ラグビー日本代表が、大活躍している。
私の親は、ラグビーを題材にしたドラマ『スクール・ウォーズ』をリアルタイムで見ている世代。その影響で、ラグビーが好きになった両親により、弟は幼稚園からラグビーを始め、かれこれ15年近くつづけている。我が家の今の話題は、もちろんラグビー。ラグビー日本代表だけでなく、各国の試合をみて、大盛り上がりである。

私は、ラグビーをしてみたかった

弟がラグビースクールに入った時、私はなにもスポーツをしていなかった。周りの男の子に比べて、身長が高く、太っていたから、よく「ラグビー、一緒にやろうよ」と弟のコーチに声をかけてもらっていた。私は、ラグビーをしてみたかった。サッカー、野球、バレーボール…と大体の球技はボールが丸なのに、なんでラグビーボールはこんな形しているのだろう、とか、タックルかっこいいなとか、幼心にもいろいろと考えていた。

しかし、決まって父親が「女の子だもんね…」と言って断っていた。確かに、ラグビースクールに女の子は、学年にいて一人。中学まで続けるこはほぼゼロとのことだった。
強く言えない私は、「そういうもんか…」と思ってしまった。スクールの中学部にもなると、大きな体の男の子が、激しいタックルをしていた。この中に混じって練習したら、男の子にも悪い。そう思ってしまった。

中学生になった弟は、どんどん身長が伸び、私の身長を10㎝以上抜かし、最終的に180㎝90㎏になった。ラグビーをあきらめてよかった、と思ってしまった。弟だからなんとも思わないけど、筋トレと食トレして、プロテイン飲んで、激しい練習をして、大男になったこんなやつらがすることなんだ、と。

女子ラグビーの存在は知っていたけど、大体は中学生まで、男の子と混じって練習するほかないらしい。弟のように、中学で体つきがだいぶ変わるやつもいる。怖い。そんなのできない。

やめる理由の一つに「女の子だから」をつける

こうやって、「女の子だから」と何かを諦めたことは多い。諦めた、というか、本当はできることなんだけど、身近なひとで先例はいないし、自分はやりたくても、まず父母二人のノーがでれば、納得してしまっていた。そして、諦めた理由を親のせいにして、結局、世の中の「女の子だから」の呪縛、しがらみ、システムに収まっていく。純粋にしてみたかったことも、やめる理由の一つに「女の子だから」をつける。

日常の事柄を「女の子だから」と片付けることがおかしいと思えても、そこで終わってしまう。
そのように「女の子だから」と理由付けして生きてきた私は、#MeTooとか#KuTooとか、活動している人をすごいと思った。おかしいと思うなら、行動してみるべきだ、と大いに感じた。

しかし、声をあげても、#KuTooの方とかは、男だってネクタイするよね、それもやだよとか、ツイッターやネット記事のコメント欄に溢れる男性側の冷ややかな目も気になった。
単に、ハイヒールをやめればいいじゃないか、といった表面的な問題ではないのだ。私自身、就職活動中で、企業訪問や説明会に行ったりして、「服装自由」と言われるけど、暗黙のルールでハイヒールをはいていく。周りの女の子を見渡してもスニーカーだったことはない。この前行った保険会社の社員さんは、外回りが多いと思われるのにヒールをはいていた。これは暗黙のルールとなっているけど、女性はそうあるべきだ、社会に出たらぺったんこ靴はあまりはかない、はけない。就活で私1人がハイヒールを、やめたら。悪い印象になる、正装じゃない、落ちるのでは…と思う。これって、ただハイヒールをはくのをやめるだけじゃだめだろう。暗黙のルールを変えていきたい活動なのだ。
知ってもらわないと、世の中には興味をもってもらえない。問題意識をもってもらわないと、ただの日常としてスルーされてしまう。意識してもらって、初めてこの活動は意味をなす。

#MeTooや#KuTooをきっかけに「女の子だから」の理由付けで諦めることがない5年後へ

また、このような活動から、フェミニズムとか、フェミニストとか、色々な言葉を知った。
勉強中ではあるが、目からうろこだった。こんなにも、学問は進んでいるのか、とか、私だけが考えていたと思っていたことも学者さんがうまく言い換えているんだとか。
知った者の責任として、この知識を社会に還元していきたい。#MeToo、#KuTooの運動から、「女の子だから」といった呪縛を解放したい。

5年後の女の子たちへ。確実に、前に進んでいます。何が解決になって、何がゴールかはわかりません。それでも、「女の子だから」といって何かを諦めないような雰囲気、世論、社会に変えたいと思います。#MeToo、#KuTooで何かを感じた者はたくさんいることでしょう、私のようにちょっと本を読んだり、勉強し始めた人、また、なにか活動に移した人もいる事でしょう。

「女の子だから」と何かを諦めた経験をした人。そこから社会に疑問を思った人。#MeTooなどの活動で、自分に何かできないかと、考えた人。活動に移した人。この経験は自分に留めるだけでなく、女の子たちに、還元するべきです。具体的に、今の私なら、ラグビーを始めようとしている女の子がいたら、全力でサポートしたい。女の子でラグビーをやってる子を集めて試合したり、交流会をしたり。
できなかった悔しさは、10年たっても消えません。
5年後の女の子たちは、私を含めて多くの女の子が経験した、「女の子だから」で理由をつけて、諦めることをして欲しくない。私たちが、全力でサポートしたい。私たちも、女の子を応援できるようにしたい。そして5年後の女の子たちは、自分のしてもらったことを、その次の世代へ引き継ぎ、「女の子だから」で諦めることがないような社会にして欲しいです。

ペンネーム:くーさん

本が好きな大学三年生。
人見知りします。人間観察が好きです。

10月11日は国際ガールズ・デー

「女の子らしく」「女の子なんだから」……小さな頃から女性が受けてきたさまざまな社会的制約。ジェンダーに関わらず、生きやすい社会を実現していこうと、「かがみよかがみ」では、10月11日の国際ガールズ・デーにあわせ、「#5年後の女の子たちへ」をテーマとしたエッセイを募集しました。