現在28歳。先日、18歳から入れ続けていたカラコンをふと辞めた。
大学進学と同時に入れ始めた黒のカラコン。高校時代までは自分の見た目を気にして美容に興味を持っていても、親の目が気になり破天荒なことは出来ずにいた。

キラキラ輝く同世代の女の子たちに憧れるも、私は近づこうとすることさえ許されなかった

「友達とお泊まり会をしたい」「携帯電話が欲しい」「ストレートパーマをかけたい」
思えば、成長過程の中で周囲に影響されながら、都度やりたいことが湧いてくるミーハーな人間だった。メディアで目に留まるのは同年代ながらキラキラ輝く女の子たち。
一方で、鏡で自分の姿を覗くと、隠しきれない田舎の芋っ子感。

ミニスカートの制服で通う近所の同級生を見かけた時、憧れから自分もミニスカートに一度挑戦する気になったのだが、くるくる巻いたロング丈のスカートの腰回りはパンパンで、何ともダサい姿になってしまった。ビビりの私にはスカートを短い長さに切るという選択肢はなかった。もちろん、スカートを買い替えるという行動力も。

そもそも、眩しいほどに輝く彼女たちに近づこうとすることさえ許されなかったのだ。
その時、生まれながらにして変えられない宿命というものを感じた。そんな大袈裟な!とツッコみたくなるところだが、ちっちゃな世界しか知らないでいた当時の自分にとってはそれほど大ごとだったのだ。

センス皆無な親から離れることで、自由な世界が待っている。そう決めつけていた

そして、私はこの"センス皆無な世界の門番"は「親」だと決めつけていた。
親元から離れることで自分の求める自由な世界が待っているのではなかろうか。
彼らの「No!」に逆らえない、あるいは「No!」と言われ続けたことによってまた今回も……と恐れて何も出来なくなった自分と決別できるかもしれない。
門番は、特に容姿の変化に敏感だった。普段しないリップを軽く塗っただけで何かあるのではなかろうかと詮索してきた。思春期の興味関心にはいたく疎く、多数の中から突出しないありきたりな容姿を好む人達だった。

大学進学を機に、私は親元を離れ県外で一人暮らしを始めた。予想していた通り、門番がいない生活はなかなか刺激的だった。容姿のことも、アルバイト選びも、単位取得のための講義の選択も、遠く離れた門番の目に入ることはなく自分の思うままに進めることが出来た。時々くる生存確認の電話も出たり出なかったりで、新しい世界に夢中になり始めていた頃、ふと昔から感じていたコンプレックスを解消すべく思い立つ。

大学生になり、カラコンに挑戦。悩んだあげく私が選んだのは手頃で無難な「黒色」だった

小学生の頃、当時仲の良かった友達と些細なことで喧嘩をした。互いにたがが外れて日頃から両者に対して思っていたことを留めどなく言い合う中で、その子に言われたある一言が引っかかった。
「前から思ってたけど……目の色が嫌だ」

何とも驚きの事実だった。
今まで何の不自由も違和感も感じていなかったのだが、私は黒目の色味が日本人の多数派では無いらしい。門番もそのことは指摘してくれないでいた。それからと言うもの、私の自分自身の"目"への意識は強まるばかりで、だからと言って門番の手前、変化を加えることも出来ず何も気にしていないフリを続けていた。

しかし、今は周囲に私を見張る者も居ない。「度有り、カラコン」をどこで買えばいいかも分からない世間知らずな自分。ネットショッピングのページを開くと今を代表するモデルが宣伝をし、種類もカラーも豊富で本当に悩んだ。
「個性を出すために変わったカラーにしようか」「ちょっと高めだけど…広告塔のモデルが人気のものにしようか」一通り悩んだあげく、私が選んだのは値段が手頃で無難な「黒色カラコン」だった。それが結局、私の精一杯だった。