有名になれたら。いじめられっ子だった私は、人生の逆転劇を妄想する

私にはとてもカッコ悪いけど、ずっと心の中に持ち続けた野望がありました。
それは、小学生の頃まで遡ります。

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ずっとずっといじめられっ子だった私は、自分の容姿が嫌いで、常に誰かを羨ましがることしか出来ませんでした。生まれた時点で人生勝ち組と、負け組が存在していて、私は完全に負け組の方でした。
妄想癖があった私は、将来とても美しくなった姿を想像していました。頭の中の世界だけでも「私という存在を認めてくれる場所」が欲しかったんです。現実を直視することが辛くても、想像の世界なら少しだけ辛さも忘れられる事ができる。「いつの日か、いじめてきた人全員を見返したい」それが私の胸の中にずっとありました。
いじめた方は忘れていても、いじめられた方はずっと覚えている。だからこそ、見返したい気持ちを常に持ち続けて、生きる原動力に変えていました。あれからもう随分と月日は経ったけれど、いまだに消えることのない傷は、あらゆるところで生きづらさを味合わせてくるんです。

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SNSで同級生を見つけて、胸の中がドクンと音を立てて跳ね上がる。それは、一種のフラッシュバックのような感覚みたいに、当時言われた言葉や、その時の顔つき、声までもが鮮明に思い出されていきます。常に頭の中を支配してくるのは、やっぱり容姿への批判だったのです。
「あなたたちに私が何をしたっていうの?」と聞きたかったけれど、聞けるはずはなく、幼かった私は心の中で耳を塞ぎ、大人になった私はそっとSNSの画面を閉じました。そうするしか、自分の心を守る方法がありませんでした。
エッセイを書き始めて、もう何度も自分の心と向き合い、その度に洗いざらい書き続けてきたけれど、決して消えることのないトラウマは、いつまでもいつまでも、心の中にしがみついているのです。

もしも、私が有名になる事ができたら、彼らは一体なんて言うだろう。
もしも、表立って活動する日が来たら、どんな顔をするだろう。
昔の友人として名前を出してくるだろうか、それとも、過去の私の話を面白おかしく話すだろうか。まだ起きてもない事なのに、どこか怯えてしまう私がいました。未だに過去の呪縛から解放されていない何よりの証拠だったのです。
表立って活動をしたいと思い始めたことは何度もありました。それが、小さい頃はモデルだったり、歌手だったり、けれども実際はなんだってよかったんです。有名になる事が、彼らに認めてもらえる一番の方法だと思っていたから。

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正直、内容はどうでもよかったんです。そこに、私の思いはありません。ただただ見返したいという邪念しかなかったような気がします。
有名になった姿を想像してみると、どこか「私みたいなブサイクは、そんなことできるはずがない」と急に怖くなってしまう瞬間があって、それ以降、表立った自分を想像することさえやめてしまったのです。コンプレックスの塊みたいな自分の考えは、未だに直る気配はありません。
ただエッセイストとしての未来があるのだとしたら、挑戦したいんです。
根暗でブサイクな私でも、心を動かす事ができることを証明してみたい。いじめられっ子だった私でも、表立ってできることを証明したい。そうすれば、同じ境遇の人に勇気を与える行動になるから。「こんな私が」ではなくて「私だからできたんだ」といつか言えるようになりたいんです。
ずっと、暗闇ばかりを見てきた人生を終わりにするためにも。
もしかすると2023年がその年になるのかもしれない。私は、そう信じています。
いつか雑誌で取材を受けるなら、こんな言葉で見出しを書いてほしい。

「ブスだと言われ続けたいじめられっ子の、人生最大の逆転劇!」と。

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