去年の12月、卒業発表をした私は卒業コンサートのその日までなに一つ後悔することなく過ごそうという決意のもと、禁酒を始めました。
最近、友達やツイッターのリプライでも「どうしたらお酒をやめられますか?」なんて聞かれることがありますが、正直、絶対に辞められる簡単な方法なんてものはなく“自分の意志次第”としか言いようがありません。

禁酒のやり方を教えることはできない代わりに、私が禁酒をしてよかったことを伝えたら、もしかしたら誰かの強い意志に繋がるかもしれないと思い、書いてみることにしました。元々お酒自体が好きなわけではなく、寂しさを埋めるために飲んでいた人間なので、お酒好きの人からすれば全く参考にならない可能性もありますが……禁酒をして良かった7のこと。ぜひ最後までお付き合いください。

① 痩せた

禁酒を始めて一番に起きた嬉しい変化でした。お酒を飲んでいる時は、前日のお酒と深夜に食べたものが胃に残っていることが多かった為、朝昼食べず、夜ごはんを食べて、飲みながら何かしらをつまむ、帰りにコンビニに寄り、ホットスナックやスイーツ、炭水化物などを買い込み、食べながら寝てしまう。そして後悔。これの無限ループな日々を過ごしていたのだから当然の結果とも言えます。家の近くのコンビニで買った食べ物を我慢できずに歩きながら食べてしまうことが日常になりつつあった時はさすがにアイドルとして、人として終わっている自分を責めました。

酔ったときの胃袋ブラックホール現象は本当に怖いものです。今でも食べすぎちゃうことはあるけれど、酔っ払い、記憶もあやふやの中食べてしまうより、友達と楽しく、好きなものを食べすぎちゃう方がよっぽど質がいいし、精神的にも優しい。どうせ食べるなら好きな人と、好きなものを。

② 毎日健やかに生きられる

皆さんもありませんか?酔った勢いで言わなくてもいいことを言ってしまった。普段ならしない行動をとってしまった……なんてこと。私はあります。ちなみに、この質問にノーと答える人とはそこまで深く仲良くなれない傾向にあります。人生においてお酒の失敗が一つや二つある人の方がなんだか信頼できるような気がしちゃうのですが、何度も繰り返してしまうのは話が別です。それに誰かを不快な気持ちにさせてしまった時の「覚えていない」ほどタチの悪いものはありません。記憶がない時に自分が何かしてしまっていないかという不安と、しでかしてしまった時の罪悪感に耐えきれず。たまに実家に帰って心を浄化していた私はもういない。25歳を超えたら「覚えていない」では済まされない。自身の精神安定は自分で守る。

③ 人間関係が整理された

禁酒を始めてからスマホが震える回数は確実に減ったし、そう言えば最近会ってないなぁという人が割といます。最初のうちは少し寂しい気もしましたが、それでいいんです。テキトーなお菓子とジュースを持って家に遊びに来てくれる友達がいてくれればそれで。飲み会に呼んでもらえることが嬉しかった20代前半。私自身が求められているわけではなく、手軽に呼べる存在だったということに気付いていなかった私は未熟で可哀想です。今はお酒がなくても会いたいと思ってもらえることの方がその何倍も尊いと知りました。お昼に会うことがない友達はもういらない。27歳の秋。

④ 人から褒めてもらえる

元々飲みすぎていた自分が悪いし、綺麗に嗜める人が一番偉いに決まってるのに、禁酒300日越えともなると人から褒めてもらえます。ストイックな人、気合い入ってる人と認定されるようにもなりました。「決めたことを守る人」みたいな空気を身に纏うことができるので人からの信頼を得たい人にもオススメです。私はこれで、マネージャーさんと仲良くなりました。

⑤ 自分と向き合う力がついた

お酒って楽しい時よりも、嫌なことがあった時、悩んでいる時、ムシャクシャした時の方が進んでしまったりしませんか?ネガティブな感情を一時的に忘れることはできるけど、朝になって気が付きます。根本的な解決はなにもしていないと。またその絶望を打ち消すために飲む。時は進んで、季節は変わるのに、なんの成長もしてない自分がそこにいました。お酒を飲まない夜は長いけど、その時間を使って何か作品を観てインプットしたり、仕事の準備をしたり、嫌ってほど自分と向き合ったりしながら、ようやく私は2020年、今の自分に追いつけた気がします。

アルコールは自分が抱えている問題を無かったことにはしてくれないし、飲み仲間が自分の人生の責任をとってくれる訳ではないのです。

だけど、楽しい思い出もいっぱいあったな。きっと当時一緒に飲んでいた人達もみんな落ち着いているんだろうな。時空が捻れていたように夏が終わらなかった毎日。反省もあるけど、人生において必要なかったとは思えません。今の自分を作ってくれてありがとう。さようなら。

⑥ 一日を有意義に過ごせるようになった

私は普段からメイクを落とさないで寝てしまうタイプの人間ですが、お酒を飲みすぎるともっとメイクを落とさずに寝てしまいます。そんな日の翌日は目が覚めた時のなんとも言えない不快感からパッと起きることができず、二度寝を繰り返し、夕方にやっとベッドから出るなんてこともありました。自分の生んだ不快感でまた不快になる。私はドMなのかもしれない……。

帰宅して、お風呂に入り、さっぱりした顔と身体で眠りにつくようになると、やってくる一日が楽しくなりました。ギリギリに起きないからその辺に落ちている洋服を急いで着ることもない。重い身体に鞭を打って仕事をすることもない。ピカピカのお肌にメイクをして、浮腫みを気にすることもない。休みの日には、朝から予定を詰め込めるからとても充実します。有意義な一日は前日の夜から作られる。

⑦ 自分のことを好きになれた

今までお話した全てのことを踏まえて、私は禁酒を始めてから前より自分のことを好きになれました。

生きていく中で自分のことを褒めてあげるってとても大切なことだけど、それが苦手な人がこの世の中には沢山いるなと感じています。私もその1人でした。ですが、目標に向かって決めたことを守れている私は毎日自分を褒めてあげる理由ができたのです。
仕事で失敗しちゃっても、何にもしない一日を過ごしても、「でも禁酒は頑張ってるよね、偉いぞ」って、自分を嫌いにならずにいられています。

禁酒に限らず目標に向かって自分が決めたことを守れた時、人は強くなる。
その感覚を掴めたら、少しの我慢が自己肯定感として倍返しに返ってくるような気がするんです。

Tokyofm「峯岸みなみのやっぱり今日も褒められたい」

峯岸みなみさん

◇放送時間:木曜日21:00-21:30

◇出演者:峯岸みなみ(AKB48)

AKB48の1期生で、朝日新聞の女性向けWEBコラムサイト「かがみよかがみ」内でコラム連載を持つ峯岸みなみの新番組がスタート!アイドルとして15年の活動を経て、30歳という年齢が見えてきた一人の女性としてリスナーと本音で向き合う30分の番組です。一日の終わりくらいちょっと褒められたい。そんな思いを共有しませんか?