佐々木ののかさんに夢中だ。ときに繊細で、ときに激しい表現と巧みな構成。息を張りつめて食い入るようにスクロールしてしまう。どうしたらこんな文章が書けるようになるんだろう。そもそも経験を赤裸々に表現することに抵抗はないのかな。

10月30日、かがみよかがみの人気コラム「佐々木ののかの激情キャバレー」から佐々木ののかさんご本人をお招きし、エッセイの種をみつける「失恋女子会」を開催しました。

佐々木ののか 文筆家・ライター
「家族と性愛」をメインテーマにしたエッセイや取材記事の執筆が生業。そのほか映像の構成執筆や映画・演劇のアフタートーク登壇、アパレルの制作など、ジャンルを越境して自由に活動している。家の前で拾った愛猫のみいちゃんと仲良く同居中。

当日は20名を越える方が集まり、失恋をテーマにしたワークショップにくわえ、ののかさんのコラムを題材にしたライティング講座や質問コーナーを開催。「正直嫉妬してます」と気持ちをぶつける参加者も出るほど、熱量の高いイベントとなりました。編集部がレポートします!

18~29歳の女性からの投稿を中心に掲載しているかがみよかがみ。「せっかく書くなら、読んでよかったと思ってもらえるものを書こう」と伊藤あかり編集長は伝えます。多くの反響を呼ぶ佐々木ののかさんのコラムを題材に、その「面白さ」を因数分解して伝えました。

 ~ののかさんのエッセイ因数分解~
①問いの立て方がうますぎる
②エピソードが具体的
③描写がうますぎる
④反対側からの視点
⑤もう一段階深掘りする

伊藤:とにかく大切なのは②のエピソードを具体的に書くこと。投稿してくれた子に対して毎回添削して返してるけどその8割はこのこと伝えています。抽象的な文章でなく、読者が状況を鮮明にイメージできるように具体的に書くことが何よりも重要です。そしてこれは、誰でもすぐにトライできることなんですよね。逆に、詩的な表現はなくても大丈夫なんです。

例えばののかさんの「私の眼球を泳ぐ水分がキュッと干上がった」という表現は本当に最高で、みんなここにめろめろになると思う。でも、ここだけに注目してこうした表現を使おうとしてくる人が多い。詩的な表現は「プレゼントでいうリボン」のようなもの!と思ってください。

質問コーナーであがった質問を、ライティング方法、さらけだす表現に関する2つに分けてご紹介します。

◆ライティング方法について

―――具体的な状況を書くときに気をつけていることはありますか?また、すてきな表現はすぐ頭にぱっと思い浮かぶのでしょうか?

ののか:いつもその状況や自分の身体に落ちてきた感覚をデッサンするようなイメージで書くようにしています。ときには絵を実際に描いてみたり、箇条書きにしてみたりして、細かく具体的に思い出しています。だから、好きな表現を棚にいれて「いつかこれ使うぞ!」っていうようなことはしないですね。その時の感情にないものを、棚からひっぱりだして使おうとすると不自然になってしまうので。

10回は書き直す 最終的に表現が生まれる

あと、わたしすごい書き直してます!10回は書き直しますね。一気にぱっと書くことはなくて、お話のストーリーをちょっとずつ直したりして、最終的に表現が生まれる、という感じです。1回で書き切ろうとはしていないです。

―――あるテーマについて書こうとしても、考えてるとたくさんトピックが出てきて際限がなくなってしまうんです。どの段階で文章に落とし込めばいいのか分からなくなります。

ののか:わ~いいですね。冷蔵庫の中にいろいろ食材がある状態なんだと思います。一気に全部使って料理しようとしなくていいと思います。もとになるエピソードは多少かぶったっていいので、材料1個でエッセイ1本ずつ、書いていけばいいと思いますよ!

◆さらけ出す表現について

―――noteの「五体満足なのに、不自由な身体」を読みました。演劇のような構成になっていてめちゃくちゃかっこよくて、詩的な表現もきれいで。ののかさんは最初から照れはなかったのでしょうか?わたしもやってみたいんです!(笑)

ののか:抵抗感、ありました!(笑) 5年前、ポツドールの『愛の渦』に感銘を受けて三浦大輔先生の朗読会にまで行ったんですけど、私も同じ質問したなぁ。「案外書いてみたら受け入れてもらえるからやってみたらいいんじゃない?」と言われて、だんだん書くようになりました。それからwebに出ることにだんだん場慣れしていったなと思っています。

感情で殴るのも、理詰めでいくエッセイもどちらも素敵

―――自分の感受性に自信がないし、感度が鈍いと思う。そういう人は、どうしたらののかさんみたいにもっと豊かな表現ができるようになりますか?

