かがみよかがみでは、「バレンタインの思い出」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

アレルギーがある私も、バレンタインを楽しめるようにした彼女(yukima)

あらすじ:アーモンドやシナモンなどにアレルギーがある私。バレンタインのときは居場所がなかった。でも高1のとき、「陽キャ」な同級生にチョコを差し出され、ためらっていると「アレルギーだっけ」とわざわざ原材料の書いてある缶を持ってきてくれた。そして翌年からは驚くことに…

◆担当編集者からのコメント

思いがけない彼女の行動に、びっくりしながらも喜びがじわじわと伝わってきます。 他人を思いやるって、こういうことなんですね。

「だいじょぶだった?じゃあ食べてー」
間延びした語尾が特徴の彼女は、ぐいっと缶をこちらに向けた。チョコをつまみながら、「わざわざありがとう」と伝えると、彼女は相変わらず「んー」と伸びた語尾で返事をし、通りがかった他の子にすぐにチョコを押し付けに行ってしまった。

きっかけになってくれた『陽キャ』の彼女の描写が、生き生きしていて目に浮かびました。優しさも味わえる素敵なバレンタイン。最後の一文も素敵でした。

◆次点①

毒々しいドーナツを抱えた、不気味なサンタと化したバレンタイン(遠藤まめ)

あらすじ:バレンタインは友達とチョコを交換する日。高校生ともなると凝った物が求められる。あっと驚く一品をつくろうと、午前2時にドーナツづくりが始まった。南国の鳥のような色のそれを詰め、サンタのように袋を抱えて友達に配ったが、その反応は予想とは違った。

◆担当編集者からのコメント

文章のテンポ、構成が素晴らしく、何度もにやりと笑いながら読ませていただきました。 初めの目論見通り、あっと驚くものにはなったのではないでしょうか。

拒否する彼女たちを追い掛け回し、ドーナツを押し付けた。
ポリ袋を担いで女子高生を追い掛け回す火傷跡だらけの私。どんなホラーシチュエーションだろうか。
悲鳴を上げながら逃げ回る女子高生の集団と、不気味なサンタの私。

特にこの臨場感あふれる文章が印象的でした。 とても楽しそうなバレンタインが伝わり、私も廊下で一緒に見ているような気持になりました。

◆次点②

「与える喜び」を学んだバレンタインの写真には、母の愛が溢れていた(柚はちみつ)

あらすじ:小学生の頃に「だいすきなパパへ」とチョコペンで描いたホットケーキがバレンタインのデビュー作。何度も失敗して投げだそうとする私に、母は笑顔で修正済みのホットケーキを用意してくれた。自分のためじゃなく、相手のために集中して頑張る喜びを初めて味わった経験だった。ホットケーキを見た父は…

◆担当編集者からのコメント

お父様を喜ばせたい気持ち、それを横で見守り、記憶を形に残すお母様の愛、その愛を心から喜びずっと大切にしているお父様の愛、それぞれの視点から読めば読むほど沢山の愛を感じました。

しばらく写真を眺めていると、ふと肝心なことに気づいてしまった。
全部、母のおかげだ。

……

私は母のような愛を注げる人になれるだろうか。

大人になってから気づいたこと、ご自身への問いかけが胸にグッと迫りました。

以上、「バレンタインの思い出」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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