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10月31日(日)に投開票日が迫った衆院選。いろいろな党や候補者が、さまざまな公約を掲げていますね。

選挙にはもちろん行かなくちゃならない、というのはわかりつつ、選挙に行くことが自分たちの生活にどう影響するのかを具体的に考えられない、という人も多いのではないでしょうか。 

実際に、世論調査で最も重視するとより多くの人が回答しているデータもある「社会保障」について、今回は税金と社会保障の関係をメーンに、選挙に行くにあたってぜひ考えてみてほしいポイントについてお話していきます。

朝日新聞社が19、20日に実施した全国世論調査(電話)で、衆院選で投票先を決める時、最も重視するテーマを聞いたところ、「社会保障」が29%と最多で、「景気・雇用」27%、「新型コロナウイルス対策」18%が続き、「外交・安全保障」9%、「政治とカネ」8%、「原発・エネルギー」4%だった。

朝日新聞デジタル2021年10月20日の記事より抜粋

知っておきたい税金の使い道

消費税がどんどん増税されていたり、給与明細を見て引かれている所得税や社会保険料を高いと思ったり、社会を支えるためにお金をたくさん払っていることを実感する機会は多いのではないでしょうか。

税金の使い道といえば、学校をつくったり、道路をつくるなど街を整備したり、救急車を運営したりしていることを小学生のころに一度習う機会があるはずです。

けれども、かなりさらっと学ぶ程度ではなかったでしょうか。

私たちから集めた税金が、どういうことに使われているのかについて、もっと具体的に知る機会って、なかなかなかったように思います。

そこで見てほしいのが、国の収入と支出を表した「一般会計歳出・歳入」の構成です。

財務省「令和3年度⼀般会計歳出・歳⼊の構成」より抜粋

歳入というのは、国に入ってくる収入のこと。税金の中では、消費税が一番多く、その次に所得税が多くなっています。

一方、国の支出である歳出では、一番多く使われているのは「社会保障」です。

社会保障って何だろう?

例えば病院で診てもらったときに、自己負担が3割で済んだり、将来年金をもらうことができたり、失業した時に失業保険をもらえたりといったこと。

それに子育てに関する支援、コロナ禍のなかでおこなわれた経済的支援についても、社会保障費が充てられています。

「コロナ危機でセーフティーネット(安全網)はどう機能した?」=朝日新聞デジタル「危機の時代に」(2021年10月16日)より抜粋

また、社会保障費の中では現在、年金や医療にかける割合が高く、少子化対策にかかるものは少なくなっています。

少子高齢化社会ということもあり、高齢者向けの社会保障に使うお金がどうしても多くなってしまっているのが現実です。

「選挙」と「私たちの暮らし」のつながりはとても密接

そこでぜひみなさんに考えてほしいのは、国の歳出の内訳は、国会で決められた予算で決まるということです。 

国会って議員がいつも討論ばかりしているイメージで、政治はあまり自分たちとは関係ないと思っている人もいるかもしれません。

しかし、選挙で選ばれた政治家の人たちが国会で討論していることは、いまの私たちの暮らしや将来の年金、困った時に頼れる支援、それにめぐりめぐって私たちの手元に入ってくるお金と、すごく密接な関係にあるのです。

今回の衆院選に限らず、都道府県や市区町村の首長や議会の議員を選ぶ選挙も、随時おこなわれています。

選挙で選ばれた人たちが、みんなから集めたお金の使い道を決めるのです。

現役世代の負担を減らす、子育て世代への支援を充実させる……など、若い世代に向けた政策を掲げている人や政党も多くあります。

若い世代が何を望み、そのうえでどういう人や政党を支持しているのかといった自分たちの意思を、政治に対して正規の手段を使って示せる唯一の機会として、投票権を無駄にすることなく行使していきましょう。

(朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)