嫌われる勇気は、仲良くなる第一歩。私が本物の友情に気付くまで

好きな人の前では素の自分をさらけ出し、そうでない人はものすごく気を遣って笑顔で振る舞う。それは側から見たら、不思議に見えていたそうです。
昔、友人に「あの子と仲がいいの?」と聞かれた時、「全然。知り合いだよ」と答えたことがあります。友人は目を丸くして「あんなに笑顔で話していたのに!?」と驚いていました。

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友人の前では自然と笑顔が出るけれど、そうでない人はとても気を遣って笑顔の自分を演じる。それは、私が生きる術として使っていたやり方でした。側から見たら仲良しに見えるかもしれないけれど、私にとっては全く心を開いていないのと同じことなのです。

私の心には、大きなドアが重なり合って、何層にもなっています。ドアにはそれぞれ施錠が厳重にされていて、少しでも触れるもんなら警備隊がくるほどの厳重具合。開けても開けても私の姿は見えてこない。そんな心の構造をしているから、本当に仲良くなれた人は一握りしかいません。

最初から信じていないんです。人は簡単に裏切るし、自分の欲を一番大切にしたい生き物だから。そんな生き物に利用されることも多くありました。
仲がいいと思っていたのに、友だちだと思っていたのに。そんな人に裏切られた時のショックは計り知れないもの。それを味わうたびに、一つまた一つとドアが増えていきました。分厚く塗り重ねられた疑心暗鬼の心は、何より私の心も歪ませてしまったのです。

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心から信じ合うってなんだろう。
自分以外に大切に思える存在ってなんだろうって。
どれだけ考えても、答えが見つかることはありませんでした。自分が大切で、自分が幸せならそれでいい。そう考えている人がほとんどだと思います。

ただ稀に、本当に相手のことを想い、考え、悩める人がいるんです。損得勘定なんかで動かないで、時には心配して、時には真剣に怒って、そして一緒に泣いてくれる。何の得にもならないようなことを、当たり前のようにしてくれる人たちが。

私は今まで友だちがいなかったと、何度も書いてきました。昔は、そんな自分が嫌いでコンプレックスの一つだと思っていたくらいです。
ただ、大人になってから「友だちは数じゃない」と思うようになりました。それと同時に、彼女たちの気持ちが少しずつ分かるようになったのです。
相手のことを想いながら真剣に話す時もあれば、時には嫌われてもいいから嫌なこともはっきり伝える。それでもやっぱり好きだから離れることはしないで、ずっと一緒にいたいと自然に思えるような関係に。

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最近では、過去に友だちがいなくてよかったと思えるようにもなりました。自分を隠しながら楽しいだけでいる関係は、いつか終わってしまうことを知っているから。
友だちも恋愛と同じなんだと思います。大切だからこそ、大好きだからこそ、時にはぶつかり合う時もある。嫌なところがあっても、話し合うことで理解しようとすることで解決しようと努力する。

価値観が違うもの同士がいれば、上手くいかないこともあるでしょう。だからこそ、互いを尊重し合い認め合うことで、好きで居続けられる。
過去の私は確かに恵まれていませんでした。八方美人になることで、上辺だけの友人関係を作ったこともありました。それをやめた途端、離れていく人も多くいましたが、残ってくれた人もいました。それが本当の友だちなんだと気づくことが出来た私は、幸せ者なんだと思います。

大人になると、家庭が優先になって会いたくても簡単には会えなくなる。昔みたいに自分達中心では動くことが出来ない。それでもふとした瞬間に連絡をしたり、久しぶりに会っても昔の姿に戻れる。それが本当の友だちなんだと思います。これから先も、そうやって日々の積み重ねと共に友情を育み続けていくでしょう。

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過去の私が今の姿を見たら、不安になるかもしれません。「そんなこと言ったら嫌われちゃうよ」って。
でも私は思うのです。本当に大切なら、時にはぶつかることも大切だと。嫌われる勇気は、仲良くなれる第一歩だと思うから。それで離れていくのなら、それまでです。だから過去の私に「あなたの友だちは、そんなことで離れていかないよ。あなたのそばにいる人たちを信じてごらん」と伝えようと思います。

皆さんには、心の底から信頼できる友だちはいますか?
互いの嫌なところも含めて、認め合える人はいますか?
お金には変えられない最高の宝物を、既に手にしていることを誇りに思ってください。
どれだけ欲しいと願っても、簡単に手にできるものじゃない特別な存在を。

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