目は大きくて、鼻は高くて、唇は綺麗なほうが良い。
近年「見た目」というものが異常なまでに
重要視されているように思う。つい先日も、女子高校生たちが「もっと可愛くなりたい」という言葉を口にするのを耳にした。
必要以上に見た目を重視
もちろん自分の見た目を気にするのは、とても良いことだ。
見た目が良くなれば、相手に与える印象が良くなるかもしれないし、
気になる異性から「付き合いたい」と思ってもらえるかもしれない。
だが、自分の見た目ばかり気にすることで、肝心なことを見失っていないだろうか?
かく言う私も、つい最近まで過剰に自分の見た目を気にしていた。
スマホのカメラで自分の顔を撮っては「可愛く撮れた」と言って大喜びしたり、その写真をSNSにアップして、称賛のコメントをもらえるのを楽しみにしたり。
中身にも気を配るように
しかし、ある日のこと。喫茶店の待合室の椅子に座って、メイクに夢中になっていたら、隣にいた店員さんに声をかけられた。
「あのう、すみません・・・立つのがしんどい方がいらっしゃいますので、その方に席を譲って頂けないでしょうか?」
店員さんの言葉にハッとなり、顔を上げると、杖をついた70代くらいの高齢の女性が、切なそうにこちらを見つめていた。
「席を譲ってくれると助かります・・・」
女性はそう言って、ぎゅうっと杖を握りしめた。自分の見た目ばかり気にして、困っている人がいることに気付かなかった。いくら可愛くなっても、美人になっても、目の前にいる困っている人に目を配れないようでは人として失格だ。そう思った。
そんな出来事があってから、見た目だけでなく中身にも気を配るようになった。
仕事を手伝ってもらったら「ありがとう」と言い、バスや地下鉄などの車内で困っている人を見かけたら「何かお手伝いできることはありませんか?」と、積極的に声をかけるようになった。
テレビやネットでは、やたら容姿の良い女性が持ち上げられ、
少しでも容姿が悪い女性は「ブス」「キモい」と叩かれることが多いように感じる。
そのせいで、必要以上に見た目を気にしてしまったり、「可愛く(美人に)ならなくては」と苦しんでいる女性も増えているのではないだろうか。
よく見せることばかりに夢中になって、目の前のリアルや自分の心が見えなくなってしまっては台無しだ。鏡やスマホをいったん鞄の中にしまって、あたりを見渡してみよう。困っている人がいるかもしれない。「何かお手伝いすることはありますか?」そう声をかけたら、きっと相手は「なんて親切な人なの」と嬉しい気持ちにるだろう。見た目ではなく、あなたという一人の人間の中身を見てもらうことができる。周りからの評判に惑わされることもなくなる。見た目ばかり気にするのをやめることで、生き生きとした幸せな毎日を送ることができる。さっそく今から、鏡とスマホをしまってやってみよう。