• 結婚、出産後も働き続ける思いが決意に。

    生活環境学部 生活環境学科3年 鷺 明日香さん

  • 知識を得て社会の矛盾には声を上げたい。

    文学部 心理・社会福祉学科1年 松田 久瑠美さん

  • 自分が動き出せば未来は実現できる。

    看護学部 看護学科2年 高馬 由菜さん

教員11人の授業から女性の一生を描ききる

伊藤 「MUKOJO未来教育プログラムSOAR」の基礎編として共通教育科目「SOAR人生100年をきり拓く力」が、2022年度に開講しました。実際に学んでみてどうでしたか。
鷺 授業のなかで、出産を機会に仕事を辞め育児を終えて非正規で復職した人と、辞めずに正社員で働き続けた人の割合や一生涯に得られる収入差などを学びました。どちらの選択が正解というわけではないけれど、私の場合は、働き続けられる会社を選びたいなと思いました。たくさんの選択肢を知った上で、自分の人生をどう作っていきたいのか、どういう自分になりたいのかを考える良い機会になりました。
高橋 享子(以下高橋 享) SOARのテーマはジェンダー、キャリアデザイン、ライフプランです。SOARでは社会情勢を伝え、自分自身と向き合って、将来どのような選択肢を取ればいいかを考えるきっかけを提供しています。この授業は全15回で11人の教員が担当。それぞれのライフステージに応じた制度や法律、グローバル社会での活動などいろいろなテーマから学び、女性が一生を描く力が身につくよう努めています。
伊藤 女性の生き方の正解を示すのではなく、多彩な教員が様々なライフプランを話す。すごく面白いですね。
 どの回もまったく飽きることがなくて。いろんな先生方から毎回新鮮な話を聞けるのは、この授業の魅力だと思います。
高橋 享 今後は女性が経済的に自立できるように、少額投資非課税制度(NISA)などを学ぶ金融教育も行う予定です。

かがみよかがみの伊藤編集長が座長を務めた学生座談会 ※座談会は感染症対策を講じたうえで開催されました。写真撮影時のみマスクを外しています

固定観念を打ち破り可能性を広げる

高馬 私はこれまで「国内で看護師になりたい」と思っていました。ですが、国連WFP(国連世界食糧計画)で医師らと一緒に世界の難民の方をサポートされてきた先生や、外資系企業で働きキャリアアップされた先生の授業を聞いて、海外で看護師をすることも視野に入るようになったんです。海外で看護師として働くにはどういう資格や学びが必要なのかを、授業後にインターネットで具体的に調べました。
伊藤 授業の中で、特に印象的だったことはありますか。
高馬 思いきって一歩を踏み出したことでキャリアアップでき、新しい道が開けたと話された経験談が印象的で。私はこれまで海外や外国の人への憧れがあったのですが、自分とは接点がないものと思い込んでいました。でも、自分が動き出せば、海外で働く未来も実現できるのではないかと気づきました。
伊藤 すごい!SOARの学びは、人生を変えますね。
 私も「自分次第で人生を変えられる」という先生方の話から、自分がこうしたいと思うことを貫き通す、強い意志を持つ大切さを学びました。
高橋 享 「自分はこれくらいのことしかできない」という固定観念を打ち破り、もっと広い視野を持って活躍する場所を考えられるように、様々な背景を持つ教員に経験談を話してもらっています。

社会に出ても変わらない武庫女スピリット

伊藤 1年生の松田さんは、全新入生を対象にしたSOARの導入講義を受けられています。気づいたことはありますか。
松田 導入講義では、社会にある女性差別や男女の格差などの問題が提示され、それらを解決するためのアクションを起こすには知識や考える力が必要だと思いました。女子大学ならではの取り組みだと感じます。
伊藤 気になったのが、皆さんが卒業後にぶつかるであろうジェンダーの問題。その時に解決できるように、SOARを展開しているところはありますか。
高橋 享 それはあります。ジェンダーバイアス(性別に基づく偏見)やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が少ない状態で授業を受けられるのが女子大学の良さ。「女性だから」「男性だから」にとらわれず「私は何がしたいのか」を考えるので思いが実現しやすい環境です。社会に出れば男性中心の社会構造に矛盾を感じると思いますが、そこで自分たちが学んできた力を発揮し、問題解決の担い手になっていただきたいです。
伊藤 社会に出たら、声を上げにくくなったりしないですか。
高馬 いえ、武庫女はもともとグループワークが多くて、みんなの意見をまとめて発言することができています。だから、社会に出てからも言葉を飲み込むようなことはないと思います。
松田 私はたぶん「変だな」と思うことは言っちゃいます。それに、例えば何か重い荷物を運ぶ時でも自分で持つことが身についているから、男性に持ってもらうとか性別で役割分担することはないですね。
 リーダーもやりたい人が務めるのが当たり前。社会に出て男性がいるからって、リーダーになることに躊躇する必要はないと思います。
伊藤 最後に後輩たちに伝えたいことは?
 この授業を受けることで、生き方や性について自分事として考えられるようになります。
高馬 男女の格差や性の多様性などの知識を深められるので、この授業を受けてほしいです。
松田 先輩たちの話を聞いて、SOARの授業を受けるのが楽しみになりました!

リカレント教育の推進

高橋 千枝子 女性活躍総合研究所研究員(リカレント教育開設準備委員会委員長)

社会人を対象にした男女共学のリカレント教育を2023年4月にスタートします(拠点は西宮北口キャンパス)。「一生を描ききる女性力を。」を具体化するため、卒業後の学び直しにまで、責任を持つことが本学の使命と考えます。 リカレント教育講座の主なテーマはDX。 卒業生、社会人、企業へのヒアリング調査で、「これから必要な力はDXスキル」という意見が多かったからです。

ZOOMの使い方といった初歩から、高度なプログラミングスキルまで様々なレベルの講座を揃える予定です。事務的業務の多くが、将来的にAIに奪われることが危惧される今、誰にとってもDXの知識が必要です。

キャリアカウンセラーの常駐や職業紹介の機能もあり、キャリアアップ、キャリアチェンジにつながる支援をします。 特に強調したい講座が「男性子育て支援講座」。ジェンダー平等の社会をつくるには、男女のパートナーシップを高めることが重要と考え、男性のための講座を用意しました。(談)