特集:私はNOと言う

避妊しないのはデートDVだと気付いて、別れた後にNOを突きつけた

私はNOと言う

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ライターのトイアンナさんが、こんなツイートをされていました。

まさにその通りです。私自身が、即座に「はぁ?」と言えなかった経験を苦々しく思い出します。

私は自分が加害されていることに気づけなかった

以前付き合っていた男性との話です。
はじめてセックスしたとき、膣内で射精したあとでコンドームが外れていたことに気づきました。そのとき避妊用のピルを飲んでいたので不安には感じず、そういう事故もあるよな、くらいに思っていた私。その日はなにも言いませんでした。

次のセックスのとき。相手がコンドームをつけるのをぼんやり見ていたら、亀頭の下くらいまでしか巻きおろしていなかったのです。それを指摘すると、相手は「だってめんどくさいんだよ…」と。

ここで私は「はぁ?」と腹から声を出して言うべきだったのです。避妊に最善を尽くさないことは、女性のからだに対するれっきとした暴力なのだから。
でも私はそうしなかった。別に怖かったとか、言いにくかったとか、そういう話ではなく。

私は自分が加害されていることに気づけなかったのです。

コンドームを正しくつけない相手に、私は傷ついたけど

加害されているときに、それが加害だと見極めることは難しいものだと思います。
人に悪意がある、というのは一部の人にとって信じにくいことではないでしょうか。私もそのうちのひとりです。人間の善を信じてしまうから、向けられた悪意を正当化しようとしてしまいます。
この人にはなにか理由があるのだろう。これは偶然なのだろう。たとえばこんなふうに、「これは加害ではない」と思い込もうとすることもあるでしょう。

あるいは、自分のこころに鈍感である場合もあります。コンドームを正しくつけない相手に、私は軽んじられたような気持ちになり、傷つきました。でも私は、その感情を、こころの傷を、押し込めてしまった。

あの日の私が言えなかったことを、伝えなければならない

加害されたことにはあとから気づきます。
私の場合は、その男性と別れたあとでした。急にあれは暴力だったのだと気づき、へらへら笑って許してしまった自分が許せなくなって。

自分を許せないままでいたくはない。あの日の私が言えなかったことを、伝えなければならないと思いました。
フリック入力もうまくできないほどに震えた手で、その相手に連絡しました。

コンドームを正しくつけないのは女性への暴力であること。あれはデートDVだったこと。
それを伝えたとき、返ってきたのは

「はーい」

という3文字だけでした。

正直、悔しくてたまらないです。私が受けたデートDVは、その告発は、「元カノがなんかうるさいこと持ち出してきたよ」という文脈に回収されてしまいました。

でも、NOを突きつけたことは正しかった。そう思います。NOと言うことによって、あのときNOと言えなかった自分も救ってあげることができるから。

加害に気づいたら、いつでも告発していいのです

加害を受けたのに黙ってしまった自分や、加害にその場では気づけなかった自分が許せないこともあります。そのときにNOを言ってみることは、ひとつの選択肢です。
それは軽んじられるかもしれない。疎まれるかもしれない。だから全員がそうすべきだとは思いません。
でも、加害に気づいたら、いつでも告発していいのです。

NOと言うのに時効なんてない。

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