「うちの大学の女子は、ブスばっかりだからさ。うちのサークルは女子大限定なの。」
誰もが知る超名門大学の先輩は言った。でも、それは違ったと思う。名門大学の彼らは同等の知性を持った女子を相手にするより、「尊敬してくれて、言うことをそのまま信じてくれるバカな私たち」を相手にした方が楽なことを知っているのだと何となく思った。何が楽かというと、そう、知性という武器を糧にヤレるのが楽なのだ。
男の先輩たちは、今か今かとヤレる時を待っていた
入学式前、ものすごい数の他大の学生がサークル勧誘のビラを配って、いや最早投げられていて私は前が見えなかった。私はそれに恐怖を覚えた。でも、これが「大学」の普通なのだと思って疑わなかった。
仲間の何人かと、その中のビラで選んだ新歓コンパに勇気を出して参加した。そこでは、ただでお酒を飲み、勧誘を促される。遠くで1年男子も混ざって一気飲みのコールが聞こえる。そうか。これが大学生になることなのだ、と思った。
私はいわゆる飲みサーではなさそうな気がしたフットサルサークルに入った。でも、入って気がついた。一気飲みや激しいコールはないけれど、男の先輩たちは、かわいい女子には最大限のおもてなしをして、酔わせて(ときに吐かせ、介抱して)、今か今かとその時を待っているのだ。つまりヤレるときを待っていたのだ。飲み会中に1年生の女子と3年生の先輩男子と姿が急になくなることはよくあることだった。
私はというと、その「ヤリたい女子」の対象外だった。だから、私みたいなそのカテゴリーに入れない人間は、テキトーにあしらって、バカにして、ネタにする、その場限りの都合のいい奴になった。
某女子大生が泥酔し何十人も駅前で倒れている、というニュース
私は全てが嫌になり、居心地が悪くて、そのサークルをフェイドアウトした。空いた時間で子どもたちと自然キャンプにいくボランティアをしたり、将来教員になるために、学校で支援員をしたりした。
いろんな人がいたから、大変なこともあったけれど、「子どもに楽しんでほしい。学んでほしい。」そういう同じ理念を持った色んな年代の人と働けるのはとても貴重でやりがいがあった。
私は、私がいたようなサークルがいかに異常だったか気づかされた。未成年がお酒を一気飲みするのは言うまでもなく言語道断だが、サークルで女子が飲んで、吐いて、ヤラれて、捨てられる。こんなことがあってもいいのだろうか、と。そして、男子は何も反省することなく、また次の獲物を狙うのだ。
数年前、インカレサークルに所属する某女子大の学生が泥酔した状態で何十人も駅前で倒れている、というニュースがあった。そのとき私は顔面蒼白した。なぜなら、私は今、大学職員をしており、もしかしたらうちの学生がいるのではないか……と思ったのだ。
幸いなことに、うちの学生はいなかった。でも、そのとき咄嗟に思ったのは、「明日は我が身だ」ということだった。
私はそのニュースが気になりすぎて、ずっと追っていたが、結局真相は闇に葬られた。酒を飲みすぎただけだったのかどうかも分からなかった。さらに驚くべきは、某大学のホームページの記事によると、そのインカレサークルは片方の大学の公認サークルだったのだ。公認サークルは大学からお金が支給されるのが一般的だ。
なぜかこの大学のサークル問題は世の中であまり重要視されていない
これから入る女子大生などには、飲み会のあり方、お酒のデメリット、そして、飲みサーなどのサークルの恐ろしさと異常さを1人残らず知ってほしいと思っている。そのためには、入学前にその機会を与えるべきだと思う。全国の全ての高校3年生などに一律に講義をして気づきを与えてるべきではないか、と私は強く思う。泣き寝入りし、傷つく女子、またそうさせてしまう男子をこれ以上出してはならない。
大学としては飲みサーなどにも関わらず、公認サークルにしてしまうことがないように、きちんとサークル一つ一つを精査しなければいけないと思う。例え公認サークルでなくても、学生を守る責任があるのだから、必要なときはきちんとそのサークルにメスを入れられるようにするべきだ。
また、サークル等で被害に遭った場合や悩みを真摯に聞ける場所を提供することも大学は必要なのではないだろうか。
なぜかこの大学のサークル問題は世の中であまり重要視されていない気がして、私はそれが不思議でならない。
「飲みサーは誰もが通る道」と知人は言っていたが、そんなことはないということを私はどうしても伝えたいのだ。