家の中が散らかっていたり、綺麗な状態を保てない時というのは自分の心もぐちゃぐちゃになっている時が多い。抜け落ちた髪の毛が散らばっていたり、食べカスが落ちていたり、ほこりが溜まっていたりする。
文明社会を生きる皆さんは、もしかしたらそんなことはないのかもしれない。常に清潔で、突然動画を回されても平気なくらい綺麗なおうちに住んでいるのかもわからない。
テレビを観ているとみなさんピシッとされているなぁと思う。

文明社会からこぼれ落ちた女と言っても過言ではない私は、ちょっとメンタルに来ることがあるとすぐにその影響が部屋の状態に出る。何かに依存しがちな時ほど、それは顕著だ。
部屋に敷かれた意識が高そうなヨガマットの上に、いつ誰がこぼしたのかわからないクッキーのカスのようなものが落ちている。アンビバレントだ。
他でもない、調子の悪い私がこぼした食べカスを調子のいい時の自分が掃除する。

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でも散らかし切った部屋を一度に綺麗にするのは気持ちがいい。ある意味、快楽に等しい。
その悦びから以前アパホテルの清掃のアルバイトをしていた。途中体調を崩して半年でやめてしまったのだけれど、好きな職だった。
たまにものすごく汚い状態にして帰っていく人がいる。もうベッドスローは乱れに乱れ、バスやトイレもそれは汚れている。「どう使ったらこんな状態になるんだ？」というような部屋。吐き気を催しながらもペアの人と一緒に掃除をしていくと、綺麗になっていく様が気持ちいい。便器はまるで新品のようになり、バスタブの中も髪の毛一本落ちていないように入念にチェックする。

その時のことを思い出しながら、家の中を掃除する。
「どう使ったらこんな状態になるんだ？」という言葉をそっくりそのまま自分に言いたいし、その時のお客さんはきっとストレスフルで、ホテルに来た時くらいは何もかもをぐちゃぐちゃにしてやりたかったのだろう。

家の中で一番好きな掃除場所は、やはりトイレな気がする。
同居する家族が気に留めないところを、私は率先してやっている……！という歪んだ自己肯定感。それは冗談で、綺麗になるのが嬉しい。
あとは湯呑みやコップの茶渋を酸素系漂白剤を使ってお湯で擦り落としていくのが好きだ。
これは叔母から教えてもらった方法。汚れを落としてくれるだけでなく触った感触がツルツルになって、キュッキュッとCMのように音が鳴る。

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どうやら私は無秩序を一度に秩序のある状態にするのが好きなようだ。秩序を日々継続できるかは別として、カオス・イノベーターとでも呼んでほしい。失礼いたしました、ビッグマウスが過ぎました。

掃除は革新的で神聖な作業。
サッカー観戦の後に日本人サポーターがゴミ拾いをする様子は、「掃除人の仕事を奪っている」とする声も一部あるけれど、現実的な面はともかく、その精神性が素晴らしいのだと思う。私はスポーツにまともに参加したことがなく、もしそのような場に遭遇した時にいち日本人として咄嗟にそのような行動が取れるか不安になる。

その精神性を忘れないように、重い腰を上げて今日も掃除しよう。文章ばっかり書いてないで、体を動かさなければ……。