できた。
食べたものや購入アイテムを日記のような形で載せていた。
ほぼ毎日投稿していたので、フォロワーである友人らの目に入ることが多く、写真を褒めてもらう機会が増える。
なんだか嬉しく、「もっと綺麗な写真が載せられるかな」と研究した。
しかし、フォロワーが徐々に増えると、「この人も見てるからこの写真は載せない方がいいかな」など、見る相手のことを考えるように。ひとつひとつ投稿に対してセンシティブになっていった。
親しい友人からの好意的なコメントにさえ、「このコメント欄はあの人も見ているから、きちんとした回答が良いかもしれない」と素直な気持ちで記せなくなった。

楽しかった投稿が苦痛になっていった。
次第にインスタと距離をとり、社会人になるとアプリをほとんど開かなくなった。
その後日々に忙殺され、淡々と毎日が過ぎていった。

◎          ◎

少しずつ仕事に慣れ、「仕事のために寝る週末」から「自由に何かをしたい週末」に変わった頃。
「動画アプリ・ユーチューブが面白い」と小耳に挟み、休日に何気なくダウンロードした。
日々の日常を記録したVlog、短編の料理紹介、韓国の最新音楽……。
「こんなに多ジャンルの動画があるんだ」
純粋に驚き、同時に同世代の人たちが載せている動画を見て羨望の眼差しを持った。
ふとインスタを久しぶりに再ダウンロードしてみる。
本格的なカメラで撮影した世界中の写真や、カフェ巡りの動画投稿など、数年前には見受けなかったコンテンツがたくさん登場していた。
私の知らないプラットフォームが出来上がっていた。

休日にやることなく、暇を持て余していた私は、「インスタをまた始めたい」と、再びチャレンジしてみることに。
今度はリアルな友人らには知らせず、おうちカフェやご飯など主に食べものを載せるアカウントを作った。
知り合いがいないという点で、自由に載せやすくなった。
同じように「趣味用」とプロフィールに記載する方々を見つけ、心強かった。
週に何度か投稿するうちにゆるやかなつながりが生まれていき、投稿のモチベーションが高まっていった。

◎          ◎

今年に入り、「自分の姿を載せてみたい」と思い立った。
きっかけは「おすすめ投稿」に出てきた、カフェで過ごす横顔や後ろ姿を映した韓国や台湾の女性。
等身大の姿が美しく、パッと引き込まれた。
顔を出すことに自信がなかった私だが、「後ろ姿なら、やってみたい」と新たな舵を切る。手探りでポーズを研究し、壁にスマートフォンを立てかけて自撮りした。うまくできず、親しい友人と出かけた際に「こんな風に数枚、撮ってもらえたら」とイメージを伝え撮ってもらうことに。納得のいく一枚を作り、投稿をしていった。

これまで自分の姿を映した写真は、約30投稿。いいねやコメントをいただくと嬉しく、「また載せてみよう」と自己肯定感がふわっと上がった。
撮影に協力してくれた友人も、「私も載せてみたいな」と興味を持ってくれ、魅力をシェアできたことが嬉しかった。

一時期、インスタにキラキラとした写真を載せる若い女性らを「インスタ女子」と揶揄し、ネットやテレビで皮肉を持って表現された。
インスタのメイン層が10・20代であることは事実で、華やかに着飾った彼女らの投稿が目に留まりやすいのは確かだった。
しかし、キラキラした投稿をしているのはその世代だけではないはずで、「若い女性」と括り、否定的な意見を持たれるのが悲しかった。
若い女性に対して、そうした色眼鏡が外されていければ、と願う。

◎          ◎

なぜなら私はインスタに救われているから。少し前の自分ならもっと内向きで、自分自身を載せることをためらった。しかし今はいろいろな写真を載せ、トライアンドエラーの連続ではあるものの、「楽しい」という気持ちが湧いている。
同じように見た目や性格に悩んでいる方も、私と同じように少しでも自分に自信が持てたら。
数年後、「インスタに写真を載せる若い女性らは美しい」と、そんなふうに同世代の女性らがプラスのアイコンになったら素敵だ。

疲れたときにはそっと離れ、気が向いた時に投稿する。外出時に撮影をする際には周囲を気にかけ、迷惑にならないように写真を楽しんでみる。譲り合いのコミュニケーションが生まれ、ほんのひと言、会話が生まれるのも思い出の一コマになっている。
約10年前から私生活の片隅にいる、アプリ・インスタ。投稿を通し、コンプレックスだらけだった私は自己肯定感を高め、ありのままを自分を少しずつ受け入れてきている。
ゆるゆると無理なく、投稿を続けられれば。時が経ち、自分と向き合える存在であったら嬉しい。

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