私が就活でぶつかった壁はいくつもある。最初にぶつかった壁である、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)をひねりだすのに苦労したことについて今回は書こうと思う。

就活解禁の次の日。私はノートを片手に大学のキャリアセンターの人と向き合っていた。
「この、学生時代に力を入れたことって、どういうこと書けばいいんですか」
キャリアセンターの人は優しかった。就活のいろはも業界研究も自己分析も訳がわかっていない私にエントリーシートの添削をしてくれた。準備が足りていない部分なんていくらもあったのだ。それでも優しく指導し、添削し、アドバイスをくれた。

「学校の勉強以外で何かしてた?」
「人と何かをするのが苦手で、誰かと何かを成し遂げたって言ったら表紙と本文を分担して本作ったことが唯一なんですけど、それって書けますか」
就活本やサイトにある、リーダーシップやコミュニケーション能力をアピールできるような、きらきらした実績でないと就活には使えないと思い、落ちこんでいた。不安げに問いかける私に、「それ、いいじゃない!」と全力で褒めてくれたキャリアカウンセラーの先生のことを忘れない。

私には"きらきらした実績"がない

大学は楽しかった。だけど、私にはガクチカに書ける"きらきらした実績"がない。

ガクチカに書ける"きらきらした実績"と私が勝手に呼んでいるものは、例えば、趣味のサークルを新しく作りその中心となって活動したとか、新しい同好会を作りそれを学内に根づかせたとか、サークルのなかで揉めたこともあったけれど何とかそれを収めてイベントを成功させたとか、そういうことだ。
どういうわけか、私の同期にはサークルや同好会を作った人が数人いるため、例えにも出てきてしまう。彼らはきっとガクチカで困ることなんてないんだろうな。勝手な想像だけど。

私の大学生活はこうだ。講義に出る。試験を受ける。実験をする。図書館で本を読みふける。好きなものに没頭し、その好きなものについて書いた本を出して、手売りする。また講義に試験に実験に、と忙殺される日々。その合間に3冊ほど本を作った。

ネタ作りでサークルに入るなんて申し訳ない

人と何かをするのが苦手すぎて、サークルとかその手のことからひたすら逃げ回っていた。その結果、ガクチカに書くことがない。こんなことなら適当なサークルに入ってエピソードの1つでも作っておくんだったかな。そう思った自分が情けなかった。

適当にサークルに入っている人なんて、私の周りにはそうそういなかった。サークルや同好会を立ち上げた人はそのメンバーのなかで中心となって動いているし、サークルの活動のために週末もあれやこれやと動いている友人もいた。あの熱量でやっている活動にガクチカのネタ作りなんて理由で入っていくのはとてつもなく申し訳ないし一瞬でもそんなことを考えた自分を恥じた。

企業が採りたいのは大卒だけど、何を学んだかには興味がない?

そもそも、と思う。大学生の本分は学業だ。たしかに試験前に勉強を頑張って単位とれましたとかとれませんでしたとか、そんな話には華がない、のかもしれない。それでも大学生はサークルで何かをするのを第一目標に大学に入ってくるものではない。学業をしにきているのだ。

だというのに、ガクチカのみならず、就活では基本的に学業以外のことばかり聞かれる。学業のことを企業が軽視している結果だ。4年間、何かについて学んだ学生を見極めて採りたいなら卒業後に就職活動を設定するはずだ。なのにそうではない。採りたいのは大卒だけど、何を学んだか、なんてことには興味がないのだ。

誰かと何かをしたことがガクチカとして求められ、喜ばれるのかもしれない。それにはサークルに入っていた人の方が有利なのかもしれない。けれど、私はキャリアセンターの人のように「本を出して手売りした経験、いいじゃない!」と言ってくれる企業に就職したい。