「君は君らしく生きていく自由があるんだ」     
これは私が好きなアイドルの歌の歌詞だ。彼女達はこの曲の中で「声を上げない者達は賛成している」「Noと言いなよ」などの力強い歌詞を歌っている。
私はこの曲を聞いた時、アイドルがこんなにメッセージ性が強い曲を歌うんだと衝撃を受けた。自分と同年代の女の子達がこのような歌を歌っていることに勇気づけられた。

自分を殺して「空気」になっていた高校時代

私は、あまり楽しい高校生活を送ってこなかった。高校生と言えば「青春」で人生の中でもかなり楽しい時期なのではないか。実際、私自身もそう思っていたのだが、想像してたものとは全く違っていた。私には「華のJK」なんて夢のまた夢で、むしろ人生で一番楽しくなかった。

なぜ楽しくなかったかと言うと、自分を殺して「空気」になっていたからだ。なんとなく女子校の雰囲気が合わなかった。中学時代は明るいキャラで、変なことをしても周りが笑ってくれた。中学時代のように自分を受け入れてくれる場所はないんだと思った。

それでも、クラスに友達はいて、私を含めた3人で一緒にいた。そして、3人で合唱部に入った。1年生の頃は割と明るく過ごしていたし、クラスは嫌いだったけど部活は楽しかった。アニメが好きで休み時間にアニメの曲の振り付けを練習したりしていた。それが、一部の女子達は気に食わなかったらしく「気持ち悪い」という認識をされていた。

自分が我慢すればいいと思っていた

そして、2年生の初めに合唱部の友達の1人と喧嘩をした。その友達は、私達がクラスの子に浮いていると言われていることが嫌だったのだ。「もう一緒に行動したくない」など言われ、蹴られたりしてかなり激しい喧嘩になった。

その事件があってから、クラスでも部活でも大人しく過ごすようになった。学校に行っても誰とも話さない日もあった。昼休みはクラスの騒がしい雰囲気が嫌いで、伴奏の練習がしたいからと嘘をついて音楽室で1人で過ごした。笑われたりからかわれたりすることが毎日あって、学校に行くのが憂鬱だった。それは3年生になっても変わらなかった。

2年生の終わり頃からは部活も楽しくなくなった。後輩との関係がうまくいかず、2年の初めに喧嘩をした友達を含めた何人かの部員が辞めた。もともと部長だった子が辞めて自分が部長になった。私はそれまで人をまとめる役をしたことがなく、人に注意することも苦手で頼りない部長だった。そのため、後輩には嫌われていたし、聞こえるように文句を言われたこともあった。それでも自分のせいだから自分が我慢すればいいと思っていた。

これからは自分を抑え込むのではなく、Noと言いたい

大学生になった私は、仲のいい職員の方に「私いい子辞めたいんですよねー」と相談した。すると、「いい子なのは辞める必要ないけど、言いたいことはちゃんと言った方がいいよ」と言われた。
私は「変」と言われることは嫌いじゃないし、からかわれること自体が嫌だったのではないと思う。ただ、影でバカにされるくらいなら直接変だと言って欲しかった。後輩とももっと話し合っていれば、仲良くはなれなかったかもしれないけど、もう少し部活はやりやすくなっていたかもしれない。
私はこの職員の言葉や、冒頭の「声を上げない者達は賛成している」という歌詞にもっと早く出会っていたらかなり救われたし、生きやすかったと思う。自分が我慢すればいいなんて考えでは解決しない。

今思うとかなり勿体無い高校生活だったと思う。どうしてそんな人達に自分の高校生活を台無しにされなければならなかったのだろう。親には一切このことは話していなかったが、そんな思いをしながら通っていることを知ったら悲しむだろう。

このアイドルの曲を高校時代の自分に聞かせてあげたい。私はこれから社会人になり、理不尽な場面に出会うかもしれない。それでもその時は、自分を抑え込むのではなく、Noと言いたい。それを大好きなアイドルが教えてくれたから。