私の通う「一流ではない」大学。1年の頃からゼミのような少人数のクラスがある。そこで、私は、自分の卑屈さに気づく「大失態」をした。
クラスでの発表、準備を怠って
文系大学生には付き物であろう、調べ物の発表。そこで準備を怠った。発表は午後最初、一番手で、お手本は見られない。レジュメの書き方もよくわからないなか、必要と言われたので、当日のお昼休みにそれっぽいものを人数分印刷した。
当日の朝から作り始め、午前中の講義もあったので、納得したものなどできたはずもない。
加えて、私は人前に出ることが大の苦手だ。原稿がなければ怯えてしまって喋ることができない。その原稿を用意するために残された時間はわずかしかなく、結局最後までできなかった。
人生の終わりだ、公開処刑だ、と思った。そこまでいったら授業をサボる学生もいるかもしれない。しかし私に「行かない」という選択肢はなかった。インフルエンザなどで学校を休み、久しぶりに登校したときの「取り残された感覚」を味わいたくなかったからだ。
いざ、発表の時間。自分の考えていたところまでを話し、最後に、途中までしかできていないことを謝罪した。気まずい空気が漂う。ほかの学生に、教授が質問するよう促したが、誰の手も挙がらない。
見かねて教授が話し出す。グタグタの発表に対する、鋭いと質問とダメ出しのオンパレード。根は真面目なので、怒られる経験値は極めて低い。羞恥心や情けなさが混ざり、一体どんな顔をしていたのかわからない。
バカにしていたのは自分だった
地獄のような時間が終わり、ひとり教室を出た。人気の少ないトイレに入り、声を潜めて泣いた。
すべては、準備不足が招いたことだ。そしてその最大の理由は私自身が自分の通う大学をバカにしていたからだ。
「どうせみんなちゃんとやってこないだろう」
「自分がこの程度なんだから、みんなもそんなもんだろ」
そんな風に、私は自分の大学と、自分を含めた学生を卑下していた。しかし、大きく間違っていた。他の学生は、期日までにしっかり準備をし、自分なりに発表を頑張っていた。みんなしっかり大学に学びに来ているのだ。
それ以来、発表やレポートに真剣に取り組むようになった。功を奏して、優秀者に送られる大学の給費奨学生に選ばれた。他の教授からチャンスをもらえることあった。
この大学だってなかなか捨てたもんじゃないぞ
どんな場所であれ、頑張っていれば誰かが見つけてくれる。世間から見て一流でない大学だからって、なかなか捨てたもんじゃないぞと、今ではほんの少しだけ自分と大学に誇らしさもある。
本当の勝負はここからだ。私が自分を少し好きになれたのは大学内での話。
これからは、ほあの大学生と就活という場で競い合わなければならない。不安だらけだ。きっと失態もたくさんしてしまうのだろう。でも、大学名を理由に自分で自分の価値を下げてしまうことはしたくないと思う。
ペンネーム:あんず
女子大生。映画館と本屋が好きです。最近は好きなバンドのアルバムををひたすらリピートしています。日々学び、成長中です。