• 2019年8月に朝日新聞社内の新規事業コンテストに応募し、かがみよかがみを立ち上げる。当時32歳で朝日新聞社の最年少編集長になる。2021年10月~2022年3月末まで産休・育休を取得。

    伊藤あかり・かがみよかがみ編集長
  • 朝日新聞社で「asahi.com」の編集、「朝日新聞デジタル」立ち上げに関わり、動画、データジャーナリズム、SNS連動企画などを担当。2014年にスマホでニュースを読む人たちに向けたウェブメディア withnewsをスタート。2022年6月からサムライトで現職。

    奥山晶二郎さん
    奥山晶二郎・サムライトCCO

伊藤あかり(以下伊藤):奥山さんと私の付き合いって実は長いですよね。8年前くらいですかね、奥山さんがwithnews編集長だったときに、私が大阪で新聞紙面の編集者をしながらwithnewsに記事を書かせてもらっていました。

奥山晶二郎(以下奥山):そうそう、そこであの伝説のガングロの記事が生まれた。伊藤さんが、かがみを立ち上げるときのブレスト会みたいなのにも呼んでもらったよね。

伊藤:編集長になるときも、奥山さんに「編集長のイロハ」を教えてもらいました。「編集長はPVをとらない方がいい。その方が、編集部員がPVを気にせずのびのび書ける」と言っていたのが印象的でした。っていうかそれしか覚えていません(笑)。

奥山:そんなこと言ったっけ?

(右から)サムライトCCOの奥山晶二郎とかがみよかがみ編集長の伊藤あかり
(右から)サムライトCCOの奥山晶二郎とかがみよかがみ編集長の伊藤あかり

伊藤:今回、サムライトから「かがみと一緒に仕事したい!」とお声がけがあった時、とてもうれしかったんです。というのも、月間830万UU(1億5300万PV)の巨大メディアwithnewsを育てた奥山さんから見ても、かがみは魅力的なサイトなんだなと思ったからです。奥山さんの目から見て、かがみは何が良かったんですか?

奥山「かがみの魅力は『誰に』から生まれたメディアであるということ」

奥山:大げさに言うと、メディアの未来を感じたからです。なぜなら、ユーザーの顔がよく見えるから。これは、自分が新聞社にいたときの課題でもあって、「誰に」発信しているんだろうというもどかしさがありました。

そこで言うと、かがみは「誰に」が先に生まれたメディアだったので、魅力的だし、今の時代のあり方として最先端なのかなと思いました。

伊藤:そこは私もかがみを運営するうえでかなり意識しています。「Z世代の女性」というざっくりした形じゃなく、「“あの子”に届けたい、読んでくれるといいな」という気持ちで作っています。イベントを頻繁に開いていたこともあって、どういう方たちが読んで、投稿してくれているのかは見えてきましたね。

だからこそ、彼女たちがどんな課題を抱えているか、それがどれだけ切実なものなのかをわかっているのに、それを「伝える」以外のことをできないのが歯がゆくもありました。

これからは「伝える」のその先に挑戦していきたいなと思うんです。「こういう人がいます」「こういう声があります」と紹介しておわり、ではなく「私は変わらない、社会を変える」ために具体的に動いていきたい。

かがみよかがみ編集長の伊藤あかり
かがみよかがみ編集長の伊藤あかり

奥山:これからは、その声をプロダクトや、サービス、政策に反映させていけるようなことをしていこうよ。サムライトはこれまで、オウンドメディアをたくさん作ってきた実績がある。ツイッターやインスタなど発信方法の得意技が多いのはもちろん、食にまつわるアイテムを販売するECサイトも運営しているので、クライアントをはじめ様々な人との接点を作れる気がしています。

というのも、企業もユーザーの声を求めているんだよね。女性管理職が少ないことが問題になっているけれど、今も“おじさん”だけが考えて、物を作って、結果的に残念なことがおきている。好んでそうしたいわけじゃないけれど、手段がなかった。だからこそ、ユーザーの声を聞きたいと思っている企業も多い。そこで、言葉を持つ「かがみすと」(エッセイ投稿者)の出番!となると思うんだよね。これは、企業にとっても、かがみすとにとっても、社会にとってもハッピーなこと。

伊藤「かがみよかがみは、最初の声が集まる場所なのかなって」

伊藤:かがみはその、最初の声が集まる場所なのかなって思っています。かがみのエッセイを読んでいて、初めて聞いた言葉もたくさんありました。ソーバーキュリアス(お酒を飲まない選択をするひと)、アセクシュアル(恋愛感情や性的欲求を抱かないひと)、デミロマンティック(強い信頼関係を抱いている相手にのみ、まれに恋愛感情をもつこと )……など。 そういや私は3年前からかがみすとに教えてもらっていたなと。

奥山:その一人ひとりの声と、企業なり政治なりをつないで、課題解決のために一緒に動くこともメディアの役割としてあっていいと思うんだよね。新しい課題であるほど小回りがきく。なので、これからはChange.orgとつなぐのか、Makuakeで資金提供なのか、まだわからないけどエッセイをだす以外のことも出来そうだなって。

マネタイズの方法もコンテンツだけを通じてとなると、「読まれないけど大事な問題」を書きにくくなってしまう。そうじゃないマネタイズを、かがみよかがみなら出来ると思っていて、それによってジャーナリズムも保たれるのかなって思っています。

サムライトCCOの奥山晶二郎
サムライトCCOの奥山晶二郎

最近は企業も「ブランドジャーナリズム」という考え方のもと、社会課題解決のために発信するようになってきた。例えばナイキの広告で人種差別反対を訴えていたり、サイボウズが働き方や選択的夫婦別姓に言及していたり。

伊藤:メディア自身も当事者になって、10→100はもちろん、0→1も出来るようになるってことですよね。なんかめっちゃワクワクしますね。

伊藤「かがみすとからの『もっとうまくなりたい』の声にも応えたい」

伊藤:もう一つ、かがみすとから「ライティングスクールをしてほしい」「もっとうまくなりたい」という声をよく聞くんですね。そのあたりの知見は私も記者やライター、編集者を13年近くやってきたので、たまってきています。それを伝える場所も作れたらいいなって思ってもいます。

奥山:言葉を持っている人は強い。そういう人は今までだと特定の年齢や性別、それこそ新聞記者のような職業に限定されがちだったけれど、ウェブをやればやるほど多様性に満ちあふれていることがわかってくる。いろんな言葉を形にしていけるお手伝いをするのは、これからのメディアの大事な仕事だと思う。かがみすとという顔が見える強力な仲間がいるからこそ出来ることがたくさんあると思う。

伊藤:かがみすと一人ひとりの力をエンパワーメントしながら、一緒に社会の課題を解決していく、ということをこれからもしていきたいです!やるぞー!

あなたのエッセイをZINEにします!3月25日かがみすと感謝イベント

表紙のデザインは変更になる可能性がございます

日時:3月25日(土) 13時~14時30分
場所:朝日新聞東京本社 読者ホール
参加費:2000円(ZINE代込み)
定員:先着30人
締め切り:3月8日(水)23時59分