#1「二人の馴れ初め」 シオリーヌ編

みなさんこんにちは。助産師のシオリーヌです。
今回から、かがみよかがみで連載をさせていただくことになりました。
しかもなんと夫であるつくしと一緒に連載を書いていくという新たな試みです。

この連載では「私たちが対等なパートナーシップを築くために大切にしていること」をテーマに、二人の間に起きる出来事を夫と私それぞれの目線から語っていきます。

同じ出来事を共有していたとしてもその捉え方や感じ方はきっと異なってくるし、そんなギャップをどうすり合わせたり理解しあったりしながらともに暮らしていくのかということを、読者のみなさんとも一緒に考えていけるような連載にできたらいいなと思います。
第1回目の今回は「二人の馴れ初め」を振り返ってみます。

シオリーヌさんとつくしさん
シオリーヌさん(左)とつくしさん

出会いのきっかけは看護師の先輩・後輩として

つくしとは、共通の友人が主催する看護師のコミュニティの中で知り合いました。
初めて会ったのは北海道の札幌で開催されたあるイベントの会場。
イベントの翌日には「せっかく北海道まで来たのだから観光したい」と話す私と友人を引き連れて、つくしは北海道の観光名所をせっせと案内してくれました。
つくしの第一印象は“超いい子”。彼の方が年下であることもあり、看護師としても先輩の私たちを一生懸命案内してくれて、なんて親切な子なんでしょうと感じていました。

二度目に会ったのも同じコミュニティで開催されたイベントで、場所は名古屋でした。
北海道旅行で丸一日一緒に観光したことで私はつくしとすっかり(お友達として)仲良くなれた気持ちでいたのでまた会えることを楽しみにしていたのですが、いざ再会してみたら彼はちょっと素っ気なくて、仲良くなった気になっていたのは私だけだったのかしらと少し寂しく思ったのをよく覚えています。

つきあうなら「話し合いの大切さを共有できる相手と」

次に会ったのは横浜の中華街。北海道から上京してきた彼をお祝いしようと、私と私の友人、そして彼の三人で中華料理を食べにいきました。この食事会が、私たちが交際することになる一つの転機だったと私は感じています。

食事に行ったメンバーはその時全員シングルで、話は自然と“次に付き合うならどんな人がいいか”というテーマになっていました。その時私があげたのが「話し合いを大切にしたい人」そして「キャンプが好きな人」という二つ。

私は最初の結婚を“話し合いの大切さを共有できなかった”という理由で終えることになったので、もしまたパートナーを持つなら話し合いの大切さを同じレベル感で共有できる相手でないと難しいと考えていたこと。それから自分自身がキャンプがとても好きで、歳を重ねた夫婦がいくつになっても二人でキャンプに出かけていくような関係性に憧れを持っていたことから、この二つをあげました。

それに対してつくしの意見を聞いてみると彼も「話し合いができる人」がいいなと話しており、そんな彼はソロキャンプに出かけるほどのキャンプ好き。

“これはちょっと、あれれ…?”と思っていると私の友人も同じように感じていたようで、つくしがトイレに立った瞬間「ねぇ、つくしくんはナシなの?」と耳打ちしてきました。
正直全くナシでなかった私はこの日をきっかけにつくしにふんわりと好意を抱くようになり、二人で会うようになりました。

性教育を仕事にしていることを“面倒だと思われるのかも”という気持ちはあった。でも

彼と交際する前のエピソードで一つ、物凄く心に残っているものがあります。
二人で食事をしたある日、その頃にはなんとなくお互いに好意があるのだろうなという空気が漂っていて(超楽しい時)、私も素直にそうだったらいいなと思っていました。

そんな時話の流れで「私はすぐに性的な関係をもつ気はないんだ」というようなことを言ったことがあって。というのも私は多分デミセクシュアルというセクシュアリティをもっていて、よっぽど相手への信頼感や親密感を感じないと性的欲求が生まれないのです。(なので初対面の人とワンナイト、的なのとは程遠い人生を歩んできました)
そうした事情もあって”たしかに好意はあるけどまだ境界線を引きたい”という気持ちがあったのだと思います。

つくしにその話をした時、彼は「実は今性感染症の検査を受けていて結果待ち中なんです。少なくとも結果が出るまでは誘う気はないし、そんな軽く捉えていないです」というような話をしてくれて、私はこれがすごくすごく嬉しかった。

私のように性教育を仕事としてやっていると、時々“意識高くて口うるさそう”といったイメージを抱かれることがあります。「性教育学んでいるような人は口説きづらいよね〜」とか「コンドームの付け方とかダメ出ししてきそうw」なんて言葉を投げられたこともある。もちろん大切なことだしそこに対して意識を高くもつことを引け目に思う必要なんてないのですが、自分の中にも少し”面倒だと思われるのかも”という気持ちがあったのだと思います。

彼はそれを面倒だと思うどころか同じように大切なことだと捉えてくれて(彼は私の視聴者だった)、私が頼むまでもなく事前に検査を受けるというアクションを起こしてくれていた。その事実がとても温かくて、心強くて、彼への好意と信用がぐぐっと膨らんだ出来事でした。

それから少し経って、私たちはお付き合いをすることになったのでした。