保育士を退職という同じ挫折をした彼女は、共に夢を追う力強い戦友

私には、共に夢を追いかける戦友がいます。彼女と知り合ったのは、つい最近です。
定期的に通っているサロンのレイさんの一言から始まりました。
「実は、私の知り合いに絵を描いている子がいるんだ。すごく素敵な絵を描いているから、きっと刺激になるよ」と。
そして、会ったこともない彼女の連絡先をもらい、やり取りをすることになりました。
「初めまして」から始まった関係が、少しずつLINEの中でやり取りを重ね、距離を縮めていきました。彼女のことを私は「モンちゃん」と呼び、彼女は私を「ビキちゃん」と呼ぶようになりました。
なぜそうなったのかは、覚えていません。初めて電話で話した時、今まで画面越しのコミュニケーションでしたが、声を聞いて妙に安心感を覚えました。そこからお互いの夢を話し、今やっていることや普段好きなことなど、数時間にわたって話をしました。彼女とは、数々の共通点がありました。
保育士をしていたけれど人間関係に苦しみ、職場を辞めて新たに挑戦している夢があること。初めて出会ったとは思えないほどの共通点に、話が弾み時間も忘れてしまいました。そこから、時間を見つけて話をすることが増えていきました。
しかし、この時点ではまだ会ったことはなく、顔自体も見たことがなかったので、一体どんな人なのか実際に会ってみたいと思う欲求は、声を聞くたびに増していったのです。
そして、とうとう彼女と会う機会がやってきました。紹介してくれたレイさんと共に、三人で会うことになったのです。初めて実際のモンちゃんを見た時、想像以上に優しく温かい雰囲気で可愛らしい笑顔の人だなという印象を抱きました。
三人で話しながら、モンちゃんは人見知りをしたり、時折恥ずかしそうに笑ったりしていました。見た目も性格も正反対のモンちゃんに、さらに興味は増していき、その後も二人で会ったり、夢の話をしたりと交流を深めていきました。
彼女の絵を見るたびに「きっとこの人は、売れる人だな」と、直感だけど、私の心がそう言っているような気がしました。SNSで少しずつ彼女にファンがつき、フォロワー数も私よりも遥かに多く、少しずつ手の届かない存在になっていくような気もしました。
私はというと、エッセイや詩を書いていても、フォロワーが増えることも、何か賞を取っているわけでもなく、同じ夢というものを追いかけているはずなのに、どこか置いて行かれてしまったように感じていました。
そこには、何とも言えない羨ましさだったり、悲しさだったり、悔しさが広がっていくような感覚だったような気がします。「こうやって私は、取り残されていくんだ」そう思うようになってしまったのです。
けれど彼女は「ビキちゃんはすごいよ!言いたいことを言葉にできるなんて。私、いつも読んでるんだよ。ビキちゃんの作品」そう言ってくれたのです。
その言葉を聞いて、私の中にあった醜い感情は薄まっていき、それと同時に「こんなに真っ直ぐな気持ちで作品を読んでくれているのに、私は、こんな小さいことを気にしていたのか」と自分自身を恥じました。後に紹介してくれたレイさんも「あなたは本当にすごいよ!才能があるし、タイミングが来たら絶対売れるよ。だから、書き続けて」と励ましてくれました。
その日から、私は誰かの目を気にしてしまう自分と戦いながら、私なりの表現の仕方で、夢への階段を一つずつ登っています。また、モンちゃんも目の前にあることから、一つずつ夢に向かって自分の信じた道を歩き続けています。不思議な縁で出会えた彼女でしたが、今では同じ夢を追いかける戦友として、とても心強い存在なのです。
そして後にモンちゃんは、私たちの結婚式のために素敵な絵のプレゼントをしてくれました。
一つは彼と私がアプリで出会った頃を再現してくれたもの。もう一つは、保育士時代に担任をしていた子どもたちと、私たち夫婦を入れた集合写真のような絵を。私の想いを聞きながら、言葉では表せないような感情を絵に込めてくれました。
いつか私が本を出す日が来たら、表紙をモンちゃんに描いてもらおうと思っています。
これからも彼女にしかできない表現の仕方で、沢山の人の心に残る絵を描き続けてほしいと思うのです。
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