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2021年12月10日、2022年度の税制改正の内容が決まりました。最近もインボイス制度が話題になり、税金に関する新しい仕組みがどんどん導入されているというニュースを見た人もいるかもしれません。実は毎年、12月中頃に与党が翌年度以降の税金に関する制度を決めた税制改正大綱というものが発表されているんです。

2022年度の税制改正大綱がまとまり、会見する自民党の宮沢洋一税制調査会長(右)と公明党の西田実仁税制調査会長=2021年12月10日、国会内、朝日新聞社

来年度の税制改正の内容が10日、固まった。今年は秋の衆院選などの影響で与党内の議論が約2週間の「短期決戦」となったものの、賃上げ税制の拡充など「岸田色」の演出にはこだわった形だ。

「短期決戦」本格議論置き去り 税制改正「岸田色」にはこだわり:朝日新聞デジタル
朝日新聞社

家を買いたい人にはうれしい改正

2022年度の税制改正の中で、より多くの人に関係しそうなのが、住宅ローン減税の4年間の延長と、賃上げ税制の拡大です。賃上げ税制については前回お話ししたので、今回は住宅ローン減税がどう変わるのかについてご説明していきます。

 

住宅ローン減税とは、新しく家を購入した際に借りた「住宅ローンの年末残高」に決まった「控除率」をかけたものを、所得税から控除することができる制度です。家を購入するハードルを少しでも下げて、住宅の取得を促進するために作られました。

朝日新聞社

どういう改正が行われたのかというと、まずは昨年末に終わるはずだった住宅ローン減税の制度自体が、2025年まで延長されました。そして、対象者の所得が3000万円から2000万円までと引き下げられました。また、控除率についても1%から0.7%に引き下げられます。

条件が変更になったものの、制度自体は延長となっているので、これから家を買う可能性があるという人にとってはうれしい改正なはず。

「控除」は税金が減ってお得?

そもそも控除とは何かというと、税金を計算するもととなる金額を減らせたり、税金そのものを減らせたりする仕組みのことです。

控除は大きく分けて2つ。「所得控除」と「税額控除」にわけられます。先ほどお話しした住宅ローン控除は税額控除といって、税金そのものを減らすことができる控除の仕組みです。

一方で、自分で運用する年金制度であるiDeCoの掛け金は小規模企業共済等掛金控除、生命保険などに入っていたら保険料控除、ふるさと納税は寄付金控除、病院の通院代や薬代は医療費控除となります。これらは税金を計算するもととなる金額を減らす所得控除という仕組みになります。

2021年の確定申告初日=2021年2月16、大阪市北区、朝日新聞社

「控除」ときくと、税金が減ってお得な仕組みと考えてしまいがちですが、そもそもiDeCoの所得控除を受けるにも毎月掛け金を支払う必要があり、住宅ローン控除を受けるには住宅ローンを支払っていたり、医療費控除を受けるには医療費を支払っていたり、ふるさと納税で寄付金控除を受けるにはふるさと納税のために出費をしていますよね。

たくさんの「控除」を受けられたとしても、何もお金を払わずに、ただただ税金を安くするというのはなかなか難しいのです。

 

でも、どちらにせよ出費があるのであれば、しっかり「控除」を受けないともったいないので、これらの控除をしっかり活用することは大切です。

控除は、ただただお得に節税できているという感覚よりも、税金として払っていたお金を、今や将来の生活、応援したい地域のためにお金の払い先を変えるというイメージを持っておくといいでしょう。

今回の税制改正大綱は、対象者が限られた改正が多く、自分に関係のあるものがなかったという人もいるかもしれません。来年以降も、毎年12月中旬に税制改正大綱は発表されます。毎年12月には、もうすぐ税金の制度変更があるかもしれないとぜひ思い出すようにしてみてくださいね。

(朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)