モテればいいってもんじゃない　あんたバカじゃないの？

「先週一緒に行ったお店より暗くなった照明だったり、笑顔を見せてくれることと一緒に増えた、ちょっとした自慢話だったり。
私の嗜好に寄り添ったテーブルに並ぶ品々だったり、遠くの少し騒がしい集団に目をやる私に注がれる少しの湿り気を帯びたあなたの目線、だったり。
極め付けは、私と使う言葉が似てきたことかな。

いいえ、分かってる。ここで「分かっちゃ」いけない事。だから気付かないでおくね。

でも、今から言っとくね、『ありがとう、気持ちだけ受け取っておくね』。」

なんて残酷で傲慢で搾取的で悪魔的。目眩がする。いやてか、普通に怖え。
まぁ、一番怖いのは、これがそう遠くない昔の記憶を掘り返すと流れるように言葉として紡がれていく私自身なんですけどね。ハッハッハ。

異性から期待されるであろう「偽りの自分」を演出していた

ええ、はい。今だから言いましょう。過去の私は男性からの好意を集める事で生きていた「恋愛感情収集家」でした。
だって「好き」ってすごくない？どの尺度でも世界で一番になることが叶わない私が唯一、世界？いや、宇宙一を獲得できるその場所。至上の承認。しかも「恋人」と言う誓約を伴っていなくても、私は何も差し出さなくても、時に彼らは「一番」を無条件にくれる。たまたま触れてしまったそれ。私は、虜にならざるを得ませんでした。

でも、男勝りな私が「収集家」、改め「モテる女」として市場に君臨することは難しい。
しかし！！運よく（悪く？）私は社会で生活する中で収集する為のノウハウを図らずも体にしみ込ませていったのでした。モテたい女の子！以下必見ですよ！！！！マーカー引く準備はいいですか！！（まず読者にいない）

結論から言いますと、モテた頃の私は男性に対して信用してもらう為に自己開示しているように見せて、異性から期待されるであろう「偽りの自分」を演じる事にしたのでした。簡単にいうと男性の横でケラケラ笑って、シクシク泣いていたのは「女性に対する理想像」という仮面をつけたミドリ改め「ミドリちゃん」。
（…文字にするとエグい！！！！想像すると怖え！！！！（苦笑））　　　
でも、モテます。なんてったって「ミドリちゃん」は「女の子」ですから。ノリで弄りはするものの、絶対相手の価値観は脅かさない。傷ついたら「つらいよー」って言ってしっかり文字通り「泣き寝入りする女の子」の位置に収まる。側にいて絶対に傷つかない。
転がり込んでくるたくさんの「好意」。ああ、なんて私は「幸せ」なんでしょう！！

恋愛で満たしたいものってぶっちゃけ性欲より何より承認欲求じゃん

でもある時ふと気づく。どんなにたくさん「好意」を集めても、それは実在しない「ミドリちゃん」が一人歩きしてるだけじゃ？「ミドリ」はどこ行った？？
待て待て。私は私に「一番」の勲章をつけて欲しくて収集家をしているのに、私その授与式、壇上に最近上がってなくない？なんなら「そりゃあ、アイツが受賞するよねー、自己犠牲すごかったもんねー」ってやる気のない拍手する大衆側にいない？？？？

なんか、すごい空虚。なんか、すごい情けない。
悲しい、寂しい。誰か「ミドリ」もいいじゃんって言ってよ。
いや、違うか。「ミドリ」も悪くないですよ！！ってみんなにまずお見せしないと始まらないのか。

てかまず、振り返ってみれば誰一人「ミドリ」がダメだなんて言ってないじゃん。
私一人を除いて。

そんな時期を乗り超え現在の私は男子ウケからは程遠いキャラの仮面を被っています（笑）
気は強い。酒も強い。クセも強い。全部強いな、、、、？いや、どっかにはちゃんとか弱い部分あるけどねッ　でも同じ仮面でも「ミドリちゃん」よりかは全然疲れないし、楽しい。
そして、自分の好きな「ミドリ」だからこそ、それを認めてくれる人を大切にしたいと思えるようになった気がします。異性だろうが同性だろうが。

偽らない自分で恋愛の土俵に立つ

考えてみれば、あまり叫ばれないことではありますが「偽らない自分で恋愛の土俵に立つ」ってことはある意味で大事なことだとも思います。選択肢がいくら多くてもその対に私自身が置かれていなければ意味がないですからね。

世の中に跋扈する「モテるための～」を真似ることは間違いではないと思いますが、それがあまりに自分から乖離し違和感を伴うのであれば、自分にも、そして相手のためにもならないんじゃないかなって思います。　
いつも大事な本質を見失いがちな私ではありますが、こうやって酸いもあまいもかみ分けた大人になっていくんだな、とまたひとつ悟りに近づいた（？）気がします。