ずっと欲しくてたまらなかった。大人になり叶えた十二年越しの友だち

小学生から高校生まで、心の底から友だちだと呼べる人はいませんでした。約十二年間、私はずっと独りぼっちだったのです。
この部分だけ切り取ってしまえば、とてもかわいそうで、何か問題を抱えている厄介な人間だと思われるかもしれません。私は、確かに厄介で面倒な人間だったから。
物心つく頃から、なんとなく社会の不条理を感じていました。どれだけ頑張っても勝てない相手がいるし、どれだけ歩み寄っても分かり合えない人たちがいた。それは、大人になった今でも同じことが言えるでしょう。
小学生の私が友だち作りのためにやっていた行動が、「すこし変わったことをする」でした。注目を引くためにあらゆる手段を取っていたと思います。時には、お小遣いからお菓子を買って配ったこともありました。そんなことをしても友だちは出来ず、結局は失敗に終わってしまったのです。
中学時代は、容姿を極端に醜くしました。暴飲暴食を続けて、体を大きくすることで笑われ者としてのポジションを手に入れました。すると自然と馬鹿にできる対象を面白がった人たちがやってきて、少しの間、青春というものを感じることができました。
あの時を思い出すたびに、別の幸せがあったなと思います。しかし、多感な時期ならではの恋愛が起こした誤解のせいで、あっという間に私は独りになってしまいました。
高校生でもやっぱり上手くいくことはなく、一重で目つきの悪い私は、不細工として馬鹿にされたり笑われたりすることがありました。初めての彼氏もできましたが、それもあまり上手くいくことはなく、やっぱり独りになってしまうことが多かったです。
そして今、私には本当に僅かだけれど、友だちと呼べる人たちがいます。私の性格も見た目も全て受け入れてくれる人たちが。
学生だった頃の私が今の状況を見たら、きっと泣いて喜ぶと思います。何故なら、心から信頼できて言いたいことを言い合えて、それでも一緒に居続けることができているからです。
物を渡したり、容姿を醜くしたりしなくても一緒に居てくれる。
そんな彼女たちは、私の過去の姿を知っています。直接見てきたわけではないけれど、自分から話をしたことがありました。そして少なからず彼女たちにも辛い過去があって、悲しみを背負って生きているという共通点がありました。だからこそ、分かち合える部分があるのかもしれません。
学生時代はとにかく誰でもいいから、友だちが欲しくてたまりませんでした。ずっとずっと憧れていたことを、大人になってようやく一つひとつ叶えることができた。そして彼女たちと出会ってから私は、少しずつ考え方を変えていきました。「無理に好かれようとしないで、本当に必要な人たちだけを大切にしよう」と。
だから、昔は友だちだったけれど縁を切った人もいます。自ら距離をとり、離れた人もいます。過去の私からは想像もできないことをしているのです。
私にとって何より怖いのは孤独を感じることでした。だから無理をしてでも独りにならないように、一生懸命媚びを売って、自分を偽って生きる道を選んできました。けれども、そんなことをしても意味がなく、ただただ虚しさだけが残るばかりでした。
仕事を辞める前、過去の私が顔を出して、働いている全ての人に好かれようとしました。常に張り付いた笑顔を作りながら、理不尽に言われた言葉も笑って受け止めていました。それが正しい選択だと思っていたし、いつか理解してくれるとも思っていたからです。
実際は、どんどん言葉はエスカレートしていき、嫌なことを押し付けられたり、変な噂を立てられて傷つくことばかりでした。
結局は、自分自身が可愛くて他人なんてどうでもよかったんです。私は、職場でも格好の餌食として食い荒らされていきました。それでも味方になってくれた人もいて、支えてくれた人もいました。それは職場の人間としてではなく、一人の友だちとして助けてくれていたのです。
大人になり、ようやく気づきました。上辺だけの友情なんて価値がないことを。
自分の気持ちに嘘をついていい顔をすることは、全く意味がないことも。
皆さんには、本当に友だちと呼べる人がいますか?
困った時に助け合える友だちがいますか?
もしもいるのだとしたら、この先も大切にし続けてください。
人との繋がりはお金では買えないんです。どれだけ、欲しいと願っても手に入れることも出来ません。
嬉しい時には一緒に喜び、悲しい時には涙を流す。間違った道に進めば、心を鬼にしてでも教えてくれる。
そんな人を大切にしてください。
独りぼっちだった私からのお願いだと思って。
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