ナンパされたくて行ったクラブ。でも自虐の癖は治らなかった

「クラブ一緒に行ける人いないかなあ」
そんな超何気ない友人の言葉がきっかけだった。
「いいね、気になる」
普段は堅物で、騒ぐような場所に行きそうもない私の言葉に、友人はかなり意外そうな顔をした。が、すぐに喜んで日にちを決めた。

大学生活3年目も半ば。割と熱心に取り組んでいたバンドサークルも引退し、喪失感があった。とにかくなんか寂しい。その寂しさを少し晴らしてくれるような、新しい刺激が欲しかったし、普段聴かないような音楽が流れる場所に身を投じてみたかった。

両親に「クラブに行ってくる!!」と宣言

当日は、終電前の電車で0時前に集合。

0時を超えて出かけること自体が初めてで、謎に両親に「クラブ行ってくる!!」と宣言したことは思い出すだけでも恥ずかしい。そんなこんなで友人と合流し、途中アラブ系のオッサン達に絡まれながらも(中に入ってからも3回ぐらい激絡まれたのまじ地獄だった)、ついに未知の世界に足を踏み入れた。


聞いたことのないくらいの大きな音量。男女が肩を組みながら手を挙げ、フロアの真ん中では男の人がブレイクダンスを踊っている。

いつもとは違う私になれる。
そう思い、少し踊ってみたり、みんなと一緒に跳ねたりしてみた。手も挙げてみた。いつもの、倫理観や道徳を守ろうとする私からは解放された気がした。
1回も吸ったことがなかった煙草も吸ってみた。
親が毛嫌いしていた影響もあり敬遠していたが、実は煙草を吸う女性に憧れがあった。

男性に声をかけられ、必要以上の自虐

数人の男性にも声をかけられた。
これが1番の衝撃だった。

事件が起きたのは40歳のおじさんと話した時だった。相手が自分の話をひとしきりすると、友人に「君小さくて可愛らしいし、モテそうだね」と、話をふった。

「モテ」

隠していた私がすぐに姿を現した。
「いや~そうなんですよ。私なんかブスでダメなんですけど、この子は凄い可愛くて!私はからっきしダメですけど!」

必要以上の自虐。「モテそう」な友人の横に立っている私は「モテる子の横にいる引き立て役」を任命された気がして居てもたってもいられなかった。私、ちゃんと自分の立場、理解してますよ~!と言わんばかりに言葉を先取りした。「た、確かに!友達、肌も白くて、女優さんみたいだよね~!」と返してくれたが、やりにくそうだった。そこから話は弾まず解散した。

その後は普通に音楽を聞きつつも、今日話した男性たちとのやりとりが頭から離れなかった。

必要以上の自虐をする癖は治らなかった

「新しい刺激が欲しい」なんて建前ではあったが、非モテの人生に終止符を打ちたくてともかく男性にナンパされてみたかったというのが本音であった。実際、男性から声をかけてもらった。
でもやっぱり満たされなかった。
友人が褒められれば、自分が比べられていると劣等感を感じ、私はやっぱりブスだからと思った。誰かと比べて必要のない自虐をする癖は治らなかった。

クラブで出会う男性たちも、ピュアな私の理想としていた、なんでも話せる親密な関係には未来永劫発展しない人達だろう。それでも当時の私はすがろうとクラブに通おうかと思い、ネットで「クラブで男にはまって抜け出せない女」という題の記事を読んで虚しくなり、それ以来クラブに行っていない。クラブでなれたと思った「いつもと違う私」は、無理をしていた私だった。普段聞かない音楽も、踊るのも、普段煙草を吸うのも、知らない男性と話すのも…実は全てが負担だった。

ただ、私にはクラブでの刺激が「合わなかった」ことが学べた。

恋愛も、勉強も、仕事も、何事も自分に「合う」ペースや、居場所がある。
私の自虐病はちょっとバファリン飲めば治るみたいなものではなかった。クラブの勢いは私にとって「ちょうど良く」なかった。根本治療にはもっと自分に向き合う時間が必要だったのだ。結局、私がどういう言葉を人に求めていたのか、ありありとわかる結果になった。
2500円というクラブの入場料。勉強料としては安かった。そこだけは丁度よかったのかもしれない。

ペンネーム:chika

しがない大学院生。自己アピールが下手で、このプロフィールにも何を書けばいいかわからくなりがち。就職活動ではこれで致命傷を負う。奄美大島移住計画を推進中。
Twitter: @shuratarou

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