私たちが生きている世界は、少しずつ不安と混乱が入り乱れているように感じます。ほんの数年前までは、当たり前のように一年が過ぎて、当たり前のように歳をとっていく、全てが当たり前の生活だと思っていたのに……。正直に言えば、未来の姿はまるで想像ができないんです。

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Twitterを開くと、定期的にユニセフの「ウクライナに支援を」という記事が流れてくる。
ショートムービーに出演している人は、もちろんウクライナの人で、今まさに戦火の中にいます。
そしてそこに映し出されていた女性は、私と同じ年だったのです。
六歳の息子とお腹の中に新しい命を宿し、幸せな毎日を送っていたそうです。しかし「戦争が始まった」その一言で平和な日々は、地獄の日々に変わってしまったと。
私は怖くなってスクロールをしようと思ったけれど、どうしても目が離せなかった。誰もが「戦争なんて望んでいないのに」と涙ながらに話す姿は、胸が痛いなんて表現で片付けてはいけないと思いました。
未来を漠然と考える私と、明日も無事にきますようにと祈る人。同じ人間なのに住んでいる場所が違うだけで、ここまで生活が変わってしまうなんて……。
ショートムービーに映る女性は「一日も早く平和な生活を取り戻したい。生まれてくる子どもと共に、幸せに暮らしたい」そう切実な思いを語っていました。ユニセフで取り上げられていた人は、ウクライナの人たちばかりでしたが、きっとロシアの人たちの中でも戦争に反対して、無理やり巻き込まれてしまった人も多くいるはずだと思います。誰もが望まなかった戦争に。

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ウクライナとロシアの戦争が始まった2022年2月24日。日本のニュースでも戦争という名の“侵略”という言葉に、ほとんどの人が釘付けになり、恐怖を覚えたと思います。全く予想もしなかった戦争が、知っている国同士で起きたこともあって、余計に関心が集まりました。
始まったばかりの頃は、まだ私も保育士として働いていました。出勤した時には、職員室が戦争の話で持ちきりになり、保育士たちもそれぞれの言葉で恐怖や不安を語っていました。さらには、「もしも日本で同じことが起こった場合、どうやって子どもたちの安全を守るべきなのか」という話さえ出たほどです。「あぁ、こんなにも身近に戦争を感じるなんて」そう思いました。

ただ、やっぱり自分の国で起こったわけではないから、どこか他人事のような気持ちも片隅にあったと思います。あれだけ「ロシア対ウクライナ」という言葉をニュースで見ていたけれど、数ヶ月もしないうちにコロナの脅威がニュースのほとんどのネタになり、毎日の感染者数を知らせる数字ばかりが放送されるようになりました。あれだけ恐怖を感じていた戦争も、他国で起きていれば少しずつ忘れてしまうんだ、そう虚しい感情を抱かざるを得ませんでした。
しかし最近になってまた、日本の政治の話がテレビで報道されるようになり、防衛費の話、増税の話を皮切りにTwitterでは政治の話が盛り上がるようになりました。そこには「いつか日本も戦争になるんだ」とか「こんな時代に子どもなんて産みたいと思わない」と、冷たく恐ろしい言葉ばかりが目に入るようになりました。

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私自身、政治の話は全く分かりません。今日本では何が起こっていて、世界ではどのような動きをしているのかも分かりません。情報を簡単に得られる時代になったからこそ、知らなくていいことまで知ってしまうことだってあるんです。
「だったら見なきゃいいじゃないか」と言われるかもしれないけれど、無知ほど怖いものはないから、出来るだけ知っておきたい、もしもの時に備えておきたいなんて、中途半端に情報を知ろうとしてしまいます。
私は、政治の話をすることが苦手です。戦争の話だって正直全然分かっていません。ただ、「未来の自分」を想像した時に、果たして今の生活が続いていくのかという不安だけが、ずっと心の奥で渦のようにグルグルと回っていました。
決して他人事にしてはいけない気がして。
だからこそ、明るい未来が想像ができないのです。全て新型コロナウイルスから、少しずつ色々なことが歪み始めてしまったように思えて仕方がないのです。
誰も想像していなかったウイルスの脅威。そして、もしかしたらこれから先起こるかもしれない争いの連鎖。できることなら、毎日平和に過ごしたい。
きっとそれは、誰もが願う共通の未来予想図ではないでしょうか。

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未来の私は、平和な世界で生き続けられていますか?
それとも「明日も生きられますように」と切実な願いに変わっていますか?
たった一人では、無力すぎる力になす術はありません。ただ、一刻も早く平和が訪れることを願います。
争いの中で流した涙を、もう見ることがないように……。