「大学生になったらちゃんとした財布を使った方がいいよ」

「もっと運動した方がいいよ、肉付きがよくない」

「勉強した方がいいよ」

「結婚したら就職しなくていいとかそういう考えは持たないでほしい」

これは元彼に言われた言葉たち。

大学生になって3つ年上の彼氏ができた。誰にでも愛想がいいタイプではないが、私には優しい素敵な人だった。それと同時にこだわりが強く、こうあるべきという考えがはっきりした人だった。
そして冒頭の言葉たちを投げられた。「なんでそんな言い方するんだ……」とすごく傷ついたし落ち込んだが、言ってることはもっともだと思ったので改善しようと頑張った。

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元々使っていた雑貨屋さんで買った猫ちゃんの財布から、大学生御用達ブランドのカッチリした財布に買い替えたし、YouTubeを見ながら運動を始めた。
学部の勉強だけでなく、厳しめのゼミに入って研究課題に一生懸命取り組んだ。自分がどう生きていきたいかについてもしっかり考えて就職先を決めた。
厳しいことも言ってくれてありがたいなと思っていたし、実際に自分で決めたことをやり遂げる彼を尊敬していた。

でも冷静になった今ならわかる。

全部「うるせーーーーーーーーーーーーーーー」と返せばよかった、返すべきだった。

あなたにとってのこうあるべきは、私にとってのこうあるべきではないから。自分が自分らしくいるためにも怒るべきだった。
彼氏と彼女というのは本来対等なはずなのに、冒頭のアドバイスをされたあたりから「私の考えは甘いから彼の言う通りにしなくちゃ」「別れるって言われないようにふるまわなきゃ」と思うようになっていたから。アイドルが好きなことも隠して。性的なことには興味もないのに彼が喜ぶからと応じて。どんどん“私”がすり減っていたように思う。

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だから、今の私があの時の私の代わりに怒ろう。

「猫ちゃんの財布は気に入っているのでこれからも使います!!!!あなたに迷惑はかけてないでしょ!!!!!!」

「特別な運動はしていないけど食べ物には気を使っているし、肉付きがよくないのは骨格の問題!!!!!!!」

「勉強した方がいいのはわかるけど私なりにやってます!勉強ばっかりでエンタメのことをバカにしてくるあなたもエンタメのこと勉強した方がいいんじゃないですか!!!???!」

「結婚したら就職しなくていいって思ったことないですけど!むしろ私は共働きでって思ってたのに、家庭に入ってほしいって言ってきたのあなたですよね???!?!?!?!?」

……別れてから数年経った今も新鮮に腹が立つので、相当怒りが溜まっていたのだと思う。

勉強や就職に関しては最終的には自分のためになったと思うので、結果オーライではあるが、それは私が頑張ったからである。これからも好きなものは好きと言って、健康に害のない程度に好きなものを食べて、ゆっくりでもいいから自分なりに人生を進めていこうと思う。私の人生は私が生きていくしかないから。

私が何を大事にしてるか自覚させてくれてサンキューな元彼!もう一生会いたくないから私の目に入らん場所で勝手に幸せでいてください。