特集:私史上最悪の一日

クレーンゲームで小遣いを消した私はキャッシュレス社会に身震いする

私史上最悪の一日

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中学生のとき、初めてクレーンゲームを触って、一度に大金をはたいてしまった。目の前のぬいぐるみがあと少しで取れそうだった。結局取れなかった。持っていたお小遣いは全て消えてしまった。

◎          ◎

とはいっても、合計で3千円。一回300円で、10回分だった。自分でお金を稼いでいる人であれば、そのくらい一度に使う人はいるかもしれない。
借金をする額ではないし、飲み会一回分くらい。そう考えれば、かわいい額である。

けれど、問題だったのは、「どうしても欲しいんだ」と気持ちが熱くなってしまったこと。周りが見えなくなってしまったことだった。がまんできなかった。

似たような最悪な出来事は、社会人になってすぐもあった。
初めてクレジットカードを作ったのが、大学を卒業する数ヶ月前。社会人になって一ヶ月ほどして、これまで現金と交通系ICカードでしか支払い経験がなかった私は、「便利」という理由でクレジットカードで全ての支払いをするようになっていた。財布で小銭をあさること、交通系ICカードに都度入金する必要がなく、なんとも便利だった。
その後のクレジットカード請求で、私は一人暮らしの食費でひと月6万円も使ってしまっていたことを知った。
外食はほとんどしていない。
なんでだろう??
そういえば昼と夜は、コンビニで買ってしまっていた。夜は一度に1000円を超えることがしばしばあった。

クレーンゲームとは少し違うかもしれないけれど。
お金に関し、浪費癖があるのではとさーっと血の気が引いた。

◎          ◎

最近は「キャッシュレス決済のみ」というお店が増えてきていている。私はそういったお店に遭遇すると、頭がじんわり痛む。
どうしても行きたいお店で事前にそのことがわかった時は、前もって使う金額を確認する。
交通系ICカードはいつも持ち歩いてるけれど、血の気が引いて以来、いつも1000円くらいしか入れてないので、使うのはクレジットカード。
「暗証番号を入力してください」と言われるたびに、ああ、怖い、と鳥肌が立っている。

私がときどき利用しているハンバーガーチェーンでは、スマホ内のアプリを使って、レジに並ばずテーブルでキャッシュ注文が可能になった。
現金で支払い続けている私は、30人が列を作る大混雑時間であっても、しぶとく並ぶ。キャッシュレス決済に手慣れた人たちは、テーブルに座ってパーソナルスペースを確保し、慣れた手つきで注文している。注文完了と同時に彼らのスマホからは「PayPay」の機械音が響き、その音を聞くたび、うらやましい!と思ってしまう。

いつか支払い方法のほとんどがキャッシュレスになって、現金の流通が減ってしまったら。
私は使うお金をコントロールできるようになるのだろうか?
二度あることは三度あるという。再び最悪な日を迎えないよう、どうにかして浪費癖を治したいものだ。

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