私には今、エッセイ以外で取り組んでいるものがある。
それが「詩」だ。
短い文章の中に想いをのせて書き綴る、文章の芸術みたいなものに挑戦している。
始めた理由は、彼がやっていたから。
そしてもっと自分の実力を知りたいから、その二つだった。

初めて投稿をした作品は、採用されたものの、電子版だけの掲載となった。けれど、初めて書いたものが載っただけで、嬉しくてたまらなかった。新たな可能性を感じ、自信にもなったからだ。
次の月も応募をした。結果は、同じく電子版だけ。
三度目の正直という言葉を信じて、自信作のやつを応募した。
けれども、結果は電子版だけ。

◎          ◎

しかし、彼は違った。私が応募した三回とも傑作集に載り、詩の雑誌に掲載されていた。
この時、私の何かが心の中で渦巻いていた。
悔しいという単純で、黒い色をした感情だった。
初めての時、載ることだけで嬉しかったはずなのに、回を重ねていくごとに、私の欲が肥大化してしまう。どこまでやってもこの程度しか出来ないのかと思う気持ちが強かった。
彼に愚痴にも似た言い方で話すと、決まって「電子版に載っただけでもすごいことだよ」と誉めてくる。けれど、気持ちは全然満たされなかった。
それもそうだ。
彼は傑作に選ばれて私は佳作。いつまでも埋まらない溝みたいなものが、ゆっくりと開いていくのがわかるような気がした。そんな姿を見て「始めたばっかりなんだから、仕方ないよ」とも言うけれど、そういう問題ではない。
今まで書いてきたものが、なんとなくだけど否定されていくような気がしてならなかった。

本当はわかっている。
まだ始めたばかりで、ようやくコツを掴み始めたばかりなのに、高望みをしていることも。それでも悔しさの渦に飲み込まれていく私は、「向いてないんだ。結局は、センスがないんだ」というようにして、逃げ道を作ることでしか、今の感情の落とし所が分からなくなっていた。SNSの中では、「今回も載りました!」と喜びを分かち合う人たちがいるけれど、私はその輪の中に入ることができなかった。
悔しくて悔しくてたまらなかった。
その文字を見るだけでも、泣いてしまいそうなくらい悔しかった。
素直におめでとうと言えなくて、惨めでもあった。

◎          ◎

人は、とても欲深くできていると思う。初めは出来たことが嬉しくて、それからどんどん理想や想いは強くなっていく。
それは、どんなことにも当てはまるだろう。
恋愛だって同じだし、仕事だって同じだ。
結局、どこまでも続く欲深さを追い求めてしまう人間の弱さみたいなものが、私には強く根深く残っているのかもしれない。

この先も、エッセイと詩を続けていくつもりだ。
悔しいまま終わることだけは、したくないから。
これも私が不器用な性格だからだと思うのだが、載らないならもっともっと書こうと言うしかなかった。
自分の時間を削ってでも書き続けていくと決めるしかなかった。
そんな極端な性格だから、色々と苦労が絶えない。
けれど、何度も味わった屈辱をそのままにしておく方が、私は一番嫌なのだ。
エッセイも同じで、私よりもいい文章を書いている人がいるなら、別の方法で、私しか出来ないことを見つけるしかない。

◎          ◎

同じ目的の中で唯一秀でるものを探すには、誰よりも努力をするしかないのだ。
泥臭くて効率が悪いことかもしれないけれど、私には、その方法しか出来ない。
生まれ持ったものがないなら、新しく創り出せば良い。
才能がある人から、とことん学べばいい。
そうやって、やるしかないんだ。そうやって、今は言い聞かせるしかないんだ……。
書いていく限り、私の黒い渦は出たり入ったりを繰り返すだろう。私が達成しようとしている夢は、そんな簡単に掴めるものではないことくらい、分かってる。
だからいつの日か、この努力が報われることだけを考えて、私は今日も机にむかうんだ。