この出来事で後に、大きな教訓を得ることになります。
それが「見えない姿の人とネットのレビューを信じてはいけない」というものです。

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彼と付き合っていた頃に、同棲生活に向けて部屋を探していました。ネットやアプリを使い、色々見ていくと好条件の物件があり、初期費用などを含めた見積もりのシミュレーションを試しにすることにしたのです。
すると数分後に、仲介業者から電話がかかってきました。受話器越しから爽やかで明るい声が聞こえて、自然と話は弾んでいきました。物件探しをしていることや条件などを伝えると、親身になって教えてくれました。私たちも引越しをする時期が決まっていたので、彼に内容を伝え、後日、物件を探しに仲介業者に会うことにしました。

この時の私たちは、完全に浮かれていました。
新たに始まる同棲生活、物件探しに胸を膨らませていたからです。
お店に行くと、電話で話してくれた人が待っていました。私たちに合う物件を提示してくれて、話もスムーズに行うことができ、私は「電話のままの人でよかったなぁ」と安心しきっていました。そして、無事に一番気に入った物件を決めることができました。
しかし彼の様子が、いつもと少しだけ違っていました。何となくしこりが残っているような表情を見せていたので、「どうしたの?あの家気に入らなかった?」と聞くと、「いや、そういうわけじゃないんだけど……。なんか、あの人の対応が気になるなって」と言葉を濁しながら話したのです。

私は特に何も感じていなかったので「気のせいじゃない?」と言いましたが、珍しく神妙な表情の彼に、少しだけ嫌な予感がしたのです。彼の様子がどうしても気になったので、ネットに書いてある仲介業者のレビューを見てみると、高評価ばかりでした。
「やっぱり、あそこはいい所だって書いてあるよ」とスマホを見せると、「そっか、ならいいんだけど」と、また言葉を濁すように答えました。
そして、後に彼の予感は見事に的中してしまうのです。

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話し合いの時に私は、あることを伝えていました。それが、住宅手当の関係で私が名義人となり、支払いは彼の口座で支払うというものでした。担当の人は「大丈夫です!きちんと伝えておきます」と話をしたはずだったのですが、グループラインに信じられない文章が書かれていたのです。

「名義人と支払人が違うということで、名義貸しを疑われています。もしかすると部屋を借りることができない可能性もあります。こちらで説明をするので、決して直接不動産会社に連絡しないで下さい。問題を起こされると不信感を抱かれて部屋を借りることができなくなってしまうので、絶対にしないでください」と念を押す形で書かれていました。
私は理由も説明していたのに、どうしてこんなことになったのか、担当の人にすぐに連絡をしました。すると「すみません、僕今日お休みで、滋賀にいるんですよぉ。また、後日でもいいですか?」と一方的に電話を切られてしまいました。

結局、名義貸しの件は不動産会社の勘違いと仲介業者の説明不足だと分かり、部屋を借りることができるという連絡が来ました。しかし、私たちは対応の悪さと態度に逆に不信感を抱き、大切なことを直接電話することもなく、LINEで済ませようとしたことも納得がいきませんでした。

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後日、彼は担当の人と電話をしたそうですが、終始自分のしたことが分かっていない様子で、ただその場しのぎで平謝りを繰り返していたそうです。
後に彼は「接客の態度を見ていて、何となく違和感を感じてたんだ。ずっと自慢話が多かったしね。だから、嫌な予感はしてたんだ。でも結果的に部屋が決まって本当によかったよ」と言っていました。電話越しの対応とネットに書いてあるレビューだけで決めつけるのは、良くないなと人生の教訓となりました。

今の時代は、何でもネットやSNSで情報を共有でき、そこに書いてある評価などを基準にすることも多いと思います。ただ、中には評価とはまるで違う対応があったり、自作自演で評価を作ることも出来なくはない。
結局は、自分の目で直接確かめて、実際に会ってみて判断することが大切だなと思います。
そして、私自身もネットの情報に流されずに、人を見る目を育てていきたいと強く感じました。