コロナなんてすぐに終わると思っていた。海を越えた遠距離もいつかは終わると信じていた。先の見えない現実に局面している今、それは私の理想でしかなかったようだ。
遠距離のカップルはコロナ禍で別れる確率が高い。世間ではそのように言われていても、私は信じたくなかった。
コロナも仕事の忙しさもいつかは終わり、また彼に会えると信じていた
コロナのコの字もなかった2年半前、私の地元に1年の期限付きで住んでいたオーストラリア人に恋をした。出会って1ヶ月で付き合い始め、半年間だけ普通のカップルのように毎週デートを重ね、たまに県外へ旅行をし、海外の人ならではのストレートな愛情表現にすっかり夢中になっていた。
彼が帰国する日には号泣しながら空港で見送り、私たちの遠距離恋愛がスタートした。
とはいえ、その5か月後には彼が1ヶ月ほど休みを取って日本に遊びに来ることは決まっており、私との3泊4日のベトナム旅行も計画していたため、割とすぐに気持ちを切り替えることができていた。
その後も1年に2回ほどは私か彼がお互いの国に遊びに行く計画で、遠距離はなんとか乗り越えられると思っていた。そしてなぜか、超遠距離なのに私たちは絶対に大丈夫だと錯覚していた。
彼とのベトナム旅行の3週間後にはコロナが日本でも確認され、瞬く間に全国へ広がっていった。そのまま私は就職を迎え、コロナ禍での新卒1年目として怒涛の忙しさに見舞われた。その忙しさの中でも彼との毎晩のビデオ電話は欠かさず、コロナも仕事の忙しさもいつかは終わってまた彼に会えると信じてやりとりを続けていた。
心も体も疲弊した私と、遊びを楽しんでいる彼に感じる、状況の差
しかし、私は新人ならではの悩みに直面し、毎日のように片頭痛に襲われ、どこにも遊びに行けないストレスもあって心も体も疲弊してしまった。
それなのに彼のSNSに映る写真や動画は、女友達との食事やハイキング、ホームパーティーなどコロナ禍とは思えないほど遊びを楽しんでいるのが伝わってくるものばかり。彼は女友達が多いことは以前から知っていたし、海外の人は日本人ほど「異性」というものを意識していないということは周知の事実だった。
それでも私は異性に会うことをためらっていたし、彼の状況には納得できなかった。
そこから私は毎晩のビデオ電話を一度中断しようと提案した。声が聴きたいときに電話を掛けることに決まったが、彼とビデオ電話をしなくても平気であることに私は気付いてしまった。
むしろその方が気が楽で、ビデオ電話にあてていた時間を別のことに使える喜びを感じていた。それ以外にも彼の気に入らない行動があり、別れを決断した。スマホの画面越しでお互い大泣きしながら、2年弱の超遠距離は終結した。
新しい出会いを求め、ジェットコースターのような激動の半年
彼と別れてからは、すぐにでも新たな出会いが欲しいと思うようになった。コロナ禍でも可能な限り色んな男性と会って、ないものねだりの状態の私はその都度「この人と一緒になりたい」と思ってしまった。
久々に再会した元バイト先の先輩には、思わせぶりな言動や行動にとらわれ、思い切って告白したものの撃沈。社会人サークルで出会った男性には、会う約束をドタキャンされ、そこから音信不通。唯一の異性の友人は、周りからも一目置かれる仲の良さだったのに、私は都合のいいように使われ終結。
本当に良い出会いが欲しいと思っていた時に2人の友人に勧められて、敬遠していたマッチングアプリを使うことに。使い始めてまもなく、性格も見た目も自分の理想に近い男性と出会い、7回目のデートでまたもや自分から告白。
「言わせてしまってごめんね、付き合って下さい」と相手から言われたときには天にも昇る思いだった。やっと手に入れた幸せを今噛みしめている。
人々がコロナ禍で大変な思いをしている中、私の感情はまさにジェットコースターのようだった。別れては出会って、振られてはまた告白して。
こんな激動の半年を味わった人はコロナ禍でどれくらいいるだろうか。