ののか:うーん、タイプの違いかなと思います。私は感情で殴るような文章しか書けないんですよね。「こっち向け~~!」って荒療治のエッセイが多いので人を怒らせちゃうこともあるし(笑)。もしかしたら質問者さんは理知的に物事を書き進められるタイプなのかもしれないです。理詰めでいくエッセイもとてもきれいだと思う。淡々としていてもすてきな文章はたくさんありますよね。いろんなスタイルがあるので、鈍いから書けない、と思わなくて大丈夫だと思います!

切っても痛くないことをさらけ出す

―――自分をさらけ出す文章を書くのが恥ずかしいです。中途半端なものでは読む方もつまらないと思うし。ののかさんの文章は迷いがなくてかっこいいなと思うのですが、どうしたらそんな文章が書けますか?

ののか:私の場合は、さらけ出そうと思って書いてるんじゃなくて、書きたくなってどうしようもなくて書いてるんです。これはすごくみなさんに伝えたいんですけど、私、決してさらけ出した文章をおすすめしているわけではないんですよ。心のうちをさらけ出したとしても、いい反応が必ずしもくるとも限らないし。だから、書いていて自分が苦しくなるものは書かなくていいんです。髪の毛と同じで、切っても痛くないことを出してます。ちゃんと自分を守ってほしいな。

書きたい感情は、第三者にも一度聞いてみる

質問コーナーの後は、ワークショップです。

失恋をテーマに経験を書き出し、ペアでシェアするこのワークでは、エッセイの種を見つけること、そして、自分と相手の「面白い」と感じる経験の差異を知り、読み手を意識する重要性を知ることの2つを目的にしています。ののかさんは、「書きたい経験や感情があったら、なるべく人に聞くようにしています。自分と世間の感覚が、よくも悪くもズレているのかどうかを知ることは、読み手を意識する上で大切だし、話すうちに考えが深まることがあるんです」と、他者の意見を聞くことの重要さを伝えました。

経験のシェアタイムでは、「ずっとセフレで彼女になれなかった。彼女とセフレの違いって何」「自分に興味ない人に魅力感じてしまって関係に発展しない...」など、多くのトピックで盛り上がりました。

最後は全員で記念撮影!ドレスコード赤でしたっけ…?くらい赤いお洋服の方々が集まりました笑

イベント後は参加してくださった方が感想をTwitterに投稿してくださいました。
各ツイートは #失恋女子会、やこちらのモーメントをご覧ください!ここではその一部をご紹介します。

恋愛やセックスの話を自由にできる場、楽しくて大好きなんだけど「恋愛経験の少なさにコンプレックスを持っている私」が劣等感に押し潰されないように、といつも気を張ってしまう でも今日はそういう意識から解放されて話せた 聞けた よかった #失恋女子会 #かがみよかがみ 

窓辺

エッセイを書くのは身を削ること、特に恋愛や性を語るのはシュラスコみたいだって思ってたけど、ののかさんの「髪を切る感覚。痛くない。」っていうのを聞いて凄く心が軽くなった。赤裸々のキレ味の塩梅が分かった気がする。

朝日美陽

どうしてここに来ると同じ感覚の方と出会えるのだろう! 楽しすぎておとなりのかたの肩バッシバシたたいてすいやせん ののかさん、パワースポットのようなかただった、、#かがみよかがみ #失恋女子会 #佐々木ののか 

後藤つき

エッセイ「別れの瞬間」募集中!締め切りは11月10日

また、かがみよかがみでは「別れの瞬間」と題し、失恋をテーマにしたエッセイを現在募集しています。
すてきなエッセイには「かがみすと賞」をお贈りし、編集長がコメントを添えてサイト内でご紹介させていただきます。
ぜひ奮ってご投稿ください!
締め切りは11月10日(日)となります。

記事でご紹介しきれなかった編集長のパワフルアドバイスは、ぜひエッセイ説明会&ライティングスクールにいらして直接聞いてみてください!

今後のイベントは下記のとおりとなります。

◆サイトコンセプト説明会&ライティングスクール

11/17(日)14:00-16:00
11/21(木) 19:00-21:00

エッセイ投稿に興味はあるけど、何を書いたらいいか分からない。
テーマ決めからはじめたい!という方におすすめです。

◆編集長と記者がその場でアドバイス!エッセイ相談会

11/30(土)14:00-16:00

実際に書き始めてみたものの、書ききれなかった。
投稿前に添削してほしい!という方におすすめです。
文章をプリントアウトしてご持参ください!