私には姉と妹がいる。私の話をする前に、姉妹の話をさせて欲しい。
まずは1つ上の姉。美人で賢くて自由人。なんでもそつなくこなせるので、幼少期はピアノや習字のコンクールで金賞をもらうのが当たり前だった。今は超優秀な彼氏と結婚し、子どもまでいる。
次に2つ下の妹。顔が可愛いくてオシャレ。センスがある。ちょっとツンデレなのもツボ。今はしっかり安定した会社勤めをしながら、九州にある実家で暮らしている。妹曰く「私が家にいることが親孝行」だそうだ。
最後に私。三姉妹の真ん中。顔も可愛くなければ、芸術的なセンスもなし。頭の良さも普通。優秀な姉妹に囲まれて、気づけば卑屈な女性に育っていた。
真ん中っ子の私、ワガママを聞いてあげるのが私の役目
真ん中っ子だからって、損な役回りばかり担ってきた気がする。
幼少期、基本的に私は姉のおさがりを着ていた。1歳しか変わらないし、背丈も同じぐらいだったからだ。だけど妹には新しい服が提供されていた。妹だけちょっと背が低めでサイズが合わないというのもあるけど、洋服も私のところで着倒されてヨレヨレになってしまうのだ。
しかし私には、姉と妹には新しい洋服を着る権利があり、私にはその権利はない、と深層心理にあったんだと思う。
洋服を買ってほしいとねだった記憶がない。
大胆で自信家な姉、末っ子らしいワガママを言う妹。そんな姉と妹に囲まれて過ごしていたからか、「女の子はお姫様だ」と思っている。
ちなみに先日姉と妹にそれぞれに「可愛いもんね?」と言ってみたところ「うん」と答えた。可愛さに自信があるのはよーくわかった。
ワガママを聞いてあげるのが私の役目。気持ちを汲んで、言うことをきいてあげるのが私の役目。
母が家の手伝いを頼むのは基本私だった。自由な姉、ワガママな妹はなかなか言うことを聞かないから。だったら私がするしかない。家族の夜ごはんの準備をして、食後は皿洗い。洗濯機をまわした後は洗濯物を干す。母のためにやるんじゃない、「誰もやらないから」私がやる。
こんな20数年が積み重なると、社会人になってもこんな世話焼きな性質が抜けない。チームではフォロー役だし、板挟みになることなんてしょっちゅう。むしろ挟まれに行っているのでは?というレベル。周りに気をまわしすぎて本質を見失ったり、気づけば勝手に一人中間管理職みたいになってることもある。
しんどい時誰かに甘えるのも下手。とかいってリーダーのように誰かを引っ張れるわけでもない。中途半端さが私の足元をぐらつかせ、卑屈な性格に拍車をかける。こんな風になったのは優秀な2人がいるからだ、真ん中に生まれたからだ、なんて自己嫌悪に陥ってしまったり。
何度真ん中に生まれたことを恨んだだろう。
だけど、誰かが欠けたら困る
だけど、姉と妹2人がいなくていい、って話じゃない。2人がいないなんて考えられない。
私たちは他人が羨むほど仲がいい。もちろん幼少期は喧嘩も多かったけど、大人になってからはあまりない。年1で旅行にもいくし、地元にいる妹もしょっちゅう姉と私に会いに東京に遊びに来る。性格の全く違う3人だけど、一番気を遣わずにいれる友だち感覚。2人は私の知らない世界を教えてくれる。
あたかも私だけが苦労してるかのごとく書いてきたが、実はそんなことない。安月給の私を心配して、全部ご飯代を奢ってくれた姉。私と姉が実家に帰らないからと、地元での就職を選び、両親のもとにいると決めてくれた妹。時に厳しく叱咤して、私のわがままだって聞いてくれる2人。
姉、妹、どっちも欠けたら困るのだ。
真ん中だったおかげで、えらく我慢強くなった。
真ん中だったおかげで、一人暮らしをする前に一通り家事がこなせるようになった。
真ん中だったおかげで、チームをまあるく、柔らかくまとめられるようになった。
「まあ子どもは2人で十分だと思うよ」って友だちには言っちゃってる。苦労してるのは事実だから。
だけど、うん。真ん中っ子、悪くはないよ。