見返したい相手がいるから、やり続けられる。
悔しいと思わせたい相手がいるから、踏ん張れる。
過去の私を知っている人が、驚くような人になる日まで。

私には、何の才能もない。
昔からそうだった。顔がいいわけでもないし、勉強ができたわけでもない。スポーツだって全くダメだった。そんな私を、馬鹿にして笑った人たちがいる。
小さい頃に味わった屈辱は、大人になってからも、ずっと心の中に残り続けていた。化粧を覚えても、私より綺麗な人は山ほどいたし、ファッションだって好きだけど、目に留まるほどのお洒落かと言われれば、そうではない。
常に頭の中には、「見返してやりたい」という思いが付きまとっていた。

けれど、今はどうだ。
仕事も休んで、一日中部屋の中で過ごしているか、ぼーっと空を見上げて過ごしている。かつて見返したいと思っていた相手のほとんどが家庭を持っているし、それぞれの人生を生きている。まるで、私だけが過去に取り残されている状況に、何とも哀れさを感じてしまう。

◎          ◎

ふと、自分の得意なことを考えてみた。けれど、誰かと比べても秀でるところなんてないし、そんなことを考え始めてしまうと、どんどん卑屈になっていく。いつまでも変わらない自分にも、だんだん腹が立ってきてしまう。
そんな時に、私は文章を書き始めたんだ。

きっかけは、マッチングアプリで知り合った人が、詩を書いていたからという、何とも安易な考えだけど、気がつけば一年が経とうとしている。
今まで言えなかった思いが多すぎて、書いても書いても、次々に浮かび上がる感情は、時折、恐怖さえ感じてしまう。
どれだけ忙しくても、時間がなかったとしても、書くことだけはやめなかった。
飽き性の性格からしたら、奇跡に近いものを感じる。
それだけ、言えなかった思いが多すぎたのだ。

◎          ◎

しかし不思議なことに、書くことを始めてからは、少しずつ前向きに考えられるようになった。
こんな私の文章に感想をくれる人もいた。純粋に嬉しかった。家族でも、友人でもなく、全く知らない人たちから認められたことは、生まれて初めてだったから。

そして私は、新たな夢を見つけた。『悲しみや苦しみの中にいる人たちに勇気を与えられるような物書きになりたい』という夢。
そしていつか、地元の書店でサイン会を開きたいんだ。
私の名前が少しでも多くの人に知られることになったら、かつての同級生にも知ってもらえるかもしれない。
元彼たちも知るかもしれない。職場の人たちにも知ってもらえるかもしれない。何の取り柄もない私でも、やり続ければ夢が叶うことを証明したいんだ。

◎          ◎

きっと、今までの人生が辛いことが多すぎたのも、このためだったのかもしれない。だって、もしも順風満帆に過ごしていたら、絶対に文章を書くことなんてなかったから。
全てを失ったことがあるからこそ、今の私に怖いものはない。生きがいだった保育士も辞めることになり、二十八歳で無職になってしまった。何度も絶望したし、泣き疲れるまで泣いてきた。
もう十分すぎるほど、嫌な思いは経験してきたんだ。私に残されている選択肢は、夢に向かって突き進むことだけ。
いつか、同級生たちが、私の卒業アルバムをネットに晒す日が来るかもしれない。私の過去を赤裸々に語ってくる人も現れるかもしれない。もしかしたら、全く知らない人が友だちと言ってくるかもしれない。
今は、ただの妄想に過ぎないけれど、そんな日が近い将来くることを信じて、これからも私は、私の感じたものを書いていくつもりだ。