かがみよかがみでは、「就活に思うこと」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

28歳女。男のように働くという武器を持っているが、言わないでおく(有紀子)

あらすじ:就職活動という戦場で取った作戦は「男になる」こと。採用を勝ち取った会社で、男のように働きながら、女であることを利用した。でもそれは、ほかの女性たちの働きづらさを助長していたのだった。

◆担当編集者からのコメント

「男になる作戦」は、有紀子さん個人としての生き残り戦略だったんですね。働く女性たちは多かれ少なかれ同様の葛藤のなかで日々過ごしているのかも知れません。

女性活躍、女性が働きやすい職場、女性が輝く会社――これらの進歩的で耳触りの良い言葉は、言うまでもなく女性が活躍できず、働きづらく、輝けない社会があって生まれたものである(男性が活躍している社会に、男性活躍というスローガンは明らかに不要だ)。

その戦略はこういう企業や社会を温存してしまって、自分の首を絞めることになるんですよね。女性の置かれた状況をはっきりと描いてくれました。

◆次点①

責任のある面接官を任された3年目。私は嘘吐きな面接官になった(bonzu)

あらすじ:中小企業に就職して3年目にして、面接官を任された。私の決定が他人の人生を狂わせるかもしれない。ここはお勧めできないという本音と、いい会社だという建前。噓はついていないと思い込もうとしたが、罪悪感が勝った。

◆担当編集者からのコメント

就活での採用側からの貴重なエッセイをありがとうございました。建前と本音の間での苦悩が伝わってきました。

ろくに社会経験のない若者に夢物語を見せるのは、さぞ簡単なことだったろう。その経験が、お前も奴らと同類だと囁いてくる。給料を貰うためなんだ、と無視をした。

これからの学生たちに、かつての自分のような目に合わせたくないという、bonzuさんの誠意が伝わってきました。

◆次点②

「お父さんの職業は」と聞かれ、絶対に内定を取って辞退すると決めた(深川青)

あらすじ:計画的に準備して順調だった就活。なのに目当ての企業の面接での質問に、時が止まったように感じた。私が男だったら同じ質問をしただろうか?笑顔で面接を終えて私は、絶対に内定を取り、そして辞退しようと思った。

◆担当編集者からのコメント

ああ、この企業から絶対に内定をもらい、そして絶対に辞退しよう。学生という弱い立場で一矢報いるには、それしかない。
こんな暗い決意、私だってしたくなかった。

この出だしが秀逸で、どういうことだろうと引き込まれました。悔しい思いを自分だけの問題にしなかったんですね。ラストの就活生へのエールも素敵でした。

以上、「就活に思うこと」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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